Michiyo Heike

平家みちよ

気がついたら、"詞を書かせて
ください!"ってお願いしてたんです
初めて自ら作詞を手がけたシングルを
リリースした平家みちよ。デビュー以来
人一倍意欲的で、着実に成長を続ける彼女の
より大きなステップ・アップの秘密とは?

「詞を書く」ことに限らずゼロから何かを作り出す
こと、つまり創作に向かうということは非常にパワ
ーを要する。平家みちよの新曲「scene」は6
枚目のシングルにして初めて彼女がペンを握った作
品だ。この4月に20歳を迎えて、彼女の中の何かが
急激に動き始めたのだろう。ひさしぶりに会う彼女
も不思議とこれまで以上に意欲をみなぎらせている。
「20歳になって責任感が芽生えた……というわけで
もないんですが、自分の知らない間に自分の中身が
どんどん変わっていたんです。たとえば学生時代の
友達としゃべったり悩みの相談に乗ってあげたりし
てても妙にギャップを感じるんですよね。それは相
手が学生で、私が社会人ということもあるんでしょ
うけども。でも表現していくうえで、歌を聴いてく
れる人たちの側に立って詞を書いたり曲を書いたり、
あるいは歌をうたったりするのはすごく重要なこと
なんじゃないかって思うようになって。同時に今の
平家みちよをステップ・アップさせるために何をし
たらいいのかと考えていくと……。気がついたら、
Hatakeさんに“詞を書かせてください!”っ
てお願いしてたんです。このシングルから私に詞を
書かそうと思っていた人は誰もいなかったはずなん
ですよね。でも自分で言いだした以上、“やっぱりで
きませんでした”というのはいちばん格好悪いこと
だし、私自身ももっと上をめざしたかったんです」
 今回の「scene」は、曲を聴きながら頭の中
に広がっていくシーンをそのまま形にしていくとい
う方法で着手。そう悩まずに記念すべき第1作が完
成したという。
「目の前に広がっている海とその前に座っている女
の子。あまり人のいない穏やかな海がパッと頭に浮
かんだんです。でも私自身はほとんど海なんて行っ
たことがなくて(笑)。真夜中急に思い立って友達数
人と熱海へ行ったことと、あと家族で鳥羽に泳ぎに
行ったぐらい。本当に思い出せるのはそれぐらいな
んですよ。だから、もう想像。完全に自分の世界。
でも私たちの年齢って、ちょうど免許を取って車に
乗り出すぐらいでしょ。そうすると必ず彼女とかを
誘って海にドライブへ行ったりしますよね。みんな
必ずといっていいほど海には行くはずだし、もう直
感で“海だあ!”と思いました」
 出来上がった手書きの詞をHatakeと一緒に
手直ししている間も、言葉回しなどで譲れないとこ
ろは譲れないと自分の意見を貫き通したそうだ。
「ホントはパソコンの前に座ってカチャカチャとキ
ーボードを叩きながら書いてみたかったんですけど、
なかなかそう格好よくはいかなくて(笑)。でもひと
つのことをやり遂げたというのは大きな自信にもな
っていて。それはきっと歌声にも反映してくると思
うんですけど、今回は本当に自分が暖めたものをリ
リースするという感覚があります」
 夏真っ盛り。海が似合うさわやかで少しせつない
「scene」とともに、今年も彼女は全国各地のイ
ベントに出かけていく。
「〜〜休み! と聞くと、全国ってすぐに連想しち
ゃう。だから今年も海には行けそうもないんですよ
(笑)。なんで私って、海の近くで生まれなかったん
だろうなあって思っている最中です」
 それでも99年の夏が終わる頃、平家みちよはひと
回りもふた回りも成長しているはずだ。

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