ニンテンドウカップ99 レポート

【ひみつの情報屋さんへ】

なんと! この前「ニンテンドウスペースワールド99」でおこなわれた、ポケモンバトルのグランプリをきめる「ニンテンドウカップ99」に出場した野並 萌さんのお兄さんが、その時のようすをレポートしてくれました!

これはぜったい読(よ)んでソンはないですよっ。長いケドたっぷりなお話だから「名前をつけて保存」しておいて、後でじっくり読むといいかも。


〜ポケモンリーグ’99 内部関係者(ないぶかんけいしゃ)といってもただの出場者(しゅつじょうしゃ)の同伴者(どうはんしゃ)の体験(たいけん)〜

written on 29. August '99(1999年8月29日) by Hidaka Nonami

E-mail:noel@moon.vip.co.jp
(Hidakaさんにメールを送るときはこちらまで)


28日(土)午後3:40分頃(ごろ)、ホテルグリーンタワーチェックイン。部屋番号1115。ロビーで任天堂(にんてんどう)スタッフの方にポケモンのカセットを預(あず)ける。ほどなくNスタ(Nintendoスタジアム)編集部(へんしゅうぶ))の方がやってきて、あとで部屋(へや)に簡単(かんたん)なインタビューにうかがう、とのこと。エレベーターで11階(かい)へ。

部屋の前まで来たが、カギを開けるのにコツがいり、1分ほど悪戦苦闘(あくせんくとう)。部屋はツインルームで、ふつう程度(ていど)の広さだ(泊(と)まるのは妹(いもうと)と母)。荷物(にもつ)をおろし、ちょっと調べたいことがあったのでパソコンを起動(きどう)していると、ノックの音。早いよ〜顔洗うひまもありゃしません(当日、CHAGE&ASKAのコンサートと重なっていたせいもあり、海浜幕張駅(かいひんまくはり えき=会場のもより駅)はおすなおすなの大盛況(だいせいきょう)。もう汗ダラダラでした)。

「は〜いどうぞ〜」って母さん母さん、オートロックじゃ開きませんがにゃ。妹がドアを開けると、Nスタの藤岡さん、カメラマンの方、そしてトランセル種市が登場! おおお〜トランセルだ、動いてるよ〜などと失礼なことを私が考えているうちに、は窓際の席にすわり、向かいのソファーに種市さんとカメラマンの方が座る。
「じゃ、簡単にゃインタビューを」種市さんが切り出し、妹がなんか答えている。
「地方大会終わってから、決勝大会用にポケモン育てなおした?」
「いいえ(←声かたい)」
そうなのである。は愛媛(えひめ)大会(7/27)が終わってからただの一度も「ポケスタ2」をやっていなかったのだ(ひたすらスマブラ)。余裕(よゆう)ではなく、私自身もまさか地方大会を突破できるなどとは考えていなかったため、気がぬけてしまっていたのだ。
「ここまで来れたんだから、あとはもう負けてもいいよ」と、地方大会でベスト8にのこってからは、ずっとに言っていた(←覇気(はき)ナシ)。

「64マリオスタジアムは見てる?あ、愛媛(えひめ)ってやってるんですかね」と途中(とちゅう)で種市さんが、少しはなれて立っていた藤岡さんに尋ねたので、
「ええ、やってますよ。住んでるのは香川ですけど」と私が答えた。そういえばこの前番組では「愛媛県の代表」って徹(とおる)さんがいってたな〜。
「優勝する自信ある?」

「…ちょっとだけある」
おいおい!キミ1ヶ月まるまるさわってなかったんやで!大した自信やな(笑)。その後写真を2,3枚とり、インタビュー終了。ホントに短(みじか)いな〜。

4時半頃にロビーに集合。選手(せんしゅ)たちも集まり、山本紫織(しおり)ちゃんと何やら楽しそうに話している。
順応(じんのう)早いねえ〜と思って見てると、トランセル氏と見覚えのあるでっかいおじさんが、なんか話し込んでいる。おお、紫織ちゃんお父さんだなとすぐわかり、こちらもごあいさつ。

今後の予定について選手たちにちょっとした説明(せつめい)があり、その後選手+関係者一同はぞろぞろと列(れつ)をなしてメッセ新館ホールへ。5分ほど歩く間に紫織ちゃんお父さん(以下パパさん)とちょっとばかり話す。5時すぎに到着(とうちゃく)。ここで関係者であることを証明(しょうめい)するシール('99SPACEWORLD WORKERS(スペースワールド・ワーカーズ)のロゴ入り)が配(くば)られ、一同裏手(うらて)の関係者入口からご入場。なんかいい気分。会場内ではたくさんのスタッフが後片付けをしている。メインステージにつき、選手たちは入場などのリハーサルのため前の方へ。ステージではいかにも撮影現場(さつえいげんば)らしい会話がとびかっている。同伴者の我々(われわれ)は後ろの方の席で待機(たいき)。

パパさんもひとりでヒマそうにしていたので話しかけようとしていたら、突如(とつじょ)会場にトーナメント表が登場!なに〜!?第一試合!?!
「あれ、決定したんですかね?」
「さあ…それだとちょっと困りますねえ」
と、パパさんも落ち着かない様子。
それもそのはず、第一試合の相手は、強豪(きょうごう)ぞろいで「地獄(じごく)」とまでいわれた超(ちょう)ハイレベルだった東京大会Hゾーンを制(せい)して代表になった青木君。かなりの強者らしいです、とのこと。ちなみにこのときはの相手は梶原くんだった。
「あ〜梶原君にゃら勝ちやすいと思います」とうれしいお言葉。
ペルシアン ウツボット エレブー をよく使っていたとの情報までいただく。しばらく検討(けんとう)して、よし、勝算(しょうさん)成立(せいりつ)!と思ったときに「組み合わせは明日のお昼に決めます」というスタッフの説明が。な〜んだ。「いや〜助かりましたよ」とパパさんはほっとした表情(ひょうじょう)だ。リハーサルも終わり、一行はふたたびゾロゾロとホテルへ。

帰り道、パパさんと色々話をしていると、
「マニアックな会話しよるね」

と入ってきたのは大阪大会1日目代表の坂本篤くん
「きみ何年生だっけ?」
「中3」
「お〜いい度胸しとるね〜」パパさん

うちの親と紫織ちゃんはさっき知り合った石川代表の永井君と話している。
「すきなポケモンはイーブイでしたっけ?」永井君
「よく覚えてるね〜」
一応全員の学年と好きなポケモンは覚えたそうだ。むむ、こりゃ勉強家(べんきょうか)だ。

ホテルに着いた後、食事に出かける。パパさん紫織ちゃん坂本君とそのお母さんも一緒だ。道中に、データ改造(かいぞう)の話になる。どうやら今回の大会でも、改造して出場(しゅつじょう)しようとした人がいるらしい。
「1日カセットを預(あず)かったのも、徹底的(てっていてき)なチェックをするためだろう」
坂本くん
「なんであんなことすんのかな〜。達成感(たっせいかん)あらへんやろ」という坂本君の言葉にパパさんも熱心(ねっしん)にうなずく。

彼が関係者(かんけいしゃ)から聞いたところによると、個体値*1(この言葉は2人とも知らにゃかった)最高のポケモンは、「絶対(ぜったい)に出ない」そうだ。
「えっ?でも1/65536の確率(かくりつ)*2で出るんじゃないの?」と聞いてみたが、その人が「出ないようにしてある」と言ったという。ふーん、確率的な問題じゃなくそういう仕様(しよう)か…。

ホテルのすぐそばのデパート(?)の2階へ。永井君がいたのでうちの母がさそいにいったが、どうも親が買い物してるらしい。2階はレストラン街(がい)。さあ、どこにするか…「ここにしよう」って、やっぱりそれね…だれが言い出したのか忘れたが、いつのまにか「とんかつ」中心の店に入っていた。

待っている間もマニアックな話を続ける3人。2人ともあまりパソコンはいじらない環境(かんきょう)らしく、ポケモンにくわしいホームページのことも知らなかった。さっそくアドレス書いて渡したけど、しまった!アドレスの一部抜けてる…。まあ、もし出なかったらYahoo!で検索(けんさく)するように言ったから大丈夫かなぁ?

個体値・努力値という用語があること、急所にあたる確率にはすばやさの種類値*4が関係していること、ドーピング無しでも能力は最大まで引き出せること、パソコンにあずけるとステータスが上がるのは、たままった努力値が再計算されるためであり、努力値の再計算はパソコンにあずける時とレベルアップ時に行われることなどを説明すると、2人とも興味深(きょうみぶか)く聞き入っていた。いや〜ポケモンについてこんなに人と語(かた)ったのは初(はじ)めてです(^-^;

坂本くんからは先ほどの関係者や「にっしん」(ポケスタ1に出てる子「にしむら しゅん」君のこと。高2で、今回は大阪大会2回戦で負けたがなかなか強いらしい)の話や、データ改造をしたらしい人に負けた子が、会場にのりこんで「こいつは改造だと叫(さけ)んでやる!」と言っていたというちょっとこわい話も聞き、パパさんからは64マリオスタジアムの裏話(うらばなし)(富士見コラッタ時代からのいろんな話)や、東京大会の情報をたくさん聞いた。ダメージの計算ができるプログラムのことを話すと、2人ともぜひ見たいというのであとでまた会う約束(やくそく)をする。うちの親と坂本君の親は、受験生(じゅけんせい)なのにこまったものです、あらうちも去年(きょねん)そうでしたよなどと話していた。

ホテルに帰った後くつろいでいると、永井くんが訊ねて来た。何?と聞いてみると、
「先ほどはおさそいをお断(ことわ)りしてすみませんでした」と言う。おお、今時なんと律儀(りちぎ)な子だ!
「そんなの別にいいよ」と言っても、
「後で追ったんですけど見つからなくて。ホントにすみません」
とまた頭を下げる。大した子だなぁ〜と思いました。何食べたの?と聞くと……「かつ」。どこの親でも考えることは一緒ですねえ、やっぱり。(^^)

ちょうど約束の時間(8:20)になり、坂本くんが迎(むか)えに来たので、永井君も一緒に行くことに。山本さんはひとつ上の12階、1212号室だ。さっそくさっき出たのプログラムを使ってみせると、
「こりゃいいな〜」
「うわ、ずる!」
「こんな便利なものがあるんですか!?」と3人ともいたく感動していた。

それからNスタを見ながらこいつのせめ方はこうだ、いやこいつは絶対(ぜったい)これは変えてきてるぞとか、こいつのニョロボン のねらいはおそらくこうだとか、じゃあこいつのカブトプス って一体何?とか、ファイヤー って怖(こわ)いけど「だいもんじ」次第(しだい)だよね、そうそう、あれほんとに「どくどく」と同じ確率か!?ってくらい外れるよな〜、ウィンディ って能力値(のうりょくち)もったいないよね〜とか色々しゃべっていると親がむかえに来た。時計を見ると、いつのまにかもう9時半を回っている。それじゃそろそろ、と名残惜(なごりお)しそうにみな立ち上がる。

「明日決勝で会おうな」
「ははは、そうだね」坂本くんパパさん
じゃあおやすみ、とそれぞれ自分の部屋に帰った。部屋にもどったあと、と母は風呂(ふろ)に入る。私はさっきまでの話を頭のなかで整理(せいり)しなおし、さりげなく聞き出した情報をもういちどまとめてNスタの記事と比較検討(ひかくけんとう)し、マニュアルを作成する。二人が寝(ね)たあとも、相手のポケモン別の3匹パターン(相手にペルシアン ユンゲラー ゴースト がいるかで場合分けし、8パターンに分けた)を完成。ウツボット は検討(けんとう)の末(すえ)除外(じょがい)し、完全な見せ球(だま)に。うちには地面系がいないから相手としてはエレブー ライチュウ を出しやすいな、やっぱりニドキング (一応(いちおう)育ててはいた)あたり入れとくべきだったか…いや、かえって相手のポケモンが読みやすくなるから逆用すればこちらが有利か…とか色々悩(なや)みながら、結局(けっきょく)4時半までかかってマニュアル完成。はすやすや寝ている。…やれやれ、どっちが出るんだか(苦笑)。


決戦(けっせん)の日、7時半起床(きしょう)。夜ふかししたためか食欲(しょくよく)がなく、パンを一切れ食べただけ。と親は下に食べに出かける。朝早くたずねてきた坂本くんとすこし話した後、帰ってきたにマニュアルを渡(わた)し、いくつか指示(しじ)を与える。今思えばこのときもう一回見直しとけばよかったなあ(^^;

8時50分に集合だったので、私がトイレに行ってる間に2人は先にロビーへ。私が後から忘れ物がないかもう一度チェックし(A型習性(しゅうせい))、カギをもってエレベーターへ。上からおりてきたエレベーターは結構(けっこう)人が入っていたが、なんとかのれた。扉(とびら)がしまり、エレベーターがおりていくが、ふと7階でとまった。まだのれるかな、とか思っているうちにドアが開く。赤いシャツを着た男の人が立っている。その男の人が腰(こし)を折(お)って重そうに荷物(にもつ)を持ち上げ、顔を上げた。その顔を見た瞬間(しゅんかん)、私の心臓(しんぞう)はたしかに一拍(いっぱく)飛ばして打った。(……!!!

……!!!み、宮本さん*5!?)そうなのである。現代のゲームの生みの親、世界の至宝、「あの」宮本さんである!あの宮本さんがいきなり入ってきたのだ。宮本さんがエレベーターに入ってくるとき、思わず後ずさりして必要(ひつよう)以上にスペースをあけてしまったような気がする。他の人の顔(かお)を見回したが特にこれといった反応(はんのう)もなく、また狭(せま)くなったくらいにしか思っていにゃいようだ。1階につくまでの時間が非常(ひじょう)に長く感じたのは気のせいであろうか。ドアが開き、宮本さんはすたすたとフロントの方に歩いていく。私も続いてエレベーターをおりたが、まるで無重力状態(むじゅうりょくじょうたい)を初めて経験(けいけん)した後であるかのように、自分の足元が妙(みょう)にたよりなく感じられた。

  (掲示板ログから)
>おおー!!宮本さんにあったなんてすごい!!うらやましいぞ!! 08/30(月) 23:37:07
>でしょ? 種市さんに会ったときは(話したときも)全然緊張しなかったのに(失礼ながら)、宮本さん見たときはビリビリ来ましたよ。 08/31(火) 00:02:41

ロビーにはすでに選手とそのご家族の方々が集まっている。紫織ちゃんのお母さんも来ていて(女の子は頭セットしなきゃいけないからね)、うちの親と何やら話している。宮本さんはフロントで荷物をあずけるようだ。フロント前のソファーでは、坂本くん永井くんの弟が2軍(ぐん)同士の対戦(たいせん)をやっている。

「おい、あれ見ろ!」
「何?」
「あの赤い服の人だよ!昨日お前見たっていってたろ?」
(前日ミュウ プレゼントに行っていた坂本くんは、「赤いシャツを着た宮本さんらしき人を見た」と昨晩話していた)あわてて立ち上がる坂本くん
「はやく入力してよ」と永井くんの弟がせかすので、またあわてて画面を見、ボタンを押す。エレブーペルシアン (だったか?)。
「バカ!GBで「みがわり」したって無駄だろ!」
見事にマヒする坂本ペルシアン。あっそうか、と坂本くんはもう気もそぞろだ。

混乱(こんらん)したのかあっさり負けた坂本くんは、宮本さんとフロント係との話が終わったとみると、すかさずそばに行って何やら話しかけた。うちの親が来たのでカギを渡(わた)しながら宮本さんのことを話すと、
「一緒(いっしょ)に写真とってもらったら?」という。
「…いや、迷惑になるから」
と言ったものの、ふだんはミーハー根性(こんじょう)とは無縁(むえん)な私がそう言うのに要(よう)した努力は、たいへんなものであった。話し終わったのか、坂本くん宮本さんにおじぎすると、宮本さんはにこにこして出口のほうに歩みさっていった。
「いや〜ホントに宮本さんだった。すげ〜」と戻って来た坂本くん
「何話してたんだよ」
「大会出るっていったら、がんばれって言われた」

くう!なんてうらやましい奴(やつ)だ!!

みんなが集まったので、あらためて選手の出欠(しゅっけつ)をとったあと、いよいよ出陣(しゅつじん)。会場裏で再(ふたた)び[WORKERS]のシールがくばられ、関係者専用(かんけいしゃせんよう)入口から入場。やはりいい気分だ。会場はまだ開いて10分もたっていないのに、大変な混雑(こんざつ)ぶりだ。すでにスマブラ大会は2時間半待ち。すごすぎる。メインゲートをぬけ、ステージ裏手(うらて)の通路にあるエレベーター(関係者以外使用禁止(かんけいしゃいが しようきんし)で2階へ。実にいい気分である。2階は長い通路になっていて多くの商談室(しょうだんしつ)があり、ところどころにある窓からは1階の様子(ようす)が一望(いちょぼう)できる。すこぶる気分がいい。待合室(まちあいしつ)に案内(あんない)され、簡単(かんたん)な説明(せつめい)を聞く。トーナメントはあみだくじで決められ、発表は昼にするという。「せっかくできた友達とそれまでなごやかに過(す)ごすため」だそうだ。なかなか気がきく。

10時50分の集合時間まで、自由に歩き回っていい、というので一時解散(かいさん)。私もと下に行くことにした。すさまじい混雑ぶりだ。が行きたがっていたスマブラ大会は到底(とうてい)間に合わないので断念(だんねん)した。(余談(よだん)だが、はスマブラではネス使いで小学生にしてはかなり強い。特に燃(も)やしてからのコンボ、相手ネスの空中からのPKサンダー体当たりを先読みしてこちらもPKサンダーを出し、相手のサンダーに当てて相殺(そうさい)して自滅(じめつ)させたりするなど、いやらしい攻(せ)めがうまい。一体 誰(だれ)が教えたのだろう?^-^;)

次に見たがっていたカービィ64は1時間待ちの5分プレイで、これも無理(むり)だ。結局(けっきょく)全部見てまわっただけで、実際(じっさい)にやったのはポケモンくじだけ(二人とも空クジなしの4等のどでかいバッジ。特等(とくとう)は非売品(ひばいひん)のラプラスピカチュウ のぬいぐるみだった)。

20分くらい前には待合室に戻った。その後、司会(しかい)のおねえさん(←実況(じっきょう)うまいね)もくわわってもう1度打ち合わせがあり、いよいよ取組表(とりくみひょう)が発表される。
「1回戦 第一試合(しあい)…」緊張(きんちょう)の一瞬(いっしゅん)。
「大阪大会代表、坂本篤くん対(たい)、」おいおい、あいついきなりかよ!と思う間もなく、
「64マリオスタジアム代表、山本紫織ちゃん」。どか〜ん。

思わずパパさんと顔を見合わせ、お互い苦笑(にがわら)いする。その後も次々と組合せが発表されていく。シードこい、シードこいと念じていると、来た!3分の1の確率(かくりつ)のシードがめでたく当たった。相手は今村くん(中2)。全く情報のない相手だが、なかなか真面目(まじめ)そうだ。その後スタッフ弁当(べんとう)がくばられ、ピリピリちた雰囲気(ふんいき)がただようかと思いきゃ、意外になごやかなムードでみんな話し合っている。

食事のあと、パパさん坂本くん今村くん・青木くんは円になっていろいろとしゃべった。はあいかわらず紫織ちゃんとひっついている。今村くんは無口で、なかなかに情報を引き出すのはむずかしそうだったが、それでも遠まわしにさぐりを入れた結果(けっか)どうやらエレブーライチュウ はどちらかにしぼったらしいことがわかった。の出た福岡大会はかなり最初のほうだから時間はたっぷりあり、64マリオの放送内容(ほうそうないよう)も考えるとおそらくゴースト あたりをくわえたのだろうという予測(よそく)が立つ(実際はどうだったっけ…)。

ここで予想(よそう)されるパターンとNスタの情報をもう一度照(て)らし合わせ、そのパターンで出す予定だったドククラゲエレブー に変更し、ペルシアン ゴースト エレブー とした。これは地面系を出されると(痛いた)いが、もとのままだとエレブーにやや弱い。そのパターンを使って戦うことになるもう一人の相手(地面系アリ)とはまず当たらないので、思い切って変更した。

パパさんに電話がかかってきて席を外したので、チャンスとばかりに坂本くん紫織ちゃん攻略法(こうりゃくほう)を聞いてきた。あらためて紫織ちゃんの6匹を見ると、電気系が1匹もいない。しかしこれはマリスタ決勝の松倉くん相手に組んだシフト(サンドパンを出してほしくなかったのだろう)で、おそらく今回は変更(へんこう)が予想される。かえるとしたらユンゲラーサンドパン を外してエレブー だろうという結論(けつろん)になった。で、リザードン どうかな」と言っていたので、この時点で(えらそうに)却下(きゃっか)。理由を説明するとあっさり納得(なっとく)した。こだわらないところがさすがにえらいね〜(^^) で、次にゴースト について、「おそらくペルシアン の顔を見るなり代えてくるはずだ」と注意を喚起(かんき)する。しかし坂本くんの場合、ペルシアン がぬけるとかなり痛(いた)いので、とりあえず先鋒(せんぽう)エレブー で様子見(ようすみ)、次に ペルシアン も決定(けってい)。さて3匹目は…と考(かんが)え始めたところでパパさんが帰ってきた

「いまこの子どうやって攻めるか考えてたんですよ」とNスタの写真を指さしながら言う。つくづく私も人が悪い。
「でもそれって決めつけちゃいけないよ」パパさん
「もちろん。どれ代えてるかだいたいわかるで」
坂本くんが自信ありげに言うと、ちょっと不安(ふあん)そうな表情(ひょうじょう)になった(^^;

そうこうしているうちに時間になり、同伴者(どうはんしゃ)の我々(われわれ)は一足先に席の確保(かくほ)にむかかった。「下手(「しもて」ね「へた」じゃないよ^^)のほうは映(うつ)しません」と聞いていたので、とりあえず1回勝てば映るか…とか考えながらステージ向かって右(=下手(しもて))のほうへすわる。パパさんは左(=上手(かみて))の方へ。今日1番のイベントとあって、20分前からステージ前はすさまじいこみっぷりだ。ふと前の席を見ると、藤田みかさんがいた。ポケスタ1にも出ているなかなか強い子だが、今回は「地獄(じごく)の東京大会Hゾーン」で敗(やぶ)れた人だ。パパさんの話では弟も二日目に出ていたらしい。選手紹介(せんしゅしょうかい)も終わり、いよいよ大会開始。ふと後ろを見ると、もはや空いている席などひとつもなく、場内は熱気(ねっき)につつまれている。熱(あつ)い。

1回戦…私にとっては注目の好カード。昨日の坂本くんの台詞…決勝(けっしょう)どころか1試合目だ。皮肉(ひにく)なもんだな…と思っているうちに試合開始(しあいかいし)。個人的(こじんてき)に99カップの音楽は「暗(くら)くて盛(も)り上がらない」と思っていたが、大音量・実況(じっきょう)解説(かいせつ)つきだとやっぱりちがう。坂本先鋒(せんぽう)エレブー …よしよしそれでいい、紫織ちゃんピクシー …うむ、予定(よてい)通(どお)りだ、と別に坂本くんの応援(おうえん)をしているわけではないのだが、どうしても自分が助言(じょげん)した人にはがんばってもらいたくなる(^^;

お、ペルシアン 出したな…ほれ次ゴースト 来るぞ、先読みしてサイドン にかえい!ありゃ?みがわり? まあそんなに悪くはないけど…、あちゃー「メガドレイン」?そりゃ完全(かんぜん)なミスだわ…(このへんからどっちの応援だかもはや自分でも判断不能(はんだんふのう))「バブルこうせん」?なるほど、「10まんボルト」よりも確実(かくじつ)にすばやさ下げにいったんだな…てことは3匹目はやっぱりおそいサイドン か…何!ヤドラン !?

それはちょっとばかしまずいんでないかい?坂本くんよ〜。こりゃ決まったかな…お、なんとか1発の範囲(はんい)までへらしたか…こりゃ1対(たい)1だな。うむ、きたきた…坂本先制(せんせい)!おや、思ったよりへらないな…まあ何とかもう1発でいけるが…それにしてもしょっぱなからいいバトルだ!見ごたえあるねえ〜。さあ、次どっちだ!おお、緑(プレイヤー2がわ)!決まったな…と、初戦(しょせん)から実に手に汗(あせ)にぎるすばらしい戦(たたか)いでした。
(任天堂(にんてんどう)公式(こうしき)サイト掲載(けいさい)の試合経過(しあいけいか)は間違(まちが)っています。最後はペル同士の対戦(たいせん)でした)

次はだな…お、出てきた出てきた…緊張(きんちょう)してこけるなよ…こけるぞ…こけるぞ…こけろ!(ここで我(われ)に返る)うーむ、どうやら頭が混乱(こんらん)してるな…。第2試合、モニターに映(うつ)らないので表情から想像(そうぞう)するしかない。あ、今村くんガッツポーズ!…くそ〜まずいのか?(ピクシー「カウンター」くらってペルシアン 沈(しず)んだそうです)…お、頭に手をやったぞ!困(こま)ってる困ってる・・・(最後のペルシアンゴースト をぶつけたそうです)…いけたかのぉ?いけたよな!?終わった!おお、残ってるよ!勝ったぞ!…ふう、こりゃ心臓(しんぞう)に悪いぜ…。

次、梶原くん相手。勝ちやすい相手のはずだが…おい!ひっつきすぎ!手元見えるぞ…お、梶原目と口がO!(゚ o゚ )でもあの子オーバーアクションだからな…おい、なんでいちいちメモをポケットにしまうんだ?ちゃんと横においとけ!あ!ありゃなんかミスったぞ(後で聞いたら、エレブーエレブー で、マニュアルではまず「みがわり」になってたのに押(お)しまちがえて「10まんボルト」(!)をかますという大ポカをやらかしたそうです。みごとに「でんじは」をくらってしまいました)。いちいち紙しまうからだよ…こら!手元見られてるって!こら梶原!ちっちゃい子相手に大人気ないぞ!何祈(いの)ってんだ(マヒして2ターン動けなかったそうです)…もっとはなれろ!あ〜も〜あのバカ!こら!見てからボタン押すな!さっきから入力おそいぞ!あ!負けたみたい…(ここで我に返る)。(手元を見たように見えたのは気のせいです。ひいき目です。負け惜(お)しみです。気にしないで〜…悔(くや)しいなあ!)

3位決定戦…永井君気合入ってるな〜。まずはピクシー か…ちゃんと「みがわり」しろよ…よし!「カウンター」外したな…OK、そのまま…おっと、読(よ)まれてたか(3ターン目、みがわりを先読みで消された)…やば!マニュアルどおりだと次は…あ!やっぱり「カウンター」食らった!うーむ、ピクシーペルシアン の交換(こうかん)は痛(いた)いな…次はエレブー だぞ…ん?サイドン にかえたか…よし、「みがわり」で1発は耐(た)えられるな…「サイコキネシス」でちゃんと削(けず)れよ…よしよし、それだけ削れば十分(「サイコキネシス」2発目の後「じしん」をくらい、エレブー はここでダウン)。最後はドククラゲ だな…まず確実(かくじつ)にトドメをさして…あ?ピクシー にチェンジ!?しまった!捨(す)てポケか!まずいぞ…たぶん3匹目は…う!!!(思いっきり予想(よそう)当たるなと祈ったが、やはりここで出てきたのはエレブー )…いや、「なみのり」が急所(きゅうしょ)に当たれば2発でいける。まだ望(のぞ)みはある…ぐわ、「でんじは」!やばいな…まだサイドン 残(のこ)ってるもんな…ここまでか…(ドククラゲ「10まんボルト」2発に耐えきり、3発目の「なみのり」で苦手(にがて)タイプエレブー を撃破(げきは)してギャラリーは大いに沸(わ)く!しかし…)無情(むじょう)にもさっきのサイドン が登場する。トランセルの解説(かいせつ)が聞こえる。「あ〜ドククラゲ サイドン の弱点(じゃくてん)つけるんですけど、マヒしてなければ、ってとこですかね〜」…まいった、まさかあの子捨てポケの使い方を知ってるとはね…(サイドン の先制(せんせい)、「じしん」がヒットし、ドククラゲ 倒(たお)れる)ま、仕方(しかた)ないな!

  (この試合の反省)
 まず、最大の敗因(はいいん)はペルシアン を先頭に出してしまったことです。これにより、 相手のピクシー と交換(こうかん)する(相撃(あいう)ちになる)ポケモンがペルシアン になってしまったのが痛(いた)すぎです。 ここは先頭エレブー で様子(ようす)を見るべきでした。これは私のマニュアル作成時のミスで、仕方ありません。

2番目の敗因は、4ターン目に「きりさく」「カウンター」返しを相手の読み通りにくらってしまったことです。3ターン目にこちらの「みがわり」を先読みの「のしかかり」で消されたところがポイントです。この時点でこちらのHPは「みがわり」2回したあとですのでちょうど半分。ここで相手としては、「一度みがわりを読まれて消されたのだから、これ以上のみがわりはHPの無駄(むだ)だと踏(ふ)んで、攻撃(こうげき)に集中(しゅうちゅう)してくるだろう」と考える可能性(かのうせい)が極(きわ)めて高いです。私のはマニュアルどおり←↑←↑といったわけですが(←:みがわり、↑:きりさく)、ここはアドリブをきかせて4ターン目も「みがわり」すべきでした。HP残り1/4になりますが、どうせ「カウンター」をくらえば1/2でも同じですから、相手がこちらの思惑(おもわく)どおり動いてくれれば安全にピクシー を排除(はいじょ)し、さらに2匹目に大ダメージを与えておくことができるこちらのほうが、はるかに上策(じょうさく)ですね。まあ、9才の子にあの緊張(きんちょう)する場でそんな機転(きてん)をきかせろといっても、無理な話ですね(^^;

(細(こま)かいバトルの経過(けいか)は、9/21発売(はつばい)予定のNスタを参照(さんしょう)してくださいね。大まかになら任天堂HPのhttp://www.nintendo.co.jp/n10/spacew99/sokuho/29/page04.htmlにも載(の)っています)

とまあ、このようにして大会も終わり、優勝賞品(ゆうしょうしょうひん)は予想通り金・銀の目録(もくろく)。試合終了(しあいしゅうりょう)後、任天堂の清水さん(ポケスタのディレクターの方です)が控(ひか)え室にやってきて、「次回の参考(さんこう)として」出場者のみんなにいろいろと意見を聞いていました。やっぱり「でんじは」は効(き)きすぎますかとか、すばやさの高いポケモンのほうが急所にあたりやすいのはどう思うかとか、次やるとしたらレベルの上限(じょうげん)は一定がいいか、それとも’97のように合計 制(せい)がいいかとか…。清水さんが帰ったあと、ひとりずつ写真撮影(しゃしんさつえい)をして、おひらき。みんなさっきまで戦っていたのが嘘(うそ)のように、なかよくポケモン交換(こうかん)してました。

大会終了後、スマブラコーナー行ったらすでに受け付け終了しててがっくし。ビデオとブレスほしかったのに〜。それから帰りの駅がもう地獄(じごく)。ただでさえ暑(あつ)いのにまたライブでもあるのか、スペースワールドから帰る人と駅から出てきた人とがぶつかりあってもうパニックでした。頼(たの)むから来年からコンサートは別の日にしてくれ…(むこうもそう思ってたでしょうけど ^^;)

次の日、は楽しみにしていたポケモンセンターに行き、前からほしがっていた「ピカげん」を買って香川に帰りました。たぶん今ごろ、テレビに向かって
「ピカチュウ〜」とかしゃべってるんでしょうね(^^;

以上で私の体験記(たいけんき)は終了(しゅうりょう)です。お楽しみいただけたでしょうか?みなさん、長々と拙文(せつぶん)にお付き合い下さいまして本当にありがとうございました。(了)