本誌ウェブマスター近影2000年版

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20世紀最後のマリン
ブルーを探しに...ときめきのTokyo 週末 walkin'

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▽▼▽思いがけない午後▽▼▽

先日4月の土曜日。まさにニッポンのこの時期を淡い春色で彩るソメイヨシノが、優美な満開の桜色の花弁をもた げている、うららかな日だった。本誌ウェブマスターは、形の上では休日であるデザインワークの仕事場に向かっ た。

独身で親元暮らしである気ままな本誌ウェブマスターにとっては、仕事が遊びでありVびが仕事のようなもので もある。JRと、つい先日大事故が起こった営団地下鉄の某線を乗り継ぐ。そしてカフェで一息つく暇も惜しみな がら、オフィスが収まるビルへ。

が、しかし、この日、オフィスは開いていなかった。たいていの週末は誰かがそこにいて仕事をしているわけなの だが、転職したばかりの本誌ウェブマスターはデザインオフィスの扉を開く鍵を持っていなかった。しばらく待っ てみるが、やはりひとけのかけらもなかった。

自分が熱中できる仕事に恵まれていない多くの面々にとっては、仕事は単純に契約範囲内において対価と引き換え に企業等の法人に提供する、いわばサービス型商品のひとつでしかないわけであるわけであり、またデザイン事務 所のようなところで自称「恋多き女」である、女子美大卒の美人社長(???)の元で働く身にとっては、そこは 職場というよりはビジネス媒体と連動して収益が得られるタイプのサークル組織のような場所に思われる。

本誌ウェブマスターはやむなく開かずのオフィスを後にすると、その足で地下鉄の駅へ。そこで本誌ウェブマスタ ーの足は自宅へ直行でもして、個人的な遊びとして運営している各種のホームページの管理作業にでも入ろうか、 といったところなのだが、この日の本誌ウェブマスターは前日の飲み会がたたり、午前中はずっと意識がなかった ほど。実際に本当に体調面も万全ではなかった。そんなこんなで、本誌ウェブマスターは花の大Tokyoの地下鉄車 中の人となった。

本誌ウェブマスター宅の銀さん(とってもおしゃれなシルバーのとらじま♀猫)のごはん等を買物しなければなら なかったため、せっかくの週末にぽっかりと空いた時間に自宅へ直行するのはやめにして、お疲れ気味な身体を引 きずりながら日比谷・帝国ホテルへ。本誌読者にはおわかりであろうが、そこは本誌ウェブマスターにとってはお なじみの場所である。ゴージャス感のあるホテルながらこれみよがしに華美なところもなく、とても居心地が良い。

帝国ホテルの1階の味のあるロビー周りから違和感なく広がる、日本の国内としては珍しく「シックなゴージャス 感のある空間」であり、ここが海外VIPや来日スターにこよなく愛されている理由もわかる。アメリカ人スター も多く泊まるホテルなので、白いコットンシャツに洗いざらしのブルージーンズみたいな軽装だって全然構わない のではないか、と思われる。実際にその日は本誌ウェブマスターもデニム地のゆったりとしたブレザージャケット に春っぽい薄めのブルーのコットンシャツそしてジーンズ、という遠慮のない格好だった。

インペリアル・プラザでお買い物したい向きには、むろん相応に暗黙のドレスコードは存在していることは感じ取 って欲しいところだが、まさしく軽装でホテルでくつろいでいる際のマライア・キャリーやデミ・ムーアだって一 度は見るであろう日本国内最高のファッションモールという場所ゆえ、不思議に気難しさや威張った感じなどは見 られない。排他性に関してはかけらも存在しないどころか、随一の親和性で、来訪者に素直になじんでくる懐の広 さもまた、帝国ホテル関連施設らしい長所である。

高級ホテル1階ロビー空間にあるスタイルカフェ、といえば、有名なのはやっぱりサマセット・モームの小説だっ たり、シンガポールや香港のエキゾティックな都市風景だったりするわけだが、国際都市TOKYOを代表する帝 国ホテルにしてみてもけっして引けを取っているとは思えない。もちろん日本のそれは現在においてもモダン一辺 倒なところがあり、帝都を象徴するインペリアル・ホテルにしてみてもご多分に漏れずにそうである。だからパリ のリッツやアジア、あるいはホノルルあたりの超高級ホテルの古い歴史建築のような石作り空間のフェティシズム を満たそうとするには物足りないところなのだろうが、モダンをもってしても世界超一流のエトランゼ旅空間を具 現化することはできる、ということは自信を持って示してくれている空間であり、いつもの職場近くの格安ワーカ ホリック・カフェよりは若干お値段高めなミルクティーにしても、おいしくいただけるのである。

以前、本館少し前の香港・マカオに1都市滞在タイプのステイで行った時、本誌ウェブマスターはすっかりペニンシ ュラのカフェで出された紅茶に参った覚えがある。紅茶の葉についてはそれなりのこだわりくらいはある本誌ウェ ブマスターとしては、多少いいかげんなところもあるにしても、おいしい葉に関しては長くそれを覚えているし、 ティップスの質にも結構うるさかったりするのだが、つい最近、日本国内の『そごう』の総合食料品売場で、ペニ ンシュラ・ホテルで出している絶妙なブレンド茶葉が売られていることに気づいて喜んでいたところだった。それ は「世界最高のブレンド茶葉」であれば産地単品種の茶葉の風格、風合い感にも並ぶものになることを示してくれ たもので、お値段もそごうの輸入プライスでも一缶1200円程度でリーズナブルでもある名品である。

ペニンシュラのすっきりとしながらもこくのある喉越しに比べると、帝国ホテルロビーのカフェで出されるミルク ティーのそれはかなり個性的で親しみ深いテイストである。詳しい配合内容について従業員の人にあえて聴いたこ とはないが、ディンブラ種をメインとして、それに3割前後のダージリンかアッサムをブレンドしているのかな?  といった味わい。ディンブラ種の特徴はある種「アンチすっきり系」みたいな、独特の香りや、ゴールデンティ ップス系の最上級茶葉のようには固くない、まろやかで大地的な濃さにあるとされているが、本誌ウェブマスター が知っている範囲内ではアイスレモンティーとして飲むとなかなかおいしい。なんとなく紅茶というよりはアメリ カンコーヒーのような、かなりソウルフルな雰囲気の、アメリカ人受けしそうな口あたりである。

といってそれがおいしくないということはなく、紅茶の心地よい濃さや快楽的な苦みを楽しみたい向きには、かえ ってアッサム中心のブレンドあたりでやっつけるよりもずっと風格感すら感じさせるあたりはさすが、といった気 がする。とてもいつもの職場近くでティーバッグで出される感じのカフェでは真似のできない技を感じさせられて、 しかもそれが宇多田ヒカルの歌声のように、奇妙に現代的な東京イメージのテイストであることに妙に納得させら れてしまったのである。絵になる都内随一のホテルのカフェでは、まるで田中康夫のキャンパス小説に出てくるよ うなカップルが適度にお行儀良く、向かい合いながら笑顔を絶やさずに語らっていたりして、本誌ウェブマスター の世代にとってはまさしく万感の思いがよぎるのも、本誌ウェブマスターがすでにキャンパスを離れてからそれな りの時を良かれ悪しかれ過ごしてきたことを表しているような気もした...。

▽▼▽幸せはインペリアル・プラザで??▽▼▽

せっかく帝国ホテルまで来たのだから、というわけで、週末の午後の、思いがけないティータイムの後はもちろ ん、日比谷・帝国ホテルに付随する関連施設である、国内最高のショッピングモール「インペリアル・プラザ」 のチェックといきたいものだ。

帝国ホテル本館1階フロアからインペリアル・プラザにかけて、インポート・ブランドとしてはすでにおなじみ で大人気の「クリスチャン・ディオール」「シャネル」そして「グッチ」などの直営ブティックが収まる。本誌 ウェブマスターはその日そこで、グッチには犬ばかりでなく猫用の専用首輪というものも確かにラインナップさ れているのを初めて知った。それを知らなかった本誌ウェブマスターは、とりあえず、ということで、おひとつ 数万円也の猫の首輪よりも少しお手頃なプライスの、人間の女性用の紐型チョーカーを愛猫の銀さんにつけつつ、 新宿高島屋タイムズスクエア内のルイ・ヴィトン・ブティックさんに「フランスで注文を受けてから製造し、日 本に陸揚げされるまで6ヶ月以上かかる」という猫さん用の専用首輪を現在オーダーしており、到着待ちなので あった。ルイ・ヴィトンといえば、この春にはあのモノグラム柄の流麗な薄地の春夏物スカートがごきげんな女 のコアイテムであるのだが、対するグッチの動物首輪のほうには、「DOG」とか「CAT」などと、あえて彫らなく てもみればわかる刻印がブランドロゴとともに彫り込まれていて、あまりスマートともおしゃれとも思われず、 基本的にいただけない。ルイ・ヴィトンの場合はおなじみモノグラムデザインの首輪ながら、聞けば「防水性や 直接身に付けるアイテムという部分では傷みにくい加工が施されているモノグラム素材が最適なんですよ」との 販売員説明からも伺える合理的な理由に基づいており、なんとなくプラダの犬用首輪にもある感じのヴェルニラ インの首輪(←カタログにないもので、特注オーダーを頼んでいた)がぜひ欲しい、などとわがままを言って困 らせていた本誌ウェブマスターをヴィトン・ブティックの販売員は納得させてしまったのである。ここ近年のグ ッチはデザインが「ハードボイルドダーク調」に傾倒していて、それはそれでミラノ・ローマ的スピード感、ス マート感ではあるとはいえ、動物さん用の首輪に関してだけはいまひとつ合格点を出せない、というのが本誌ウ ェブマスターとしての見解だと記さねばならない。

しかし、お隣のシャネルブティックは、ウィンドウにディスプレーされた女性物ウェアが軽やかで爽やか、色使 いも魅力的で高級感のあるリゾートウェア的で、現在のデザイン担当であるカール・ラガーフェルドがコート・ ダジュールの風を連れてきてくれたかのような雰囲気。もちろんマダムが身に着けても魅力は増加するだろうが、 それでも全体的にターゲットは30代から40代前半くらいのフレッシュな感じの都会的主婦層もしくは転職に 恵まれながら自立している女性たち、あるいは親がファッションに理解的なファミリーの女子大生あたりの姿が 思い描かれた。時代は一巡する、ということなのか、雰囲気的にはハマトラを今風に、スタイリッシュにすっき りとさせた感じ、といった感じ。エレガントでいながらちょっぴり大人の女の腰のラインのセクシーさを、スパ イスとしていやみっぽさやチープな淫靡さとは無縁にほのかに漂わせている白のスカートに南ヨーロッパ的な華 やかな色でデザインプリントされたトップスは、まさにアヴァンチュールには情動のおもむくままに奔放といっ た性格の南仏からイタリアにかけて棲息する中堅貴族やいまどき実業家のヤングマダム、といった雰囲気もあり、 なかなか快活そうで本誌ウェブマスター好み、ゆえに印象良好なのであった。

そう、20世紀最後の年の「夏」が、確かに日に日に色濃くなりながら、近づいている。ここでひとつキーワー ドがあるとすれば、それは20世紀においてもっとも精力的で豊かで楽しかった平和な時代のプレイバック現象 がおさらくは見られやすくなる、といったことあたりかもしれない。今年は今年らしい新ブーム、というよりは、 20世紀を振り返りながらラストイヤーを楽しもうとする向きによって、近い過去の中からとっておきのタイム カプセルが開かれるような一年になるはずだ。主要な表出テーマに「個人生活充実化の総決算としてのリゾート 展開」ということも欠かすべからざるアイポイントとして注目されてくるだろう。まして今年はあのホンダがフ ォーミュラワン世界選手権にワークスカーを送り出す復活の年であり、シェイクダウンしたばかりで熟成の足り ない現行のマシンではかなり苦戦も予想されるとはいえ、20世紀最後の年、栄光のモンテカルロ市街地サーキ ットを、日本製フォーミュラが激走する。それは長期にわたり不調だったわが国の景気が、いよいよあらためて 満を持して登場した世界行のワークスマシンとともに、あらためて世界に向けて上昇局面に向かい始めたことを も意味する記念すべき「事件」なのでもある。

久しぶりの余裕回復の年、わが国ではそれでは何が求められてくるのか、といえばそれはいうまでもなく「リゾ ートステイ感覚」であるのだろう。そこはハワイのネイバーアイランドやグアムあるいは小笠原諸島であれ、イ ンド洋やカリブ海の洋上に浮かぶとてもエキゾティックな島々を行く豪華船上であれ、お台場や葛西、金沢八景 あたりのとてもクールで都市的なマリンステージ、あるいは山がちにゆったりとくつろげる高原であってもまっ たく構わないわけなのだが、夏の海にしても「単なる海水浴レジャー」の域をそれなりに越えてのリゾートであ ることが求められてくることだろう。身に着けているブランドはシャネルやエルメスなどの貴婦人モードのもの であっても、近頃人気の「カナダのアニエス.b」とも呼ばれる「クラブ・モナコ」のようなやり手のオフィスビ ジネスウーマン受けしそうな、プレタポルテ感覚ののデザインセンスに対して軽くて丈夫で量産の利く素材使用 によるお値ごろ感ある週末的リゾート系ウェアブランドであっても一向に構わないのだが、しかし志が高く、遊 ぶばかりでなくカルチュラルな内容のハードカヴァー活字本あたりにもすっきりと目を通すような女性たちの出 現を待ち望みたい。

そして今年、春の流行色である「ピンク」を大きく凌いで流行るだろうと思われるブーム色は、本誌ウェブマス ターとして個人的に「マリンブルー」ではないだろうか、と思われている。権威ある色彩図鑑を眺める限り、そ こに「マリンブルー」という色はなく、夏の地中海的なリゾートブルーにしても実際にはひとつの色ではないこ とを示されるわけなのだが、その微妙できわめて表現するのに難しいカラー展開の具現化の見事な実例を、本誌 ウェブマスターは日比谷インペリアル・プラザ内のセリーヌ・ブティックに大挙陳列されている、マリンブルー 一色ながらも実際には薄いアクアブルーからシアンブルー、グリーンがかったコーラルリゾート的なそれに至る までのボリューム幅を持つ、微妙なグラデーション構成により多様で壮大なひとつの銀河を形成するモードコン ポーネントの数々の中に見せつけられた思いがした。

洋服やショールから、靴・バッグに至るまで、すべてがマリンブルーによるデザイン化された芸術的配列を構成。 しかもそれらはオーソドックスでシック、そして万事に控えめな王室的嗜好から、若い会社勤務女性や女子大生 が好みそうなヴィヴィッドでディジタルなニューヨーク的宇宙時代テキスタイルデザインにおいて多く見かけら れるタイプの工業的意匠感覚までを、トータルなワンブランド・コンポーネントの中で実現している。海外のノ ーブルたちが身に着けても、元ミス立教の大橋美奈子とか本誌ウェブマスターが昔とても魅力を感じていた門馬 優子(『きまぐれオレンジロード』という青春学園コミックに登場するマドンナ「まどか」に瓜二つだった女のコ) あたりのはっきりとした見た目原色タイプのソリッドなコが身に着けても、ぴたっとフィットしてあらゆる購入 者たちに似合い、満足させることだろう。あたかもそれは、異種間的なコラボレーションが自在に組み合わされ る中でひとつのトータルを具現化しなければならない現代という時代の申し子であるかもようでもある。現在の 流行色のピンクもむろん魅力的な色彩だが、ピンクでは表せない大人の感性の奥行き感、エレガンスというもの の片鱗が、マリンブルーという一群の色彩連合体の中には宿っているのだと思われてならない。

しかし「インペリアル・プラザ」の中を眺めて歩いていると、色々とティピカルな発見が多くて楽しくなってく る。文化や文明の中に身を置く限り、物欲を否定することは愚かであると同時に、物欲の権化となることの馬鹿 らしさについても、国内最高ランクのモードファッションモールは無言のうちに表面化して見せる。たとえば本 誌ウェブマスターが見た、カルティエブティック内で、中年と老年の谷間の「実年世代」ほどの年配の男にすっ かり愛人気取りでアイテムを甘えねだる娘やそんな若い女にやに下がりっぱなしのニッポンの老齢男の姿なども いかんなく目にはつくわけではあり、それはブランドによっては意図しないところでもあろうし、別のブランド においてはしっかりとビジネス・マーケティング上での計算内に収まっているタイプの重要顧客なのでもあるの だろう。

バレンティノ・ガラヴァーニに関しては袖のところが5つボタンのスーツがダンディズムにあふれ、故プリンセ ス・ダイアナがこよなく愛したジャン二・ヴェルサーチは、日本ではむしろ「銀座・六本木的におなじみなあの スタイル」を変わりなく依然として保ちつづけている。そして旅行用ケースとしてのモノグラムが必ずしもベス トとはいえないことを示してやまなかったのはポリーニのバッグ類であった。

▽▼▽外人キスカップルにあてられ続けな週末...「ゆりかもめ」は虹を越えて▽▼▽

帝国ホテル一階ロビー前のカフェで週末昼下がりのひとときをしばしくつろぎ、さらにはエキゾティックなハイ スタイルモールで今期の流れを見た後には、本誌ウェブマスターは待ちかねていた季節感を存分に味わうべく、 日比谷隣町である新橋から「ゆりかもめ」に乗り、有明方面へと向かうこととした。

おなじみ「ゆりかもめ」のホームは新橋駅前から地下に潜ったかと思えばエスカレーターで上るような、たいへ んわかりにくい位置に存在している。暖かな陽だまりの中で、マリンブルーを思わせる青い車体帯塗装が陽射し の中でひときわ映えていた。リゾートとしての東京をサイトシーイングする上で、もっとも美しく壮麗な光景の 中を縫うように走る新交通線の「ゆりかもめ」は、欠かすべからざる必須のライブ都市装置といったところかも 知れない。

本誌ウェブマスターは「ゆりかもめ」編成の最前部シートに、進行方向に向かって席に着いていた。いつ乗って も眺めがきわめて素晴らしい。コンクリート製により固め尽くされた重厚な次世代型都市文明ステージにいつで もインスピレーションや知的あるいは官能的、でなければアートライクともいうべき刺激感につねに陶酔を求め ていがちなメトロポリスフェティッシュな面々にとってはたまらない光景が走っている間じゅう楽しめる。

すると本誌ウェブマスターと向かい合わせには後から欧米系の典型的な美男美女カップルが座り、空いていたシ ートの向きが進行方向とは逆向きであることをカップル片割れの男のほうがさんざん女に向かってあれこれとこ ぼしていた。といって残念ながら恋人と乗っていたわけではなく一人で週末の午後を時間つぶししていた男とし て、できすぎた美形カップルに向かって席を譲るのも癪に障ってしまい、すっかりと「しかと」してしまったの だった。普段は巷でいくら淫猥なカップルたちの生態を見せ付けられようと関心すらわかない本誌ウェブマスタ ーながら、走り出した「ゆりかもめ」の車内で本誌ウェブマスター好みの絶景を前にしてできすぎたヴィジュア ルでフェティシズムライフを満喫しつづけている目の前で激しいキスなどされようものなら、他人に関心ありそ うで実は無関心なさすがの本誌ウェブマスターであれ、やっぱりむかついてしまったりするのだから、人間とい うのも哀しい生物である。

港区らしい壮大な都市風景の中から港湾地域へと這い進み、いよいよレインボーブリッジを一般道と並走しなが ら快調に、「ゆりかもめ」はまばゆい光が揺らぐ先に向かって、潮風を浴びながら縫い進んでいく...。

▽▼▽見るべきところは乏しいが近距離上京族で人ごみな、「アクアシティお台場」▽▼▽

マリンブルーを求める本誌ウェブマスターの週末午後の次なる行先はオープンしたばかりの「アクアシティお台場」 だった。館内にはなぜか新大宮バイパス沿道では人気ナンバーワンのFMステーションである『Nack5』のDJブース が置かれた味のあるロング板系のサーフショップがあったり、臨海新都心では最初のオープンとなる「アンナミラーズ」 などが収まっていたりする。何をするでもなく館内を見て歩いていた本誌ウェブマスターは、美しいマリンブルーのス テーショナリーが大量に並んでいるデザイン文具ショップを「ザ・ボディショップ」の向かいに発見し、クリアファイ ルとポストカードケースを購入。何気ない買い物だが、こういう買い物の瞬間には奇妙な喜びを感じさせられる。ほか にはフロッピーケースなども置かれ、色彩がオフィスワークや学習生活に快適なリラクゼーションを大いに提供してく れるものであろことを再認識させられたのだった。デック東京ビーチや天王洲アイルの「フランフラン」や西新宿の 「コンランショップ」の品揃えにもそろそろ飽きていた本誌ウェブマスターの目に不意に染み込んできたマリンブル ー。それははあまりに新鮮であって聡明な幸せの喜びに満ち溢れているイメージの連なりなのであった。

しかし、概してアクアシティに入っているテナントにはみるべきところがあまりない、というのが正直なところだ。 別に本誌ウェブマスターとして「インペリアル・プラザ」ばかりを良いといっているわけではなく、お台場・有明に はフジテレビ化され、よかれあしかれ俗化したボリュームゾーンのホットでラテン的な喜びというものが満ち溢れて いる。そしてそこがなぜそんなことになってしまっているのか、といえば、国内随一のスタイル系トレンド都市空間 にあれば、食べなれているマクドナルドのフィレオフィッシュやポテトを口にするにしてもいつもよりも相当にブラ ッシュアップされた体験を日常値段で味わえるからであり、多くの一般大衆にとってのそれは、都区内スーパーリゾ ートであるお台場で味わう週末や休日の日用品ショッピング行為ではありながらも、普段地元で買って食べている同 じ物とは規格的には同じであってもまったく意味が異なった高められた体験となるのである。ましてデック東京ビー チテナントのトレンディドラマライクなインテリアショップ「フランフラン」あたりで若いカップルが部屋に置く椅 子や棚を買う、というのはスリリングで刺激的な高められた体験、ということになる。しかもそこでは何であれ大衆 的な一般アイテムが飛ぶように売れているわけなのだから、これからの量販マーケティングにとってそこはかつての 原宿以上の壮大なマーケティングアンテナ拠点地帯、ということになるのは当然というものだ。

▽▼▽有明IT経済都市圏における業界トレンドが日本の将来を暗示する▽▼▽

そしてデジタルBS放送に参入するフジテレビ以外にも、有明一帯には各種の最先端デジタル系企業が集約化されて おり、渋谷と並んでこれからのニッポンの産業構造を具現化したエリアなのである。本誌ウェブマスターが以前少し だけ関係した、東大大学院生が中心となって経営している法人向けネットワークインフラ開発提供企業なども元々は 有明に素晴らしいオフィスを構えながら、合資会社から株式会社へと黒字急成長を続けつつも、いつのまにか会社の 所在地にはサーバーだけが残され、企業としてはオフィスを持たずに社内メーリングリストと週一回のミーティング だけで連絡を取り合うような、ほかにはみられないハイパーな仕掛けの企業へと変貌していった。その次に本誌ウェ ブマスターが関わったのも、場所こそお台場ではないが秋葉原に近い一角でエルメスショウルームのほど近くに存在 する巨大商社や官庁との関わりの中でしたたかに業績を伸ばしているwebグループウェアや強力な電子モールサーバー の開発企業だったりもして、そこはまぐまぐのキャラクターにそっくりな顔つきの50過ぎのマッチョなおっさん (←社長なのだか役職では呼ばせない)がいつでもラフな普段着姿で有能ながら個性の強い若手プログラマー軍団 を束ねていた。

かくのごとく、これからの合理的な企業スタイルの極北にあるのは、そんな感じでエンジニアも営業も経営陣も、 横並びな友達関係の中では役職名では呼ばずにサークル的に各自の任務を遂行するといった方式である。これからは SOHO形態や在宅勤務がしだいに主流となり、合理的な組織新機軸を構築する上ではとりわけインターネット関連 でのインフラは不可欠な設備投資となるわけであり、実際に先端的なITパッケージを商品サービスとして取り扱わ ない企業は時代の中から取り残されていくだけとなっていく。それはアメリカにおいていまや、やや落日の感ありの マイクロソフトに対するシスコシステムズやサンあたりの追い上げぶりを見るにつけても、明らかな事態の推移であ るといえそうだ。だからコムサあたりの「昔っぽい板橋感覚ブランド」のあいかわらず厚ぼったく見るべきところの 少ない白一色モードにしても、夏にそれらのアイテムをIT関連のそうしたデジタルホットな面々が身に着けるに及 べば、逆に奇妙に活力が感じられてクールな知的ブルーカラーにとっての作業服としての適性あたりを強くアピール できたりするのかもしれないところだったりする。

「デックス東京ビーチ」がお台場在住のお洒落系アーバン族ヤングにとっての普段の何気ない買い物スポットなの だとすれば、差し詰め「アクアブルーお台場」はまさしく埼玉からやってきた週末近距離上京組にとっての観光レ ジャーおみやげ店モール、といったところか。

それに対して、レストランとインテリアブロック、そしてむしろ無名サイドにより近いプチブランドにこそ見るべ きものがあるパレットタウンの女性向けショッピングテーマパークモール「ヴィーナス・フォート」は、原宿のリ ゾート型正常進化、といった感じが見て取れて、なかなか楽しいものがある。本誌ウェブマスターがオープン当初、 まだ半熟状態だった頃のヴィーナス・フォートに対してあまりいい誉め言葉を記していないことは前々からの読者 には既知の事実だろうと思われるが、しかし今年、それも今期に入ってからはそれが一気に大変化、一見何も変わっ ていないように思われる一方で素晴らしい成長を遂げていたのである。


ジバンシーの香り、ウルトラマリン。夏のフレーバ ーに最適...

▽▼▽ヴィーナス・フォートは甦生した▽▼▽

それは日本には実はいくつのも個性的なマーケティングによるショッピングモールがすでに多く存在し、それそれ が自らのターゲットや自身に求められているポジショニングを「ヴィーナス・フォート」自身としてしっかりとわ きまえながら、ハイソサエティブランドモールについては「インペリアル・プラザ」や「三越日本橋本店」を、リ ゾート型アウトレットモール展開については「横浜ベイサイドマリーナ・アウトレットモール」を、生活密着的な がらもちょっぴり非日常的に楽しめる要素がある一般ボリューム層向けの巨大ショッピングセンターに関しては「 東京ベイ・ららぽーと」あたりの展開を客観的に見守りながら、自身としてはより「ヴィーナス・フォート」の利 用客のニーズや種族性を分析しながら、東急東横店的な「横浜クィーンズスクエア」と並ぶミドルターゲットモー ルながらも国内最高のフォトジェニックスタイル展開をよりシビアに磨いていこうと決意したからではないか、と 思われてやまない。ハイプライスゾーンではなくハイスタイルゾーンを目指すのだ、という意気込みの高さは大変 に尊敬すべき自省心に富むものであって快く思われるのであり、「ヴィーナス・フォート」の変貌に関しては今後 も好意的に見守っていくものとしたい。

ヴィーナス・フォートの館内構成を最初に構築したプランナーの意図は、おそらく現在になってようやく実際に具 現化されたはずであると思われる。そこはブランド構成的にはどこにでもあるショップの集合体なのだが、展示ス ペース自身が強烈なテーマ主張をなし、国際見本市を思わせる圧倒的な数のメゾン集結が見られるというボリュー ムゾーン向けの強みを発揮しながら、アパレルアートとしても今日の時代を反映しているブランド群にもよって、 それは絶妙な配列を安定的に構造化させることに成功している。それにより「ヴィーナスフォートで探して買うこ とに意味がある」という消費意識フローを、ターゲットである20代から30代の働く女性中心の顧客層の上に起 こしている。彼女たちは高級であればそれでいいと思うほどには貧しくはなく消費者的選択眼もしっかりともって いる。しかしそこはやはりクオリティモールとしての自負に応じた分だけのスタイル洗練度が見られ、ブランド崇 拝者的な成金たちを巧みに「インペリアル・プラザ」など他所のスーパークオリティモールへと振り分け、消費感 性における単一民族向けに特化されることによって一層のカリスマライクな説得力を強くし、以前よりも多く、前 よりも居心地がよくなった「本当に買ってくれるお客」をリピーター集客することに成功したのである。香水・オ ーデコロン類において「ブルガリ」や「ジバンシー」などを置き、今以上ここ以上が存在するのだということを利 用者には開示しながらも、逆に「これだけお洒落なのにプライス安めなハイスタイルモールで楽しく買い物ができ るのであれば別にインペリ(アル・プラザ)なんていらないし超ブランドにしたって香水だけで十分」といった気分 にさせてしまう眩惑力には、合理主義や大量動員そして東京最先端ハイスタイルムードが結びついてしまうばほか に怖いものなんてありはしない、という初期プランナーからのかなり本気そうなメッセージすらもまざまざと感じ させるだけに、運営者が手にした鬼の金棒のすさまじさを見せられる思いがする。そしてここで見たマリンブルー ...すなわちあのジバンシーの「ウルトラマリン」のリキッドカラーと芳香に、20世紀最後の夏そして21世 紀最初の夏のイメージをかき立てられた本誌ウェブマスターは、それを今年の本誌ウェブマスターのシンボルフレ グランスとすることに決め、レジをくぐったのであった。ちなみにセール中だったとかで、ESCADA SPORTブランドの白のキャップと同じくコーラルグリーンの特製キャンドルのプレゼント品をも らうことができた。インペリアル・プラザでは見るべきところの少なかったグッチながら、新フレグランスの「ラ ッシュ」のラテン的な赤・橙の情熱的なパッケージカラーと地中海的な香りにも魅せられた。ブームカラーはマリ ンブルーが中心になりそうな気がする20世紀最後の夏ながら、「ラッシュ」のパッケージが採用しているなぜか 懐かしいようで目新しい赤や橙も、メインのブームカラーの裏を行く隠れブームカラーとしてこの夏の色になるの かも知れない。

館内のアパレルでいえば「ファイナルステージ」には見るべきところが結構あった。デザインだけ見れば超高級品 のシックさがありながらも定番基調の落ち着いたデザインで、普通の値段で買える気楽さが、いまどきの女性には 何よりうれしいのに違いないのではないか。リゾートでのファッションにしても、むやみにシャネルあたりのクル ーズラインにはまるよりは、(「フランス貴族階級」という意味を持つ)BCBGあたりのウェアのほうがよっぽ どシックだし若いコであればなおさら等身大の魅力の本領が発揮されるのに違いない、と思われた。むろんコムサ 関係などよりも格段に上を行くハイスタイルレベルである。もちろんシャネルはやっぱりシャネルであってデザイ ン的には世界最高峰のレベルを健全に展開しているのであり、全身シャネルによるコーディネートに憧れることは 少しも悪いことではないけれど...、ブランドとしてはエルメスであれシャネルであれいまや世界レベルではマ スを相手にした巨大ビジネスと化しており、とりわけ日本にはそれらのユーザーがとても多いのだ。しかし日本国 内の売り場としてマスを相手にしようとすれば結論はおのずと(最近の)ヴィーナス・フォート然としてくるはず である。

イタリアンスタイルのジェラート屋さんのドナ・テロで「ブルー・ハワイ」と「グアバ」のダブルコーンを注文。 腰掛けながらあらためてしばしの休憩。エキゾティックな異国的ムードは実際にテーマパークの集客コピーが嘘で はないことをしっかりと表してくれる。パリで人気の創作フランス料理の店などもあり、しかも金曜日夜には朝5 時までの営業、といった部分もあり、パートナーがいてもいなくても、そこにいてとても楽しい世界だといえそう だ。近隣有明にはほかにも新造されたワシントンホテル内に和・洋・中の「料理の鉄人」たちがそれぞれに開いた レストランが並び、ランチタイムには驚きの激安プライスでフォワグラやフカヒレなどの高級素材に舌鼓を打つこ とができる。

クルマ好き...それもモナコグランプリが待ち遠しいエンスージアストにとっては、行くべき場所は「トヨタ・ ショウルーム」ではなくむろんヴィーナス・フォート館内片隅の「ヒストリー・ガレージ」ではないだろうか。 トヨタ2000GTや通称「ヨタ8」が、イタリアのディーノや昔のBMW超ミニカーなどと並ぶ、なんともいえ ないタイムスリップ空間。時の流れを一瞬逆流してしまったかのような懐かしさは、普段はあまりクルマに関心の ない女のコとのデートにも印象に残るスポットではないだろうか。

さてさて、お目当て、パレットタウン内のペットショップで銀さん受けしそうな猫のおもちゃや猫ご飯の数々を買 い込んだ本誌ウェブマスターは、帰路には今回初めて「臨海副都心線」という地下鉄に乗ってみることにした。と いっても暫定開業している現行の路線図では大半が地上部分を走っている新世代路線。パレットタウンのすぐ裏側 に地下駅の入口があり、エスカレーターを下っていく。かつて国内では見たことがない、まるでパリ市内のSNC F運営による新型地下鉄の路線のようななかなかエキゾティックで絵になる駅施設である。またしても先頭車両か ら運転台の窓からの眺めを確保して発射時刻を待つ。そしてほどなくして電車が走り出す。国際展示場あたりから 早くも地上に顔を出すわけだが、夜の高速湾岸線と並走するロケーションは知られざる東京の夜景名所といった雰 囲気さえ漂い、何気ない日常路線なのに素晴らしい。料金が高いのだけはいただけないが、まだ知っている人の少 ない無名の電車だけにラッシュアワーのはずなのに乗客の姿はまばらだった。

▽▼▽東京ベイリゾート生活圏における高度インフラが実現した平均的市民層のフレッシュな充実生活▽▼▽

電車は終点でJR京葉線や営団有楽町線と乗換接続。本誌ウェブマスターはこの日のテーマカラーであるマリン ブルーの車両に乗り換える。あいにく夜も遅く、あの葛西臨海公園での、有明とは比べ物にならない規模とディ ズニーテーマパークや有明がビーチのバックに広がる世界的なリゾート風格のシーンをたたえている都市型リゾ ートマリンパークには入場できなかったが、昨年この紙面で特集したあの海がすでにトップシーズンのさざなみ の打ち寄せる砂浜を横たえながら、多くの都市リゾート愛好者たちの来訪を心待ちにしていることであろう.. .。

京葉線の人気高級リゾート住居タウンといえば、すでにご紹介済みの新浦安一帯である。新浦安の駅前には東京 ブライトンホテルやオリエンタルホテルといった、普通の通勤ベッドタウンの駅前には見られない巨大な第一級 ツーリストホテルが建ち並び、東京ディズニーランドに程近い地の利で多くは内外のツアー参加客で占められる 客筋を収容している。横浜ベイサイドマリーナや葉山にも負けないだけの素晴らしい眺めや施設、環境を有する ヨットハーバー施設も週末の休憩スポットとしてはとても魅力的だ。しかも国や千葉県の住宅公団が大量に豪華 な高層リゾートマンション群を乱立させたため、多くが抽選なしで申し込み後即入居可能にして礼金・契約更新 料等なしという恵まれた状況であり、独身者や若い夫婦あたりにとっても「かなりなんとかなりそう」なリハウ ス計画の実現といった雰囲気は、住みたい気があるのであれば、相当に利用価値大なおはなしに違いない。

日に日に夏色を深めていく世界都市Tokyoにあって、夏でもスキーがしたければザウスがあり、水着姿で泳 ぎたければワイルドブルーヨコハマのような施設もある時代。しかし実際には完全週休2日制なんかで休んでい たらウィークデーの仕事のほうがなくなってしまうような時代にあっては、ハワイやオーストラリアへでさえス ケジュール的になかなか行けない大変な時代なのだといえそうだ。また、「パラサイト・シングル」などと呼ば れることも多くなった親元生活族にしても基本的には景気の悪さに関係するキーワードなのであって、多くの場 合は基本的には突然のリストラなどの可能性や経験があったりして、一人暮らしなどしたくてもなかなかできに くい状態に置かれているのである。しかし多くを望みすぎさえしなければ、つかの間のオフタイムを至極のひと ときにまで高めながら過ごすことは不可能ではない。それがまた小さなひとつの生活上での希望となる。つかの まのひとときに豊かな自己人生向上の夢を見る...それはとても喜ばしく夢多きことであると同時に、時にと ても寂しく物足りなさを味わわされる心もとない時間でもあり、まさにその各自の自己的意識における「心もと なさ」こそは、すでに見えはじめてきた21世紀の構造を理論的に読み解くべき鍵になる原体験なのかも知れな い...と本誌ウェブマスターには思われてならないのであった...。20世紀最後のマリンブルーの季節は、 われわれに一体何を暗示しようとしているのか...首都圏エリアにおける首都圏エリア的な模範解答はまだ誰 の内側においても得られてなどはいないはずなのだ。



追伸

翌日の日曜日、本誌ウェブマスターは依然として20世紀最後のマリン ブルー幻想を追い求める気持ちゆえに、「エリザベス女王に献上するために設計された」とも噂される英国製フ ロアスピーカーシステム「ウェストミンスター」が奏でるマリンブルーということで、フランスのポップスオー ケストラのアルバムで邦題「さよならマリンブルーの夏」という盤があったのを思い出して再生してみる。内容 は皇室アルバム系の番組でインストゥルメンタル系BGMとしても採用されることの多い、清涼感あるクールな 現代風室内管弦楽、といった雰囲気。アルバムの帯タイトルには「世界で最も美しく流麗なストリングスオーケ ストラが奏でるイタリア・カンツォーネ珠玉の名曲集」、となっている。といっても現代的な明るいリズム処理 が施された楽曲で、年寄り臭さはなく、なんとなくハーレクイン・ロマンスムービーの背景音楽、といった感じ 。名作映画テーマなども入っており、聴いているうちに不思議な感動を覚える。幸不幸が入り混じった激動の2 0世紀の中でももっとも幸福な層、人々、そして青春の思い出などを彩っている意味で、ひとつの重要な文化モ ニュメントのうちのひとつであるのかな、とさえ思われてしまう出来栄えは、広告に偽りなし!


それではまた。本誌次号をお楽しみに...