「初めてこの曲を聴いたとき、鳥肌が立ったん
ですよ。朝、移動中の車でボーッとしたときに
テープをもらったんですけど、聴いた瞬間に目
が覚めました(笑)。いつも新しい曲をいただく
ときってうれしいじゃないですか。でも、今回
はデビュー前から、自分が歌いたかった曲はこ
れだ! って思える曲と出会えたって言うか。
なんか、運命みたいなものを感じるんですよね」
昨年は初のベスト盤をリリースし、念願の初
ワンマンライブも実現させた平家みちよ。21世
紀の新たな一歩を踏み出そうとしている今、つ
んくプロデュース第3弾の『結局 Bye By
e Bye』は、まさに彼女の運命を大きく変え
る曲になるかもしれない。しかし、出会いが衝
撃的だったぶん、曲の完成までにはこれまでに
ない苦労があったようだ。
「一番最初の歌入れで、初めて自分が“楽曲に
負けた”って思ったんですよ。覚えやすい曲だ
から簡単かと思っちゃったんですよね。ところ
がえらい違いで。この曲を歌うには今までの自
分じゃダメなんだということを思い知らされま
した。つんくさんにも“今までの平家はまず置
いといてくれ。こっからは新しい平家”と言わ
れて。いい意味で初心に帰れました」
21世紀型の新しい平家みちよに、最初に求め
られたのは“強い意思を持った女性”を歌で表
現することだった。この試練を彼女なりにどう
乗り越えたのだろうか。
「曲を何百回も聴いたり…っていうのはもう当
然のことで。後は、ホントに微妙な違いなんで
すけど、今回は歌入れ中に歌詞をまったく見な
いで歌えるように、歌詞を徹底的に丸暗記した
んです。そうしたら、歌っていて全然違った世
界観が見えてきたんですね。例えば同じ言葉を
歌ってても、1番なら1番、2番なら2番の世
界があるから感情の込め方も微妙に違ってきて。
この詞の女性は、意志の強さがあっても、弱さ
がちらちらしてると思うんですよ。そこがこの
詞のおもしろいところでもあるんですよ。“女っ
てこれだからわかんないんだよなー”って男の
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子が言うような感じがすごく入ってるんじゃな
いかな」
レコーディング現場では、細かいテクニック
よりもテンションが重視されたという。もちろ
んこれも、彼女の3年間の経験があってこそ可
能なオーダーなのは言うまでもない。
「リズムもピッチも悪くてもいいから、とにか
く意思を貫き通してくれと言われて。マイクの
角度も、ライブで歌うときの角度にして。客を
目の前にして歌ってると思ってくれって。それ
くらい、今まで以上の感情や愛情をこの曲に注
がなければ歌いきれない。奥が深い曲です。で
も、レコーディングでは100%、120%で何回も歌
いきったんで、でき上がったシングルはすごく
満足してます!」
恋人に対して“私は私なの”と言い切ってし
まうような、強くて自立した女性像は彼女自身
の憧れでもあるようだ。
「やっぱり“私は私なの”とか言い切れる、カ
ッコイイ女性になりたいですよね。私の場合は
まず“あなたはあなたでしょ”って言える相手
を見つけなきゃいけないんですけど(笑)。あと
私って、昔から自分がかわいい女の子になりた
いって思ったことがないんですよ。自分じゃな
くて、かわいい女の子を見て“かわいいー”っ
て思ってたいんですよ。最近だと“なっち(安
倍なつみ)かわいいー”とか(笑)。自分自身は、
女の子からみてもカッコよくて、男の人からも
“あ、カッコええなこいつ”っていう存在にな
りたいですね」
キャッチーでいて奥の深い、そんなカッコイ
イ曲を引っさげて、ボーカリストとしてますま
す強く、たくましく進化を続ける彼女。
「この曲には等身大の自分と理想の自分が入っ
てるから、有線とかで一般の人が聴いて“平家
ってこんな子やったんや、なかなかええやん”
って思ってくれればいいかな。どこまでいける
かわからないけど。そういう気持ちがすごくこ
もってる歌なんで。できるだけ多くの人にこの
気持ちが届けばいいなって思いますね」
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