これまでのシングルを集大成した
アルバム『For ourself』を発売
平家みちよ さん
歌手

ネガティブな自分も愛してこそ
人は前に進めると思う

Michiyo Heike
<PROFILE>
●'79年4月6日生まれ。三重県出身。
B型。97年、テレビ東京系、『ASAYAN』
の「シャ乱Q女性ロックヴォーカリス
ト・オーディション」でグランプリを
獲得し、同年11月にシングル「GET」で
デビュー。今年8月には、つんくプロ
デュース第2弾となる通算8枚目のシ
ングル「愛の力」を発売。アルバムは
9月13日発売の『For ourself〜Single
History〜』で2枚目となる。
何をしても目立つ友達
がうらやましかった
歌の才能を開花させ
コンプレックスを解消
 小さいころから漠然と歌手に憧
れていたという平家みちよさんは
当時、アイドルには興味なし、音
楽の時間に歌がうまいと言われた
こともない。“なんとなく印象の
薄い子”だったという。
「クラスの人気者と言われる人と
は全く無縁。別に大人しいわけじ
ゃなくて普通なんだけど、普通過
ぎたせいか、特に目立つこともな
かった。それが、ずっと自分の中
ではコンプレックスだったんです。
“自分はなんで目立ってないんだ
ろう?”っていう思いがどこか
にあったんでしょうね」
 ある意味、注目を浴びるなら歌
じゃなくてもよかったのかもしれ
ない。ただ、人とは違う何かが欲
しい。その“何か”を、彼女は小
学生のころから探し続けていた。
「そういう環境だったんですね。
小学校のころずっと仲のいい女の
子がいて、その子がいわゆる人気
者だったんです。どこに行っても
声をかけられるし、かわいがられ
てた。私も彼女がすごく好きだっ
たけど、やっぱりうらやましかっ
たんですね。彼女の存在がなかっ
たら、自分自身や自分の置かれた
状況に疑問は持たなかったと思う」
 そんな平家さんに歌うことを意
識させる決定的な出来事が、中学
2年生のときに起こった。
「修学旅行に行って、バスで移動
してるときにカラオケをしたんで
す。私はそのころ大好きな歌手が
いて、その人の曲を歌ったんです
ね。その最初のフレーズを歌った
瞬間に、“えっ、だれ?”って感
じで、バスの中の全員が私のほう
を振り返ったんです。あれは今で
も忘れられない。その瞬間に、目
立ちたいのに目立てないという自
分のコンプレックスが一気に解消
されましたね。で、自分には歌し
かないって思ってしまった。あの
ときの記憶があるから、今でも歌
だけは絶対に譲れないですね」
 デビューから3年。すべてのシ
ングル曲を網羅したベスト・アル
バムをリリースする彼女は、この
3年間を振り返って“とてつもな
く長い3年間”と表現する。
「波乱万丈で、10年ぐらいたって
る感じ。迷ったり葛藤したりして
た時期もあったし、“充実”とい
う言葉だけでは片付けられない」
 そんな3年間をくぐり抜けてき
た彼女の“自分らしさ”とは?
「昔からずっとネガティヴ思考で、
そんな自分がまた嫌だったりもし
たんですよね。でも、そうじゃな
いんだよって。ネガティヴな自分
も愛してあげてこそ前に進めるん
だよってある人に言われて、すご
く楽になった。人って、自分が好
きな自分ってあるじゃないですか。
そういう理想像に少しでも近づけ
ると、自分のことを愛せたりして。
だから理想に近づくためにちょっ
と努力してみる。それが自分らし
くいるためのコツだと思います」

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