請願項目

法の趣旨を無視した地下室悪用マンションの建設制限に関する請願

 

 

 

 

 

 

衆議院議長 伊藤 宗一郎殿

 

 

 

請願者氏名

 

 

以下

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

請願趣旨

 

平成6年の建築基準法改正により住宅地下室の容積率不算入措置が設けられました。法律のできた背景を見ると以下のようなことが掲げられます。

・地下室は建築技術が著しく向上したことなどにより、より快適な空間として利用することが可能となった。(以上、住宅の地下室に係る容積率の取扱いについて(中間報告)より)

また、同中間報告の中で想定される問題点として、敷地の狭小化の可能性(住宅戸数の増加)を指摘しておりました。

衆参両院の付帯決議にもあるように、「良好な市街地環境を確保しつつ、ゆとりある住宅の供給を図るための措置」にも関わらず、事態はあらぬ方向に進んでおります。

 

地下室の容積率不算入措置により、容積率が1.5倍になりました。これにより結果として、用途地域では最も制限の厳しい第一種低層住居専用地域の傾斜地に、業者としては一戸建てより効率のよい、実質4階建て(法律上地上3階地下1階)の分譲マンション等があいついで計画或いは建設され、各地で問題が起き始めております。

マンション業者は、傾斜地なのでバルコニー側は完全に地上に露出し見晴らしのよい社会通念上は地下室とはいえないマンションでも、建築基準法上は地下室であるとして、地下室そのものもマンションの一戸として分譲しようとしています。

業者側は利益を優先するため、住宅の質(床面積の増加)よりも住宅の戸数の増加に地下室の容積率不算入措置を悪用する結果となっています。

このような事態は、ゆとりのある住宅の供給を目的とした住宅地下室の容積率の不算入措置が予定するものではなく、その目的に反するものです。

 

現に横浜市青葉区美しが丘では、ある大手不動産会社が一戸建て住宅の立ち並ぶ住宅街に(第一種低層住居専用地域内の緩やかな傾斜地)、周囲を全て掘削して実質上は地下室でない階も地階として4階建てマンションを計画し、建築を強行しようとしております。

また、川崎市麻生区では閑静な住宅街の一角で区画整理が終わり一戸建用に雛段の続いている土地(第一種低層住居専用地域内の緩やかな傾斜地)を大手商事会社が一括で買い上げてマンションを計画するという事態も起こっております。

このような地下室の容積率不算入措置の目的に反するマンション建築計画は許されるべきものではなく、本来の容積率制限の目的(建物と道路、下水道等の公共施設との均衡を保ち、また、建築物の周辺の環境を保つこと)に照らしても、明らかに反していると言わざるを得ません。

このような建築が安易に認められると、中長期にわたる計画的な都市計画ができなくなる恐れも生じてきます。

 

また、昨今の調査資料、報道等を見ても今後人口及び世帯数が減っていくのは明白です。そのような社会状況の中で、第一種低層住居専用地域にまで分譲マンションを林立させる可能性を開くことが果たして緊急に必要とされていることなのでしょうか。

 

今回の法改正で廊下階段部分等の共用部分の容積率不算入が決まりましたが、これにより実質約15%の容積アップになるといわれております。地下室の容積率不算入措置と合わせますと従来と比べて名目上の容積率に比べ、理論上1.7倍以上の容積率が確保できることとなります。今後益々本来の法の趣旨に反した地下室悪用のマンションが増えることになり、先住の地域住民との摩擦が増えることが予想されます。

国民の本来のニーズを踏まえ、地下室の悪用マンションが建設されないよう地下室の容積率不算入措置のうち法が予定せず法の目的に反するものを明確に制限する規定を設けることを請願いたします。