ASSAULT SUITS LEYNOS

HISTORY ●ヴァルケンの時代
以下は、1993年に株式会社アスキーより発行された
「重装機兵ヴァルケン公式ガイドブック」
より、背景設定の部分を抜粋したものです。

レイノスにおける外宇宙探査隊を見捨てる原因となった
第4次世界大戦の頃の事等についての記述があります。


VALKENの時代
HISTORYof ASSAULT SUITS
「重装機兵ヴァルケン」の舞台となるのは、22世紀初頭(2101年)に勃発した第4次世界大戦である。実際に戦いが行われたのは比較的短い期間であったが、 それに至る経緯は長く、複雑である。新しい動力システム、革新的な兵器体系が21世紀中に進歩を遂げたことが、人類史上、もっとも規模の大きな戦いが起きた原因となっている。



宇宙への進出が人類の野心に再び火をつけた

時は21世紀。世界はふたつの巨大陣営に分かれていた。 一方の環太平洋合衆国はアメリカ、日本、オーストラリアを中心とした太平洋諸国が、そしてもう一方の欧州アジア連邦はその名のとおり、 ヨーロッパ、アジア、そして旧ソビエト連邦諸国が、その構成員となっていた。
20世紀末から続いていた軍備縮小の流れから、 当初は経済的な共同体であった両陣営も、人類も宇宙進出に合わせ、再び軍事同盟的な色彩を強めていった。 無限の資源を秘めた月の所有権を巡り、両者の関係が極度に悪化したからである。そして、世界は再び、戦火に包まれた。時は21世紀末・・・・・・。
歴 史 年 表
2016年  月の鉱石採掘場で動力鉱石発見。
2043年  重力制御装置がアメリカで開発される。
2052年  動力鉱石リニアシリンダー、開発される。
2084年  デハイン・ベルガー、バース・ハーティにより、
 小型車両用動力鉱石エンジン、開発される。
2089年  環太平洋合衆国軍、宇宙空間・月面で
 行動可能な車両の開発を、関係各社に依頼。
2090年  グランパシフィック社、
 アサルトスーツ「ヒューズ8」の仕様を合衆国に提出。
2091年  「ヒューズ8」ロールアウト、合衆国軍、正式採用。
2093年  月面の化石燃料採掘場で合衆国軍、連邦軍が衝突。
 第3次世界大戦、勃発。
2096年  合衆国、連邦間に和平交渉樹立。第3次世界大戦、終結。
2097年  外宇宙探査隊、太陽系外に出発。
2099年  アサルトスーツ「ヴァルケン」ロールアウト。
2101年  連邦軍宇宙巡洋艦「バイカル」、
 衛星軌道上で合衆国の輸送船を襲撃(バイカル号事件)。
第4次世界大戦勃発



1.第3次世界大戦に至るまで
2016〜2093年
動力鉱石の発見によるニューテクノロジーの進化

21世紀における最大の発見として数えられるものが、いわゆる「動力鉱石」である。 2016年に月面で発見されたこの奇妙な鉱石は、それまでの動力システムの概念を一変させるに至った。 特殊な電磁的固有波長を持ち、加工と異なる周波の動力鉱石と組み合わせることにより、膨大な電気エネルギーを発生させる、魔法の鉱石であった。
動力鉱石の発見は技術革新の大いなる礎となったが、その反面、世界を二分する巨大陣営の争いを加速する原因ともなった。 もともと、両陣営は残り少ない化石燃料の採掘権を巡り、非常に険悪な状態にあったのである。
両陣営では、動力鉱石の特性を利用して、「動力鉱石エンジン」の開発が進められていたが、 構造の複雑さから小型化が難しく、宇宙艦のメインエンジンなど以外は利用されることがなかった。 しかし、2084年に超小型動力鉱石エンジン「ベルガー・ハーティ機関」が開発された。 当初は実用性が疑問視されていた同機関だったが、後にその画期的なシステムが見直され、アサルトスーツや機動兵器の開発の基礎となったのである。
用 語 解 説
動力鉱石 2016年に月面で発見された鉱石。 特殊な電磁的固有波長を持ち、ある種の加工を加えることにより、莫大な電気エネルギーを発生する。 当初はその数も少なく、それを利用したエンジンも大型のものしか作れなかった。そのため、実用化疑問視されていた。 だが、2040年代に月面で新たな鉱脈をいくつも発見、またハイコストパフォーマンスの「動力鉱石リニアシリンダー」や 「エンジン」が開発され、後のアサルトスーツや機動兵器の動力源として活用されることになる。 「ヴァルケン」の舞台となる第4次世界大戦においては、ほとんどの車両・宇宙艦・機動兵器が、この動力鉱石を利用したエンジンを搭載している。
反重力装置 正式な名称は「電磁的重力減衰制御装置」。
動力鉱石の莫大な電気エネルギーを利用したシステムのひとつ。 完全な反重力を発生させるわけではないが、超高密度の電磁障壁を発生させて、重力の影響を軽減することが可能。 大型の宇宙艦、機動兵器などに補助的な駆動装置として組み込まれる場合が多い。
新時代の機動兵器アサルトスーツ開発への道

2080年代、動力鉱石を巡っての争いが激化した。 将来の大規模な地球圏外での戦闘を予想し、環太平洋合衆国軍では、関係各社に新構想の兵器システムの研究を依頼した。
軍の発注は、宇宙空間及び月面での戦闘が可能な特殊車両の開発だった。 当時、十数社から様々な新兵器仕様書が提出されたが、そのほとんどは航宙機と戦車をき見合わせた形状のもので、 その全長は20メートルを超える巨大なものだった。性能はともかくとして、1機を建造するのに、宇宙巡洋艦1隻分の費用がかかるプランばかりであり、 合衆国軍の新兵器構想は座礁するかに見えた。
そこに浮上してきたのが、当時はまだ弱小メーカーだったグランパシフィック社のプランだった。 全高6メートル、重量4トンの人がタ兵器。この機体こそが、現在アサルトスーツと呼ばれている兵器の原形、「ASS-01/ヒューズ8」である。 ヒューズ8には様々な革新的な構想が盛り込まれていた。その第一が「ベルガー・ハーティ機関」を主動力として採用したことだった。 同機関は技術的には高い評価を受けていたものの、実用レベルでさまざまな問題があり、実際に機体に搭載されたのは、このヒューズ8が初めてであった。 また、グランパシフィック社はマニュピレーターメーカーの本領を発揮して、ヒューズ8に当時としては非常に進んだマニュピレーターを装備するプランを立てた。 人間の腕とほぼ同じ動きが可能なマニュピレーターを使う使うことにより、武器の換装はもちろん、あらゆる状況、作戦に適応させることが可能となったのである。 これが認められ、2093年、ヒューズ8の正式採用が決定された。
用 語 解 説
グ  ラ  ン
パシフィック社
もともとは宇宙戦艦のメーカーであったユニオン重工業の子会社。 艦船に搭載する貨物移送車両の開発製造を主業務としていた。そのため、マニピュレーション技術に関しては独自のノウハウを持ち、 また動力鉱石エンジンについても、親会社のユニオン重工からの技術提供を受けられる立場にあった。 「ヒューズ8」の採用により、後の合衆国軍のアサルトスーツの製造を、ほとんど一手に引き受けることになり。



2.第3次世界大戦
2093〜2096年
化石燃料を巡り2大陣営が激突

2093年、両陣営間の緊張が頂点に達し、ついに第3次世界大戦が勃発する。
開戦の主な理由としては、 動力鉱石、そしてまだ資源としては一般的だった化石燃料=石油の採掘権を巡る争いが大きな原因であった。 第3次世界大戦には、いくつかのユニークな特徴がある。まず、その主戦場が宇宙空間であったこと。人類が初めて体験した、宇宙空間での本格的な戦闘であった。 続いて特筆すべき点は、「ヒューズ8」が実戦投入されたことである。その後の戦場の主役となるアサルトスーツのデビューというわけだが、 その活躍は華々しいものではなかった。軍上層部はASの性能を信頼しておらず、せいぜい機動歩兵の支援兵器としてしか、使用されなかったためである。
宇宙空間での戦闘は莫大な戦費を浪費し、 両陣営は大戦勃発から3年後の2096年に和平階段を提案。いくつかの条約が結ばれ、大戦は終結した。 第3次世界大戦が人類に残したものは、より深刻な資源の枯渇だった。両陣営協力のもと、外宇宙探査のための艦隊が編成され、 太陽系外に送られるなど、世界は束の間の平和をとり戻したかに見えた。だが、それは次の戦いの序曲に過ぎなかった。
用 語 解 説
欧州アジア連邦 構成国はヨーロッパ、アジア、旧ソ連諸国。 20世紀初頭にECを発展させる形で作られた経済共同体である。しかし、合衆国との政治・経済的衝突が度重なるにつれ、 軍事同盟的な色彩を強める。同時に全体主義的な政治体制に様変わりし、各国の自治権はかなり制限され、中央集権体制が確立している。
環太平洋合衆国 構成国はアメリカ、日本、オーストラリア、その他の太平洋諸国。 成り立ちは連邦と同じく、経済共同体として創設された。しかし、連邦との争いの中、やはり軍事同盟としての色彩を強めていく。 合衆国とはいえ、各国の自治権は強い。合衆国政府は旧アメリカ・ワシントンに置かれている。



3.第4次世界大戦に至るまで
2096〜2101年
束の間の平和は次の大戦へのインターバルに過ぎなかった

2096年に第3次世界大戦が終結。 しかし、それは次の戦いへのインターバルであり、終戦というよりは休戦状態にあったという方が正確な状況だった。
第3次世界大戦が終了後すぐ、両陣営は次の大戦を予想し、互いに新兵器開発に血眼になった。 その中心となったものが、アサルトスーツである。第3次世界大戦でヒューズ8を投入した合衆国だけでなく、 連邦軍も大戦中に捕獲した同モデルの機体をもとに研究を進め、アサルトスーツ量産を急いだ。 同盟国の大佐に比例し、連邦側にはバラエティーに富んだ技術力があり、多種多様なアサルトスーツ、機動兵器が生産ラインに乗った。
一方の合衆国側もアサルトスーツの研究には一日の長があった。 その持てる技術を集約し、革新的な性能を持つモデル「ASS-117/ヴァルケン」を完成させたのである。
そしてヴァルケンのロールアウトから2年後、第4次世界大戦が勃発した・・・・・・。
用 語 解 説
外宇宙探査艦隊 地球上の資源が本格的に枯渇し、 人類は太陽圏外、外宇宙の資源開発を本格的に計画した。探査艦隊が編成され、第1次探査隊は2097年に地球を出発した。 しかし、地球は2101年に第4次世界大戦に突入した。結果的に彼らに対しての支援は放棄されたという・・・・・・。
ヴァルケン 型式名ASS-117。 グランパシフィック社がそれまでのAS制作のノウハウのすべてを終結、合衆国軍の切り札として戦場に投入された。



グラハム号事件(2101)とは?

第4次世界大戦の開戦の原因となった事件。
2101年、月の採掘基地を出発した合衆国軍の資源輸送艦「グラハム」号が衛星軌道上で行方不明になるという事件が発生した。
調査の結果、グラハム号は連邦軍の宇宙巡洋艦「バイカル」の砲撃を受け、撃沈されたという事実が判明した。 後の詳しい調査によれば、バイカルの発砲に関しては、自動迎撃装置の誤作動であり、乗組員に戦闘の意思はなかったといわれる。 しかし、緊張の高まっている両陣営には開戦する十分な理由となり得た。この事件は後に「グラハム号事件」と称され、第4次世界大戦の代名詞となる。



4.第4次世界大戦
2101年以降
2101年、 後世に言われる「グラハム号事件」をきっかけとして、合衆国、連邦の両陣営は第4次世界大戦に突入した。
第4次世界大戦は前大戦と違い、 宇宙空間はもちろん、地上のあらゆる場所で戦闘が発生した。 史上最大規模の戦いと言われるに相応しいものであった。
戦局は連邦軍有利で始った。 しかし、合衆国軍は地上での戦いに見切りをつけ、その戦力を宇宙に集中させた。 その作戦が功を奏し、連邦軍は生命線である月面、衛星軌道上の資源採掘・加工施設をことごとく失い、戦況は合衆国軍有利に傾いた。 追いつめられた連邦軍は最後の切り札として、宇宙要塞「アーク・ノバ」を地球に落下させる作戦を立案するに至ったという。
大戦中盤より、戦闘の舞台は地上が主となる。 政治経済の中心であるヨーロッパ地区を死守するため、連邦軍は大西洋、アフリカ、旧ソ連地区に厚い防衛網を敷き、合衆国軍の侵攻を防いだ。 遅々として進まないヨーロッパ攻略に業を煮やした合衆国軍司令部では、無謀ともいえる総攻撃作戦「オペレーション・ソルジャー・ソウル」を展開、 本来は宇宙戦闘様であるAS用強襲揚陸艦まで投入し、戦力のほとんどを連邦首都に差し向けた。それに対して、連邦軍は最後まで激しい抵抗を見せた。 しかし、すでに連邦議会内では戦争継続を疑問視する声が多数となり、合衆国の降伏勧告を受け入れることが決定され、第4次世界大戦は終結を迎えるに至る。
用 語 解 説
アーク・ノバ 衛星軌道上に位置する連邦軍の最大規模の宇宙要塞のひとつ。 アステロイドベルトから搬送した小惑星を利用し、建造されている。月面で採掘した資源のターミナル、新兵器開発の研究施設としても利用されている。司令官はゲルツ将軍。
オペレーション
ソルジャーソウル
第4次世界大戦最後に展開された、 合衆国最大の作戦。合衆国軍の協力を結集し、連邦の中心であるヨーロッパを強襲した。 作戦に参加したのは、将兵30万人、ASなどの機動兵器、多数。両軍ともに多大な被害を出し、作戦は終結した。



合衆国軍・連邦軍
兵士たちの素顔
環太平洋合衆国軍
The UNITED STATES of PACIFIC RIM FORCE
環太平洋合衆国軍は旧アメリカ合衆国軍が母体となり、20世紀初頭に創立された。
合衆国軍の構成国は、アメリカ(南・北)・カナダ・日本・オーストラリア・ニュージーランド・その他太平洋諸島の各国である。 いわゆる旧三軍(陸・海・空)に関しては、指令系統、装備ともに各国独自のものが使用され、それは第4次世界大戦終結まで至っていた。 しかし、合衆国軍創立と同時に結成された宇宙軍(正式には衛星軌道軍と呼称されていた)については、 同盟各国の混成軍として組織され、宇宙戦闘艦、機動兵器などの装備に関しても、共同で研究開発が進められた。
司令部は旧北米のニューヨークに置かれている。

合衆国軍は、陸・海・空・宇宙軍のそれぞれ、約10万人、合計40万人の将兵によって構成されている。 兵器体系の高度なシステム化により、旧世紀の軍隊と比べるとかなり小数の人員での運用が可能となっている。

ここでアサルトスーツ隊について、少し説明を加えておこう。 開発当初、アサルトスーツは、その兵器としての概念自体があいまいだったため、そのパイロットにも、さまざまな部署の人間が集められた。 宇宙軍からは宇宙戦闘機のパイロット、陸軍からは戦闘機パイロット、戦車兵、そして試験的に空軍パイロット、海兵隊員などが初期のアサルトスーツパイロットを務めた。 いまでこそ戦場の主役の座を務め、そのパイロットになるにも厳しく選抜を受けるアサルトスーツだが、当時はキワモノ的な扱いであり、 自ら志願してパイロットになるものは少なかったという。 また、当時アサルトスーツが配備されていたのは宇宙軍だけだったが、第4次世界大戦を予期していた軍上層部は陸軍にも配備を急いだ。 そして宇宙軍でも、作戦展開の主軸をアサルトスーツとして、強襲揚陸艦などのサポートシステムの開発、配備を充実させていった。 この先見の明こそが、合衆国軍を第4次世界大戦の勝利に導いたと後世に評価されている。
欧州アジア連邦軍
EUROPEAN-ASIAN FEDERAL FORCE
欧州アジア連邦はその名のとおり、ヨーロッパ、アジア、旧ソ連によって構成された連邦国である。 連邦軍は旧NATO諸国の軍隊を中心に、合衆国軍と同じ21世紀初頭に創立された。
各国共同軍備の計画は合衆国よりも早く、 軍創立と同時に指令系統は代表政府に委ねられ、装備についても連邦各国が共通のものを使用する体制になった。
司令部はヨーロッパ・フランスの旧パリ中心部に置かれている。

連邦軍は、陸・海・空・宇宙軍のそれぞれ、約20万人ずつ、合計80万人の将兵によって構成されている。 合衆国軍の約2倍とはいえ、やはり旧世紀の軍隊と比べると、その構成員の数は驚くほど少ない。 これも合衆国軍と同じく、高度にシステム化した兵器体系の賜物である。

アサルトスーツを開発したのは合衆国軍だが、 その有用性に気づいたのは連邦軍の方が先だった。ヒューズ8の情報を入手した連邦上層部は、ただちにそれに匹敵する機動兵器の開発を急いだ。 その期待に応え、各国各企業はシュメルツ、レベンディック、ゾアフレムなどの歴史に残る名機を開発するに至った。 だが、周知の事実どおり、連邦軍は資源確保に失敗し、数で圧倒する合衆国軍の前に辛くも敗れ去ることになった。



ちなみに、
環太平洋合衆国は、北米・南米諸国、日本・中国・インド等の東アジア諸国、
オセアニア諸国、アフリカ諸国で構成されていて、
欧州アジア連邦は、旧ソ連邦諸国、ヨーロッパ諸国、中東諸国で構成されている。

個人的には、環太平洋合衆国は、英連邦であるオーストラリアやニュージーランド、
北朝鮮、中国あたりを含めての成立はまずムリだと思う。
欧州アジア連合の成立は、欧州と中東の宗教等の理由も含め不可能だと思う。
やはり大陸とかでまとめるのではなく、国・地域単位で中立国もあると面白いのにと思う。



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