平成9年5月12日

 

仮称「藤和美しが丘5丁目マンション」建設問題

地下室の容積率緩和について

地下室の容積率緩和が思いもかけない事態を招いている。私の住む横浜市青葉区は傾斜地の多い住宅街である。第1種低層住居専用地域(建築基準の最も厳しい地域)で容積率80%の地域に117%の容積率を使った4階建てのマンションの計画が公表された。聞くところによると、建築基準法上の地下室は全体の床面積の3分の1を限度として容積に算入しなくてよいからだという。しかし、傾斜地では地下室といっても一般通念上は地下ではない。見晴らしのよい地下室なのである。地下室の容積率不算入措置は傾斜地においては容積率を1.5倍に増やしたのとほぼ同じ効果をもたらしたのである。

容積率が120%になればマンション分譲業者は採算があうという。今までは採算が合わなかった為に分譲マンション業者が入り込めなかった地域にも進出が可能となったのだ。横浜市の建築相談室に尋ねてもその通りだという。話は分かるが、法律が変わった(平成6年)ので市としては何も出来ないという。

更に調べてみると地下室の容積率不算入制度の検討は建築審議会建築行政部会市街地環境分科会専門委員会でなされ、平成6年3月18日に中間報告が行われた。それを受けて建築基準法改正されたのだが、衆議院及び参議院の付帯決議にもある通り、地下室の容積率不算入そもそもの趣旨は「良好な市街地環境を確保しつつ、ゆとりある住宅<住宅の質(床面積)の向上>の供給を図るための措置」である。しかしマンションにおいては床面積を1.5倍にするというより、住宅戸数を1.5倍にすることに利用される傾向にある。

法改正の本来の趣旨とは違ったことに業者は法を利用しているのだ。

昨今規制緩和が叫ばれているが、住民からすれば、これは住環境というれっきとした環境問題である。自動車の排ガス規制と同様に住宅問題においてもむしろ規制を強化していく部分もあると考える。人口減少社会を間近に控え、戸建住宅の多い第1種低層住居専用地域にまでも積極的に分譲マンションを造る必要性があるのだろうか。早急に検討すべき問題だと思う。建物が出来てからでは遅いのだ。

現行法でマンション建設を差し止めるのは難しいかもしれない。が、敢えて問題提起をするという意味で私たちは立ち上がったのである。横浜市に限らず同種の問題はこれから益々起こりうると考えるからである。

 

美しが丘5丁目の環境を守る会