第百四十五回国会

衆議院建設委員会議事録 第六号

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平成十一年三月十日(水曜日)

午前九時開議

出席委員

委員長 平田米男君

理事 佐田玄一郎君  理事 谷畑 孝君

理事 原田義昭君  理事 宮本一三君

理事 鉢呂吉雄君  理事 吉田公一君

理事 井上義人君  理事 青木宏之君

飯島忠義君  岩永峯一君

小林多門君  田中和徳君

田村紀憲久君  玉沢徳一郎君

西川公也君  蓮実 進君

桧田 仁君  松本和那君

宮腰光寛君  目片 信君

望月義夫君  山本有二君

渡辺博道君  石井紘基君

田中慶秋君  平野博文君

山本譲司君  太田昭宏君

長内順一君  中野 清君

西野 陽君  辻 第一君

中島武敏君  中西績介君

 

出席国務大臣

建設大臣 関谷勝嗣君

出席政府委員

 

国土庁長官官房長 久保田勇夫君

国土庁計画・調整局長 小林勇造君

国土庁大都市圏整備局長兼国会等移転審議会事務局次長 板倉英則君

農林水産省構造改善局長 渡辺好明者

建設大臣官房長 小野邦久君

建設省都市局長 山本正尭君

建設省河川局長 青山俊樹君

建設省道路局長 井上啓一君

建設省住宅局長 那珂 正君

 

委員外の出席者 《略》

委員の異動 《略》

 

本日の会議に付した案件

 

参考人出頭要求に関する件

都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)

 

○平田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として住宅・都市整備公団理事今泉浩紀君及び同理事島崎勉君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○平田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

○平田委員長 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。飯島忠義君。

○飯島委員 おはようございます。自由民主党の飯島忠義でございます。

 上程されております都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律案について、順次質問をさせていただきたいと思います。

 

《中略》

 

○中島委員 私は、次に、法律に則して問題点をお尋ねしようと思ったのです。ところが、ちょっと時間の関係もこうやって見ておりますとありますものですから、それは後ろの方に回しまして、この法律案に関連して、地下室利用のマンション、この問題について伺いたいと思います。

 まず最初に伺いたいのは都市局長なんですけれども、都市局長、用途地域で第一種低層住居専用地域を設けている趣旨は何なのか、これを伺いたいと思います。

○山本(正)政府委員 第一種低層住居専用地域を指定するということでございまして、第一種低層住居専用地域、低層住宅に係る良好な住居の環境を保護することを目的として指定される地域でございます。

○中島委員 実は私、横浜市戸塚区で、第一種低層住居専用地域の網がかかっていて戸建て住宅が多いところで、マンション販売業者グレイス住販というのがあるのですが、このグレイス住販が、住民の不安や反対の声を押しつぶして傾斜地を造成しまして、それで、七層、五十一戸、地上三階、地下四階、こういうふうに言っているのですけれども、マンション建設を進めているわけです。

 それで、業者は昨年の七月から造成工事を開始して、本年の十一月に建設を完了する予定だと言われております。開発面積は、都市計画法上の規制の三千平方メートルすれすれ、二千九百九十八・八一平方メートル.住宅地がある谷側から見ますと、高さ二十一メートル、七階建てにもなるということなんですよね。

 委員長、ここで、視察に行ったときの写真やらパネルなんかをちょっと大臣にも見てもらいたいし、それぞれ局長にも見てもらいたいので、使わせていただきたいのですが、お許しください。

○平田委員長 どうぞ。

○中島委員 実は、これをちょっとごらんいただきたいのですが、これは視察に行ったときの造成工事中の写真なんです。それを引き伸ばしたものです。

 これ、裏打ちがしていないので、ちょっと見にくいかもしれませんが、低層住宅はここにずっとびっしりあるのですよ。これ、傾斜地なんですね。それで、傾斜地をだあっと削っていって、擁壁をつくっているわけですね。上の方はここなんです。ここからこういうふうに傾斜地だったのです。この傾斜地を専ら、こういう機械を持ってきて、どんどん削っているわけですよ。ここに住民が住んでいるのですね。そうすると、こんなすごい工事がここでやられている。上の方はここですわな。何たる土地だというふうに思うのは当然で、住民の皆さんは大変これは怒りに震えているのですよ。

 それで、もうちょつと説明させていただきたいと思うのです。

 これは同じところのものなんですけれども、昨年の一月二十八日放送のテレビ朝日ニュース「スーパーJチャンネル」、説明は「規制緩和は誰のため?! 乱立する傾斜地マンション建設計画」、こういうふうに言っているのです。シミュレーションするとこういうものができ上がるということなんですね。ここは第一種低層住居専用地域なんです。こんなものがつくられてくる。

 それから、これは完成予想図なんです。これはグレイス住販自身がつくつたものなんですけれども、これはもう低層住宅がここにある、目の前にこんな巨大なものができ上がってしまう、こうなってくるわけなんですね。だれが見てもえらいびっくりすると思うのです。

 それから、これは住民の方がつくったものなんですけれども、こうなんですね。七階建てが建ち上がる、そうすると、これは何だ、これは空堀だというのですよ。空堀だというので、こういうものがつくられている。だけれども、これはもうとにかく独立した建物ですよ。七階建てですよ、二十一メートル、こういうものができているのです。ごらんいただいたから見当はつこうかとは思いますけれども。

 それで、これは私たちは調査に入ったのですけれども、南関東ブロック選出の大森猛議員と私とその他なんですが、調査に入つた。結局、こういうものができてくる。さあ、都市局長、今写真をごらんいただいたと思うのですけれども、これは都市計画上から見ていかがなものでしょうかね。

○山本(正)政府委員 都市計画では、先生も御案内のとおり、土地利用の現況や将来像を勘案して、その地域の特性にふさわしい用途地域を指定しているという、第一種低層住居専用地域ということでございます、今回のこの点につきましては。ただし、個々の建築物に係る規制の適用につきましては、建築基準法に基づき実施しているところでございます。

 こういうことでございますので、建築基準法上、特段の問題が生じていないというものにつきましては、都市計画として問題ということにすることはないというふうに考えておるところでございます。

○中島委員 住宅局長、来ていらっしゃると思うのですけれども、建築基準法にすぐれて係るものだという今の御答井かなと思うのですけれども、ちょっと伺いたいのです。

 私たち、横浜市の建築局指導課から説明を受けたのです。そうしますと、建築基準法上は、高低差三メートル以上の傾斜地は、平均地盤面を設定し、そこから高さ十メートル以内なら問題はない、こういう答弁が返ってきました。

 このマンションの場合にも、地盤面から九・七三メートルなんです。やはり十メートル以内なんですね。ぎりぎりですな。だから適法だ、こういうふうに市の方では言って、法をクリアしているので周辺の居住環境を悪化することにもならない、こういう説明をしたのです。この説明はちっとも説得力がない。これが住環境の破壊にならないという説明ですから、私もこれはどうかなと。大臣だって思うでしょう。

 それで、しかし、こんな不思議な説明が出てくる根拠として、これ、何か根拠があるのだ。その根拠は、ほかならない、九四年、平成六年六月の建築基準法の一部改正、ここにあるのですね。実は、こういうことになるのではないかということを恐れたから、だから、私はこの問題について質問したのですよ。これはそのときの会議録なんです。余り長く引用するつもりはないのですけれども、大事なところですから、ちょっと聞いていただきたいのです。

 

 マンションなんかの場合ですけれども、今度の改正で地下に二階とか三階とか、敷地で広大な地下面積をつくる、こういうことになるのじゃないかということを恐れるのですけれども、これはどうなのかという点と、そういうふうにしてつくった地下を商業利用するというようなことにもならないのか

 

実は、私はそういう質問をしたのです。そうしましたら、当時の住宅局長である三井住宅局長が、一般的に、日本人の行動様式としまして、完全に地下の中で世帯がお住みになるというのは考えにくいというふうに考えているわけでございます。現実に地下でお住みになっている方がおいでになるわけでもございませんし、マンションの上で普通の居住生活をされまして、物置ですとか物入れですとか、そういった収納スペースあるいは車庫、そういったことでお使いになるのが一般的でありまして、現在でもそういうのが大勢で、大勢というか、ほとんどそれでございます

 

こういうふうに答弁になつている。「したがいまして、」ここからが大事なのですけれども、仮に今御心配のようなことがあり得るとすればどういうことかということでありますけれども、すべて地下で家族がお住みになるというような場合には空堀をつくっていただくとか、さっき空堀ということを申しましたけれども、空堀はつくられているのですよ。だから、あれは空堀かなと思うような空堀なのですけれども、独立した建物になっちゃうような空堀なんですね。空堀をつくっていただくとか、そういった、居室を地下につくっていけないという規定がございますので、それで実際上はそういうものは建ってこないだろう、利用されないだろうというふうに思っているわけでございます。

これが当時の住宅局長の答弁だったわけですね。

 結局、私が非常に心配している、傾斜地につくったらこういうふうになるということを想定して、考えて、頭に置いて質問したらそういう答弁が返ってきたわけです。だから、あなた、心配せぬでいいという答弁なんです、これは要するに。

 住宅局長に伺いますけれども、これは違法じゃありませんか。

○那珂政府委員 お答えいたします。

 当時の質疑でのやりとりで当時の住宅局長答弁を引用されましたけれども、その答井は、地下の居住につきまして、空堀もなくて居室を完全に地下に埋め込んだような形で設けることは衛生上の問題からも禁止されているところでもございましたので、丸ごと地下に埋め込んだような住宅は考えにくい、そういうふうにお答えしたものと思います。

 しかし、そのときもそうでございますが、現在でも、採光や通風が確保されて衛生上支障がないという場合には地下に居室を設けることは違法ではございません。

○中島委員 私は、斜面における問題を想定して質問したんですけれども。

○那珂政府委員 いわゆる斜面地マンションについての問題を幾つかの切り口から整理させていただきたいと思いますが、一つには、先生もお触れになりましたけれども、建築物の高さ制限の際の高さをどうやってはかるのかということが基本でございます。

 一般的には、建築物の敷地ごとにはかるというのは当然でございますが、御指摘のような傾斜地など、あるいは段々でもいいんですけれども、敷地そのものに高低差があるものについては、若干問題は複雑になります。また、これも先生御指摘になりましたけれども、平均地盤面からの高さごとに、例えば十メートルの高さ制限ならば十メートルというようなことを規制の手段としているわけでございます。また、敷地内の高低差が三メートルを超える場合には、三メートルごとに敷地の平均の高さを設定することといたしております。

 そういう平均地盤面からの高さ制限、もちろんその他の規制基準もあると思いますが、そういうものをクリアしていれば、御指摘のようないわゆる斜面地マンションというのも建築規制としては違法ではないと思います。

○中島委員 真っすぐ掘り下げる場合の答弁があったんだというのが基本ですね、住宅局長が言っているのは。斜面を考えない答弁だったんだということですね。斜面の場合にどうするかということについては、今言ったやり方で計算するというか考えるんだ、こういうお話ですね。

 それで、私、普通だったら、ああそうか、こう言いたいんですけれども、どうもこれが、ああそうですかと言えないんです。それはなぜかというと、私は、住宅局長の答弁が、私がそういうことを念頭に置いて聞いたにもかかわらず、そういう答弁が返ってきている。これは、大臣あるいは住宅局長の答弁が有権解釈じゃないかなというふうに私は思っているんです。

 実は、私は、きょうここで質問するに当たって、当時のすべての衆議院、参議院のこの問題に関する会議録を全部読み返しました。それから提案理由も読み返しました。附帯決議も読み返しました。実は、この問題についていろいろ問題にしているんですよ。この問題というのは、そのときの改正についていろいろ問題にしておりまして、私の質問に対してどういうふうに答えているかというと、こう答えているんですね。

 これは、先生が冒頭言ったように、こう書いてありますけれども、「今回、容積の三分の一を不算入にさせていただきましたのは、今先生が冒頭御質問ありましたように、やはり広い住宅を求める国民のニーズというのは非常に強い。したがって、できる限りこの御要望にこたえるようにしなければいかぬというのが一番の基本にあるわけでございます。」こういうふうに答えて、これは裏を返して言えば、戸数をふやすことじゃない、そうじゃなくて、答弁にありますように、広い住宅を求める国民のニーズにこたえた改正なんだ、これが一番基本なんだということを言っているわけですよ。いいですね。

 それからさらに、この問題についていろいろな方が質問をしておりますけれども、地上でなく地下に延ばすんだから環境破壊にならない、こうも答弁しております。これは衆議院における自民党の議員に対する答弁でです。それから、参議院でもこの問題の質疑が行われておりまして、やはりみんな心配しておるわけですよ。公共負荷が大きくなるんじゃないか。そうしますと、人数もふえない、したがって下水道とか自動車はふえないから、道路とか公共施設に対する負荷はない、こういうふうに繰り返し答弁しているわけですね。

それから、衆議院の、これも自民党の議員の方が、容積率制限を緩和する、敷地面積それから容積率の具体制を挙げて国民にわかりやすく説明してください、こういうことを言っているわけです。これに対しても、斜面における建設の場合についての説明はなかったんです。

斜面、傾斜地における質問を行ったのは実は私だけでありまして、そして、それに対する答えもこうなんです。住宅局長は、環境にも影響がない、それから下水道とか道路とか公共施設にも影響を与えない。斜面のことを聞いても、いや、それは大丈夫です、こういうふうに答弁してきているんですから、私は住宅局長のこの答弁こそ有権解釈として考えなければならないんじゃないか。これだけ質問があるんですけれども、全部一言も斜面問題についての説明はありません。私が斜面問題について質問しても、やはり違う答弁を返したんだというようなことをのうのうと言っていますけれども、それはちょっと、私自身にしてみればそれはおかしい。

 全部精密に読んでもこうなんですよ。繰り返し読んだって、斜面のことについては私が質問した以外にはありません。出てこない。詳しく説明してくれと言っても、そのことは触れられない。そうだとすると、私はやはりこれは有権解釈じゃないかと思うんですけれども、局長はどう思いますか。

○那珂政府委員 御指摘の平成六年の建築基準法改正時におきます住宅地下室に係る容積率の合理化のことでございますが、これにつきましては、先生御指摘にもなりましたけれども、居住形態の多様化とかあるいは建築技術の進展、土地の有効利用への要請などを受けて、住宅の地下室の床面積について、当該建築物の住宅の用に供する部分の床面積の合計の三分の一を限度として容積率不算入とする合理化を図ったものでございます。

 その際、対象を、公共施設への負荷が少ないという観点から、用途を住宅に限定いたしました。それからまた、周辺環境に関する規制でございます高さの制限、斜線制限、日影規制などの規制につきましては、それらの形態制限につきましては一切緩和しておりません。

 そういうことで、重ねて、くどいようでございますが、法改正時におきましても、当初からこれは戸建て住宅のいわゆる地下室だけではなくて共同住宅も対象と考えておりまして、御指摘のようないわゆる斜面地マンションというものにつきましても、建築規制としては違法ではないというふうに考えております。

○中島委員 さっき言ったように、何度読んだって、私以外に斜面の質問をやっている人はいないのです。しかも、斜面におけるマンションについての質問をやっている人はいないのです。

 それで、そういうふうにはおっしゃるのだけれども、では、あなた方建設省は、これはマンション業者が利用すればこういうふうに何階建てにでもなってしまうんだと、こっちから見れば、ということを承知していて、これは法律の改正じゃないのです、政令、省令かな、に出ているものを法律に直しているわけですけれども、五十二条の三項でこの数え方、平均地盤面というのは何なんだという、そのことについての数え方を言っておりますけれども、それでは、あなた方は知っておってこれを黙っておったわけですか。

○那珂政府委員 まず、お尋ねの平均地盤面のはかり方について、平成六年の当該改正時におきまして、確かに五十二条三項におきまして、地盤面の高さについても考え方を明記してございますが、これは建築基準法施行令、もともとございました定義の中で、地盤の高さ、地盤のとり方について定義してございますが、それをきちっと明確な形で引用した改正でございます。建築基準法、昭和二十五年、最初に制定されて以来、地盤からの高さのとり方についてはこういう考え方で来ております。

 また、当時からこういう問題について知っていたか知らなかったか、こういうことでございますが、私個人としてはともかくとして、建設省全体としては、当然この幾つかのバリエーションとしてこういう形のマンションが想定されたというふうに理解しております

○中島委員 私はおかしいと思うのだね。知っていたというお話ですよ、要するに。知っていて、三井さんの答弁は、住宅局長の答弁は、衆議院でも参議院でも一切このことに一言も触れていない。これは大変だ。こんなことをやっておったら、衆参の議員も、国民ももちろん誤解してしまうのではないか。よくやっていらっしゃる得意の耳打ちをするとか、メモを出すとかして、ここ説明しておかないとぐあいが悪いですよと、これは私は何でやらなかったのかと思うのですね。

 それから、これは参議院先議なんです。参議院先議で衆議院へ回ってきた法律なんです。その間に十七日間あるのですよ。だから、参議院の方でもこの話は全然説明されていないわけなんですから。実際の法律条文としてここへ政令を格上げしたんでしょう。

 これは、そのとき私がいただいた新旧対照表なんです。何でこれでは誤解してしまうということを言わなかったのか。とにかく七階建てなんということになってくると――もうこんな時間ですか。

 だから、もしこういう話がされたら、私はこれは自民党も含めて否決に回る、反対に回る、こういうことはあり得たと思うのです。自分たちが言っている、質問していることについて、心配ありません、心配ありませんという話がずっと来るわけですよ。ところが、こういう話だということになってきたら、考え方は変わるのですよね。そういうものをなぜこういうふうにやっていたのか。言うべきだったんじゃないのですか。

○那珂政府委員 くどいようでごぎいますが、当時の住宅局長の答弁、議事録を私も今拝見しておりますが、埋め込み型の典型的な地下室を住宅として丸ごと利用するというようなことのお尋ねだと思って、そういう前提でお答えしていると理解されます。

 また、先生が今、当時からそういうことは想定されるならば、いろいろなことを事例を挙げておくべきだったのではないか、こういうお話でございますが、それはいろいろなケースについて、住宅地下室の利用のされ方について、いろいろな想定をもっと丁寧に御説明しておけばよかったかと言われれば、そのとおりだと思います。

○中島委員 遅いですよ、今時分そんなこと言ったって。審議しているときが一番問題なんですよ。そういうときに、皆さんが、今のお話だったら気がついた人がいるんでしょうから、言うべきなんです。

 ちょっと都市局長に伺います。

 第一種低層住居専用地域というのは、低層住宅に係る良好な住宅の環境をしっかり守るということの目的のためにつくられているのですけれども、これは適法だ、こういうふうに言われても、しかし、結果として低層の地帯にきっき言つたような巨大なものができ上がるということは、やはり良好な環境を守っているというふうにお考えになりますか、都市計画上の問題ですよ。それはどうかということをまず一つ伺いたい。

○山本(正)政府委員 町をどういうふうにつくり上げていくか、どういうふうなコントロールをやっていくかということにつきましては、都市計画法と建築基準法とが相まって町づくりの規制、コントロールをやるわけでございますが、私どもの都市計画法に基づきます都市計画につきまして、今申し上げましたような一種低層住居専用地域というのは、先ほど申し上げましたような良好な住居の環境を保護することを目的として指定されておる、こういうことでございまして、具体的な個々の建築物に係る規制の適用については建築基準法に基づきやっておる。建築基準法上特段の問題が生じていないものについては、都市計画として問題とすることはないということでございます。

○中島委員 まあ、余り納得のいく答弁が返ってこないのですけれども、それは、そっちの方は建築基準法の方でやることですからというお話なんです、要するに。これが結局、第一種低層地域、ここでつくられるものなんです。さっきお見せしたとおりなんですね。私は、こんな七階建てのものが、第一種低層、容積率八○%、ここにどうしてできるのか、結果として。適法だ、いや何だといったって、これが第一種低層にできるというのは本当に考えようのないような事態なんじゃないんですか。これが適法だというふうにのみ言っておってよいのかという問題が私はここにあると思うのですよ。

 大臣に伺いたいんだけれども、実は、これは当時建設省から私がもらったものです。ここにも書いてあるのですよ、「立法の背景」といって。それは何かといったら、ゆとりある都市住宅の供給が求められているというのですね。それで、既成市街地を中心に限られた市街地を有効に活用する、その場合に、良好な市街地環境を確保しつつ土地の合理的かつ有効な利用を進める、それで、住宅の地下室の容積率制限を緩和するんだ、これは非常にはっきり書いてあるんです。だから、住戸がふえることを言っていたわけでは決してないわけなんですね。そういうふうに、私にくれた建設省自身の文書にも載っているわけなんですよ。

 それで、大臣に、この問題はあちこちで紛争が起きているんです。物すごい紛争が起きている。当然だとお思いになりますでしょう、紛争が起きるのは。第一種低層のところにこんなものができてしまうんだから。だから、新聞やテレビも随分取り上げておりますし、それから社会問題になっているというふうに言っても決して言い過ぎではないと私は思います。それから、きょうも傍聴の方だとかマスコミの方だとかいろいろ来るわけですよ。これはやはり非常に、この問題をこのままにしておいていいというものじゃないということなんですね。

 戸数をふやすことは趣旨とされていなかったんです。ところが、今言ったように、斜面における問題は、戸数をふやすマンションがどおんと、しかも立ちはだかるかのごとくつくられる、こういうことなんですね。だから、こういうものができてくるということになったら、住民の皆さんがそれはもう本当に心配したり怒ったり、これはおかしいというふうに言って立ち上がるというのは、私は非常に道理があるというふうに思っております。そして、その気持ちも非常によくわかります。

 それで、これは合法だと言われても、住民の人たちは決して納得できるものじゃないと思います。しかも、これが今どしどしふえつつあるんです。斜面のある町、ここにふえるんです。だから、横浜は御存じのとおり斜面にできている町ですよね。それから兵庫県の神戸市、それから二十三区の中でいえば世田谷の一部その他とか、そういう斜面のところでどんどんこういうことが紛争になってあらわれてきております。(発言する者あり)もう短くやりますから。

 それで、私は本当は、その当時の住宅局長の答弁を唯一の有権解釈として、ホテルやマンションやスーパーがつくられればそういうものには適用しない、そういう措置をとるとか、ゆとりのある住居をつくるという法改正の趣旨が生きるように、容積率不算入を悪用できないような具体的な措置を、法律改正の問題も含めてやはりきちっととるべきなんじゃないだろうか

 これは結局、できるのは局長の皆さんじゃないと私は思う。政治家たる大臣の決断だと私は思いますよ。そういう点では、多くの方々はきょうの建設大臣の答弁を非常に注目しておると思います。建設大臣の答弁をお聞きします。

○関谷国務大臣 まず最初に、建築基準法改正のときに、こういう斜面地のことでこういうことが起こるのではないかという御質問をされた中島先生に心から敬意を表したいと思うわけでございます。

 そして、この件でございますが、法治国家でございますから、法律によりますれば違法ではないということですから、私もそれ以上の答弁はやりようがないわけでございます。ただ、心情的、人情的にはいささか理解ができるわけですから、したがいまして、これは先生が議員立法を提出されて、基準法を改正するというような方向で対処をしていかれればいいのではないか、そのときにはまた、賛同する方は大勢いらっしゃるのではないかと思います

○平田委員長 もう時間がありませんから、これで終わりにしてください。

○中島委員 もう終わります、終わりますが、ぜひひとつ、やはり心情的にわかる、矛盾があるのを大臣ひとつ検討をしてください。どうすればいいかということを大臣として検討してください。

 このことを申し上げて、終わります。

○平田委員長 次回は、来る十二日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

午後五時三十五分散会