HEAVEN4.5
クロスライン
 大岩の上にカイを押し倒して、ソルは脱げと命令した。
「……」
 不満たっぷりの目でソルを睨みながらも、カイは、震える指先でゆっくりと自分の腕のガーターのベルトをはずし、上着のボタンに手をかける。
 薬が効いているうえに、調教が済んでいるカイの体は、こういう場合、ソルに全く逆らえなかった。
「なにボヤっとしてるんだ?」
 途中からソルもカイの服を脱がしはじめて、結局、二人でカイの服を脱がせるような格好になる。
 日の光の下に、カイの白い肌があらわになる。しかし、非戦当時には純白で痣一つ無いその肌は、今はほぼ全身が打ち身の青あざだらけで、何箇所かにふさがり切っていないひどい傷があった。
「おまえ、こんな体で午後の戦闘に出ようと思ってたのか?」
「あ、当たり前です!」
 恥ずかしさで、声が少し震えるカイ。
「バカだな……。法力でも回復しきれないような怪我をした男なんか、ギアの餌になるだけだ」
 そう言って、ソルはカイの背に腕をまわし、それから、その腰に舌を落とした。
「……!」
 カイの全身が、震える。
 ソルが前戯に気を使うなんて滅多にない。
 おかげで、カイの体は、真昼間の野外プレイなのにすぐに羞恥を忘れてしまった。
「……っ……あ……」
 背中にまわしたソルの指先から「回復用の法力」が注がれ始め、カイの背中がひどい熱を帯びはじめる。
 それがまた、優しくて気持ちが良い。
 さっき飲まされた媚薬と法力のせいで、カイの肌は酒を飲みすぎた人のように、赤く染まっていった。
「ソル……っ!」
 力の入らない両手の指先でソルの頭と髪の毛にすがりつき、音をたてて人のものを舐めるソルの行為にカイは耐え続けた。
 そしてゆるゆると最後まで上り詰めて、喉を弓のように反らせて一声高い悲鳴をあげ――、
「もう終いか?」
 と、にやにやするソルの前に、びくびくと震えながらひれ伏してしまった。
 ソルは、例えカイが怪我人でもやりかけた行為を途中でやめるわけがなく――、軽々とカイを抱えあげると、自分の膝の上に座らせる。
「だめ……っ!」
 のろのろと逃げようとしたカイをしっかり押さえつけると、そのまま、ゆっくりと進入していった。

 ――夕方。
 完全に意識を失ったカイの体に滲み出ている血を全て舐め終え、法力でほとんどの痣と傷を治してやって、それから、しっかりと服を着せなおして、ソルは聖騎士団のキャンプに戻った。
「おかえりなさい」
 黒衣の青年が、にっこりと笑う。
「団長は……?」
「川原で寝てる。さっきの戦闘で怪我を負っているから出撃させるのは無理だ。まあ、俺がいればなんとかなるだろ」
「そうですか。後で団長の回収に向かいます。そろそろ出撃の時間ですからね」
「そうだな、いくか」
 めんどくさそうな顔をしながら封炎剣を手にとると、ソルと聖騎士団員たちは、ギアのいる戦場に出ていった。
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Last update- 02/ 03/20