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「ねむいのかなぁ?ちょっとまっててね」
男の子はそう言うと今度はタオルをもってきてくれました。ふわふわの柔らかそうなタオルです。子猫はそのタオルにちょこんと乗ると、顔をタオルにうずめました。お日様の匂いのする優しいタオルです、子猫はすぐに眠りに落ちてしまいました。
子猫の様子をみていた男の子は、子猫がひどく汚れているのに気がつきました。しかも泥や草の汚れだけではなく、ところどころに赤いものがこびりついていました。体中に無数の傷痕があるのです。古い傷痕から、まだ血が乾ききっていないものまで・・・男の子はそっとその血をぬぐって、傷痕に傷薬を塗ってあげました。眼に沢山の涙を浮かべながら・・・
「きみも、一人だったんだね・・・」
子猫は夢を見ていました。昔の記憶・・・いつからか、もうそれすらわからない、ひとりぼっちの夢・・・気がついた時にはもう周りには誰れもいなかった、一人ぼっちただ夕日の中にただずんでいた。今はもうわからない、体に走る無数の痛み、飛んでくる石のかげ、すべてにおびえ生きてきた・・・すがるように何度恋しい母の顔を思い出そうとしたか・・・しかし浮かんでくる顔は何一つない、そんな日々の夢・・・でも今日はなぜか辛くならなかったのです。それどころか暖かさすら感じていたのです。子猫は、いつもとおなじように、母の顔を思い出そうとしました。するとどうでしょう、さっきまで目の前にいたあの男の子の優しい笑顔が浮かんできました・・・まるでお母さんのような温かさ・・・子猫はより深い眠りへと誘われていきました・・・