ドカドカと足音も荒く部屋に入って、乱暴に扉を閉める。
「なあ、大五郎聞いてよー」
足を広げてぺったり座り込んで、手を持って足の間に熊のぬいぐるみを引き寄せる。
「もームカつくー! いっくら俺が、忍足がファーストキスの相手じゃないって言ったからって、自分はいっぱい女の子とも付き合っててさ、色々慣れてるクセに、俺にはもんのすっごい焼きもち妬くのって変じゃにゃい?」
熊の頭を押さえて、うんうんと頷かせる。
「だいたいさー、なんで不二とか乾とかタカさんとか、同じ部活だよ? 忍足だってテニス部でさ、顔合わせたことだってあんのに、なんで部活の話して、腹立てらんなきゃいけないわけ!」
なあ、と熊の顔を覗き込む。
また手でうんうん。
「それにあれじゃん、あんなこと言ってさ、俺のことそんなに信用してないわけって思うじゃん」
手を離して、そのままポコっと叩く。
「あーもー、ムカつくっ! 忍足のバカバカバカバカ!」
ポコポコポコポコ。
「………………うー」
ぎゅーっと熊を抱え込む。
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………好きだけど」

『〜〜〜〜♪』

「あっ!」
慌てて携帯を取り上げる。
「……ん……ん…………や、まだ怒ってるけど…………うん……ううん…………うん」
パタン。携帯しまって。
熊のぬいぐるみを元の場所に座りなおさせる。
「んじゃ、行ってくんね、大五郎」
頭にチュッ。
「大五郎も大好きだかんな。いっつもありがと」
さっき叩いたところを撫でて、それからバタバタと走って出ていく。



子供の頃の遊び相手は、今でもしっかり相談相手として、彼の精神安定に一役かっていたのだった。


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ぬいぐるみに話しかける中3男子。
……菊丸だからよし!
(と自分を納得させてみる)