「新製品だというので買ってみたのだが食べる気になれなくて……」
「へえ、そうなんだ。手塚がチョコ買うのなんてめっずらしいね〜」


「大体、普段からチョコレートなんて食べない人間がなんで新製品チェックしてんのさ」
「手塚は一ヶ月前に発売の某情報誌までチェックしていたはずだ」


「お前は確かチョコレートは好きだったな。食べるか?」
「え? いいの? やった、ラッキー!」


「っていうかさ、今日山ほどもらってたじゃない、英二」
「総個数は47個。内本命は14個といったところか」


「あ、そだ! 俺も、食べようと思って買ったのがあるんだけど、俺にはちょっとビターかなーって」
「チョコレートは甘いものじゃないのか?」


「情報誌までチェックしてチョコレートのこと全然わかってないし」
「まあ、自分が食べるつもりじゃないんだから、そんなものじゃないか。手塚には」


「これなら手塚でも食べられると思うんだけど……いる?」
「いいのか?」


「っていうか、あれまだ封きってないじゃない」
「あのチョコレートは一週間前に駅前のコンビニで購入したものだな」


「へへ、うっれしいな〜。これ食べたかったんだよね」
「そうか。俺もこれは美味そうだと思うぞ」


「乾、相変わらずストーカーみたいにデータ集めてるんだね」
「不二こそ、突っ込みに余念がないじゃないか」


「あんがとね、手塚」
「こちらこそ」


「当たり前じゃない。英二のことなんだから」
「ふふ……俺のプライベート英二データ集も完璧だ」





部室のあっちとこっちでまったく逆の雰囲気をかもし出している二組の会話。
それを聞いていた他の部員は、触らぬ神に祟りなしを決め込んでいる。
傍目にはチョコレートを交換している仲睦まじい二人は、相変わらずお互いの気持ちと周囲の目には気付かないのだった。


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