菊丸は真面目な顔で乾に詰め寄った。
「……どうした?」
「あのさ、乾って物知りだよね」
確認というよりは断定らしい。
「何かわからないことでもあるのかい?」
菊丸は困ったように俯いた。
「…………あの……すごくくだんないコトかもしんないんだけど」
乾は身構えた。
菊丸がこういう言い方をした時には本当にくだらないことである事が多い。
それはデータから導き出さなくてもわかるくらい、いつものことだった。
「えと、スコットランドの人で、男が着るスカートあるじゃん?」
「あるね。スカートじゃなくてキルトだったかな。ついでに言うと、スカートは『着る』じゃなくて『穿く』だよ」
乾の細かい突っ込みをきれいに無視して菊丸は続けた。
「あれってさ、あの下ってさ…………やっぱ普通の男もんのパンツはいてんのかな?」
「………………」
やっぱり。
ものすごくろくなことじゃなかった。
乾の推察は見事に当たったが、全然まったく、この上なく嬉しくなかった。
菊丸は真剣な顔で乾を見上げている。
乾は眼鏡を押し上げた。
「……調べておくよ」
そう言って立ち去る。
「よろしくー!」
嬉しそうな顔で菊丸は練習に戻った。
乾は知っている。
気まぐれで、すぐに色々なものに興味をうつす菊丸だったが、こういうことだけはなぜか絶対に忘れないのだ。
たぶん毎日聞かれ続けるのだろう。
乾はため息をつきながら、何で調べたらいいのだろうかと思案した。


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自分でも何を言っていいのかわからないほどくだらない……。