「菊丸せんぱーい、お誕生日おめでとうございまーす」
「ほいほ〜い、あんがとね」
「きゃあ〜」
パタパタパタ。
軽い足音を立てて、女の子数人が歓声を上げて走り去る。
または。
「菊丸先輩、お誕生日おめでとうございます。これ……」
「いいの? あんがとサンキュ♪」
「あ、あの……いつも応援してますから、がんばってください!」
綺麗にラッピングされた包みを菊丸に渡し、返事も待たずにダッシュ。
そんな一日。

売店で貰った手提げ付きの大きな紙袋を下げて(中には一日でもらったプレゼントでいっぱい)菊丸が帰ろうと校門を出ると、目の前に大きな人影が。
「あっ、あのっ、菊丸さん!」
軽く見上げるほど大きなその人物は緊張の面持ちで菊丸に話しかけてきた。
見覚えのある、好青年を絵に描いたような爽やか系の顔。
確か氷帝の乾と海堂のダブルスの相手。
「確か氷帝の……」
「は、はい! お久しぶりです!」
彼は大きく頭を下げた。
体育会系だなぁ、と菊丸はのん気なことを感心している。
「どしたの、こんなトコで」
「あ、あの、菊丸さんに……」
「俺? なになに?」
「えと、本当は趣味じゃないとは思ったんですけど、俺も中学入学祝いにもらってけっこう嬉しくて、それで同じものもどうかと思ったんですけど他に考え付かなくて、あの…………ど、どうぞ!」
彼はずいっとラッピングされた小さな箱を菊丸に差し出した。
「……くれるの? あんがと」
菊丸はにっこり笑って受け取る。
「じゃ、じゃあ失礼しますっ!」
90度の角度で大きなお辞儀をして彼走り去った彼は耳まで赤かった。
菊丸はそれを見送り、手にした小箱を見ながら呟いた。
「えっと…………おお…たり……だっけ?」
菊丸は明らかに足して2で割っていたが、訂正してくれる人は誰もいなかった。


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