Michiyo Heike

平家みちよ

デビュー曲から最新シングル「愛の力」まで
平家みちよの足跡が記されたアルバム
『For ourself〜Single History〜』が発売された。
ひとつの時代を総括する今作について語ってもらった。

あのシングルの頃自分はこうだったとか、
思い出して懐かしんでもらいたい

 残暑厳しい8月下旬、目の前に座った平家みちよ
にちょっとビックリ。日焼けしているのである。夏
だから当然とはいえ、肩なんか真っ黒!
「これはライブ焼けなんですよ。"Hello! Project"
で全国を回ってきたんですが、ほとんど野外公演ば
かりなんですね。リハは昼間の陽射しの中でやるし、
昼公演の時もあって、日焼け止め塗ってても焼けま
すね。今年はほんと暑い!」
 筆者も代々木第一体育館でライブを観たが、夏は
ライブ三昧だった彼女。会場に足を運んだ人にとっ
て、きっと素敵な夏休みの思い出になったことだろ
う。何年か後に当時の自分を振り返った時、懐かし
い気分にさせてくれる宝物になっていれば、アーテ
ィスト側は満足だろう。
 平家みちよのアルバム『For ourself』は、彼女の
歴史が見える歴代シングル集である。97年11月デビ
ューだから、早いものでもうすぐ3年になろうとし
ている。
「ずっと応援してくれている人には、平家があのシ
ングルを出した頃の自分はこうだったとか、こうい
うことをしてたってことを思い出して懐かしんでも
らいたい。黄色5以降に私を知った人は<GET>
の頃は“べつの人のファンだったなぁ”とか、そう
いう懐かしさでも全然かまわないから(笑)」
 このアルバムを聴いて、まず感じてほしいのは自
分なりの懐かしさだと言う彼女。
「だって、平家みちよが歌手として成長してること
は、順番に曲を聴いていけば、嫌がおうにもわかる
から、むしろ自分自身のことを思い出すほうが楽し
いと思うし」
 秋風が吹くこの季節。楽しかった夏休みのことを
思い出して、ふと息をつくことは誰にでも経験があ
ることだろう。何年経っても夏の思い出に懐かしさ
を覚えるように、このアルバムで夏に限らない懐か
しさを感じてもらえるだろう。そう思えば、彼女が
アルバム・タイトル『For ourself』に込めた気持ち
も見えてくる。そう、曲に込められた思い出は平家
みちよ自身のみでなく、僕たちのものでもあるとい
うことだ。そして、このアルバムのチェック・ポイ
ント。じつはシングル曲以外に未発表曲含めほか2
曲が収録されていたりする。
「1年前<scene>を出した時にシングル候補曲とし
てレコーディングしていたんですが、世にでなかっ
たのが<myself>という曲。これは私が初めて歌詞
を書いた曲で、これからどういう歌詞を書いていき
たいかという決意みたいなものが込められた曲なん
ですよ」
 何もわからない状態でデビューからの日々を過ご
し、多少の余裕とともに、自分の在り方についても
考えられるようになった1年前の時期だからこそ書
くことができた歌詞なんだろう。
「ただのきれいごとではなく、メッセージ性のある
ことを書いていきたい。いい曲を素直に口ずさんで
もらうのはうれしいけど、それだけじゃなくて“自
分はどうなのか?”ってことを歌詞から考えてもら
いたいと思って。<myself>は平家じゃなくて、聴い
た人自身なんですよ。……思春期って、ちょっとし
たことで悩むじゃないですか。私もそうだったし、
生きることに悩む繊細な気持ちを持ってる人に届く
歌を書きたかったんですね。」
 たしかに歌詞を見れば、彼女のメッセージは伝わ
ってくる。それも難しい言葉に頼ることなく、素直
に書かれていて清々しい。平家みちよ作詞作品が世
に出たのはこの曲を含めて3曲だが、もっと書いて
ほしいと思う。まぁ、それはこれからの楽しみとい
うことにしよう。そしてもう1曲、なんと黄色5の
一員として発表した「黄色いお空でBOOM BOOM
BOOM」が、平家みちよソロ・ボーカルというスタ
イルで収録されている。かなりおもしろいぞ。
「アルバムのラストを飾るボーナス・トラックなん
で、5人で歌った原曲と聴き比べて楽しんでもらい
たいですね」
 そういう楽しみ方はかなりイケるのだ。
「私としては歌ってる時に、なっちや圭ちゃんの顔
が浮かんできちゃって大変でしたけど(笑)」
 先日の"Hello! Project"で、黄色5はこの曲を披
露していたが、筆者を含めて観た人の感想として黄
色5の圧倒的な存在感や貫禄を評価する人が非常に
多い。それだけ、曲も振付もキャラもいいわけだが、
平家みちよにとっては黄色5のライブを評価される
より、とにかくソロのライブをやりたいという気持
ちが強いに違いない。
「そろそろじゃないですかね! 頼むからやらして
くれっていう感じ。もう、路上で歌ったっていいん
ですよ。とにかくソロ・ライブやりたい!」
 今後の彼女の目標であり、僕たちの楽しみはそれ
だろう。素敵な思い出に加えたいじゃないか!

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