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02/01/2000

正月早々猫と格闘

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 いよいよ西暦二千年を迎えるときがやってきた。世間では、Y2K問題でコンピューターの誤作動が懸念されていたり、それでも千年に一度の記念すべき年を迎えるとあって、どこでも各種イベントが企画され、お祭り気分であったりと、いろいろな意味で、非常に賑やかな年末である。
 僕はといえば、お察しの通り、いつも通り、特に何も無い年の瀬を過ごすことになった。まあ、去年の正月をフランスで経験したことを考えれば、毎年変化のある年末を期待するほうが贅沢というものであろう。結局、生涯最後となるかもしれないお年玉をもらいに、母の実家に行くことにした。

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 この田舎での日々は、昼まで寝て、本を読んで暇な時間をつぶすというのが恒例であった。家の周りには本当に何も無く、最寄駅までは徒歩二時間という場所なので、他にすることが無いのである。母は昔の友人と会ったりしてそれなりに故郷を楽しんでいるようだが、僕は祖父母に顔を見せる以外、目的は無いといってよかった。
 そんなわけで、今回も堕落した時を過ごすのだろうと思っていたのだが、ここに、珍妙な厄介者が現れた。かの家に住みついて、もうすぐ十年になる猫である。大晦日から二日朝まで、彼女には本当に悩まされた。山間部特有の寒さと相俟って、快適な睡眠が完全に妨害されたのである。

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 どうも彼女は寂しがり屋らしく、夜は基本的に誰かの寝床に入らないと眠れないらしい。以前までは、従兄弟がその担当だったのだが、現在は、専門学校に通うため、別の町に居を構えている。僕が来る前は、毎日適当に誰かが布団を提供していたようだが、今年の正月だけは、何故か僕が彼女の興味の対象になってしまったのである。
 ほとんどの猫がそうであるように、彼女もまた、かなり勝手な行動を取る。お腹が空いたときには台所に行き、昼寝をしたくなったら掘り炬燵に潜り込む。人恋しくなったらその身を摺り寄せて甘えてくる。かと思うと飽きたのか、ふらっとどこかへ行ってしまうのだ。

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 夜、彼女はより激しい行動に出る。まず障子を勝手に開けて、僕らが寝ている部屋に侵入する。もちろん開けたら閉めるという礼儀は持ち合わせていないので、そのままにしておくと、隙間風が入り非常に寒い。さらに鳴き声を上げながら、部屋の中をぐるっと一周し、布団に入り込む隙は無いかと探索する。
 隙あらば、何が何でもそこから侵入してくる。僕など、胸の上のかけ布団が若干浮いていたので、そこに彼女が頭上方向から入ろうとしたために、顔の上を歩かれてしまった。彼女は冬の間、運動をしていないせいかかなり重くなっており、とてもではないが、気づかずに眠りつづけることなど不可能だった。

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 その後どんどんと奥へ突き進み、お気に入りの場所なのか、足の間にその身を横たえた。邪魔なのでどかせようとするのだが、外に出してしまってはまた同じ被害に遭う。そこで、布団内の隅に押しやるのだが、どうも人間の体に触れていないと寂しいらしく、何時の間にか寄り添ってくるのである。
 数字間後、飽きたのかふらふらと外へ。もちろん障子は開けっ放しであった。母や祖父母は無視して眠ればいいのにというが、繊細な僕にはそんなことが出来るはずはない。というわけで、暖房の効かない極寒の地で、猫との格闘の日々は、二晩に渡ったわけである。

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 二千年問題も、従来から心配されていたほど深刻な事態にはならず、ほとんどの人が新しい年を晴れやかな気分で迎えたであろう今年の正月は、僕にとって、かように一つの試練とさえいえるものであった。当然のことながら、僕はその家で一人、昼ご飯の支度が出来るまで床についていた。
 田舎から戻れば、早速卒論という現実が待ち構えている。今年がよい年でありますように、と願う前に、昨年から持ち越しの目の前の雑事を終わらせねばなるまい。ともかくも、正月の睡眠不足から早く立ち直り、有意義な生活を送れるよう、身を引き締めていくつもりである。


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