| 恋ってどうやって落ちるもの? とっても簡単で、とっても難しい。 どうして? なんで? そんなこと、本人にだって全然わからない。 それはジワジワだったり。 ジェットコースターみたいにいきなり落ちたり。 恋に落ちるって不思議。 菊丸は通学路になっている小学校の前を歩いていた。 フェンス越しに見える花壇。 そこはまだチューリップにはちょっと早くて。 黄色い菜の花が満開だった。 ……そういえば、菜の花ってあんま美味しくないよなー。 ちょっと苦っぽいし。 菊丸はいつも母や祖母が作ってくれる菜の花のおひたしを思い出した。 っていうか、おひたししか食べたことないけど、あれって他の料理の仕方あんのかな? そしたら少しは美味いって思うもんなのかなぁ? 菊丸はいつしか足を止めて菜の花を見つめていた。 「おい、てめぇ」 その声はいきなり聞こえた。 菊丸は動体視力だけでなく、気配とかにも敏感な性質だったのだが、声が聞こえるまでは全然気付かなかった。 もちろん驚いた。 比喩ではなしに飛び上がるほど驚いて、慌てて振り返る。 そこには……。 「てめぇ、さっきから何ジロジロ見てやがる」 まずいと思った。 脱色した髪をつんつんに立てている、この見るからに凶暴な白い学ランを着た男とは浅からぬ因縁がある。 ……菊丸個人にはなかったが。 そこは青学の一員として、だ。 「言っておくがな」 菊丸は何か言い返そうか、それとも揉め事を起こさないようにさっさと逃げるのがいいのか迷った。 だが阿久津はそんな菊丸を気にするわけでもなく続けた。 「その菜の花は、花が完全に開いてるから、もう食えねぇぞ」 「……………………」 菊丸は思った。 こんなこと、通りすがりの俺に教えてくれるなんて、もしかしたら阿久津っていい人なのかもしんない! 「おい、なんとか言え」 「……………………あ」 「ぁあ?」 「ありがとうっ!」 「……はぁ?」 Boy meets Boy かくして、菊丸は恋に落ちた。 ね、不思議でしょう? |
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| あっくんは絶対人がいいと思います。いわゆる貧乏くじ引くタイプ。 いや、菊丸が貧乏くじだって言うわけではなくて。 あ、もちろん、あっくんも菊丸に恋に落ちますよ。 なんたって菊丸ですから! 【ちょこっと裏話】 実はこれ、最初に忍菊で全然別の話を書いていて、いっつも甘々だから、たまにはケンカをさせようと思ったら、本気で険悪になったので挫折して、展開をいつも通り甘くしたら、いつも通りすぎて切なくなったので、新たに書き直したものだったり。 意味なくいつも通り甘々な忍菊読みたい人いるのかなぁ? |