二人ともパジャマに着替えて、並んでベッドに入る。
俺のより、ちょっとだけ広く感じるベッドだけど、やっぱり男二人なんだからギューギューには違いなくて。
電気を消して枕並べて向かい合う。
少しずつ目が暗いのに慣れて、薄ぼんやりとメガネのない忍足の顔が見えてくる。
はっきり見えるように、じっと見つめていたら、忍足の手がゆっくり俺の髪を撫でた。
ゆっくりと、耳の横から梳くように。
その繰り返しに、どうしてだか泣きたいような気持ちになった。
「忍足……」
囁くくらいの音量で呼ぶと、忍足が顔を寄せてきた。
「なん?」
やっぱり囁くくらいの小さな声。
いつもよりもっと柔らかく聞こえる。
「忍足……」
でも、なんて言っていいかわからなくて、やっぱり俺は名前を呼ぶだけ。
自分からも顔を寄せて、そっとおでこをつけた。
こんなに近いのに、俺はなにを不安になってるんだろ。
俺に触れる指も、俺を呼ぶ声も、ちゃんと俺を好きって伝えてくれるのに。
一瞬だけ疑っちゃう自分がキライだ。
もちろん、いつもじゃないけど。
でも、たまに。
こうして眠りにつく前の、ほんの短い静かな時間なんかにふいに浮かんでくる時がある。
本当に俺を好き?
もっと一緒にいたいとか、キライになられたらどうしようとか、なんかグチャグチャ考えて……。
忍足の心が見えたらいいのに。
ウソのつける言葉じゃなくて、そのまんまの忍足の気持ち。
……ウソついてるなんて思ってないけど!
ウソなんじゃないかって疑える言葉じゃなくて。
全部なんて言わない。
ほんのちょこっとだけでいいから。
ホントの忍足が詰まってる部屋のドアの、ほんの鍵穴から見えるくらいちょっとでいいんだけど。
俺のことのトコだけ……。
…………やだな。俺、いつからこんなに弱くなったんだろ。
女々しいぞ! 俺!
あー、やだやだやだ!
忍足の顔をじっと見た。
……やっぱカッコいい。
メガネないと、いつもより柔らかい雰囲気になって、そんでその目で俺のことじっと見てて……。
って、見てんなよっ!
なんだか急に恥ずかしくなって、忍足に背中を向けた。
だって、すっごい情けないこと考えてる顔も、女々しいこと考えてる顔も見られてたのかと思ったら、とんでもなく恥ずかしい。
「……どないしたん?」
少し首を起こして忍足が俺を覗き込もうとする。
なんでもないって首を振ったら、忍足は黙って頭を枕に戻した。
そんで後から腕を回してきてぎゅーって俺を抱きしめた。
痛いくらい苦しくて、でも離して欲しくなくて、忍足の手の上に自分の手を重ねた。
好きでいたい。
好きでいて欲しい。
弱気になってる俺は変。
忍足の好きな俺じゃない。(俺はどんな忍足も好きだけど!)
こんな変なコト考えんのは眠いせいだ!
きっとそうだ!
寝ちゃえ、寝ちゃえ!





「……じぶんが何考えとるか、さっぱりわからん」
ぽつりと、苦い呟きが聞こえたのは、もう少しで意識が閉じかけた時。
……ごめん。
ちょっと悪かったかなって思ったけど、なんか嬉しかった。すごく。
忍足が好きってコト考えてるだよって教えてあげたかったけど、もう体が動かなくて。
口も動かないし、声も出ないし、なんか金縛りっぽいかもって感じで。
明日起きたら、言うからね。
俺の中のドアは、鍵開けて全開にして、そんで鍵ごとあげるから。
だから不安になんないで。
だって俺はこんなに情けないくらい……忍足のこと……好き…………だか……ら……………………。


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振り回してるように見えても、ちゃんと中で色々考えた結果という話。
結果しか見えないからねぇ。
そして「鍵穴」……く、苦しいよ、自分(汗)