問題はこちらの風景である。
西武百貨店池袋本店がそびえる東口のクールな風景。
立教大学とは、東武百貨店本店のある西口側に位置している。
西口は新歓や合コンではお世話になりっぱなしのロサ会館があったり、謎めいたエスニックなエリアがあったり、風俗街があったり。
それに比べると確かに西武側は、セゾングループ総元締の堤氏が「日本一の大富豪」として米Forbes誌の「the World's Richest People」に取り上げられていることなどからもわかるように、一見山の手マダム的な"濃いムード"(本当の山の手ミセスが"濃い"タイプであるはずなんてないのだが・・・)を漂わせたリッチをイメージさせている。しかし、西武が渋谷に満を持して進出する時には、少なからず山の手の住民からの冷ややかなまなざしが注がれていたのも事実。以前はさらに落ち着いてシックな街だった東急系城下町の山の手渋谷を下町や田舎上がりの若僧ばかりの繁華街にしてしまったのは西武やパルコ、セゾン系の新造施設である。それに対して山の手の従来的なスタンスを保ち続けるべく西武との競合を受けて立った東急側のスタンスというのは、簡単にいえばオーチャードホールである。それに対する西武グループ「セゾンカード」が他社に先駆けて古くから年会費無料だったというのも、元々は練馬大根の畑にまく人的有機肥料を運ぶ専用貨物列車として馬鹿にされていた西武農業鉄道そして武蔵野鉄道との合併以後に鉄道起点駅に作られた城北系デパートの田舎臭いイメージハンデを払拭しつつ城南や全国区にハイセンスイメージを定着させるためだったというのは、有名すぎるほどに有名な逸話である。西武グループはだからつまり、城北のパチンコ屋経営者などの下町小金持ち筋を味方につけて徹底的に庶民にうける作戦を斬新なコマーシャル作戦などにおいてもとりつづけてもうかったのだ。本当のおぼっちゃまだったら無料であるかわりにセキュリティ面で弱いセゾンカードや住友学生カードなどではなく、(本当に選ばれた、よっぽどの高額所得者しか申し込めない)アメリカンエキスプレス・プラチナカード(サラリーマンにも発行されるゴールドカードには何の意味もないけれど、よっぽどの資本家クラスにしか発行されないプラチナカードに関しては、ようやく「資本論」による資本家クラースの構造論的出現ということが示されうる表象的現象であるのかも知れない。ただしプラチナカードホルダーだからといって先祖が名門としての士族やお公家さんだとは限らないというのも、資本主義世界における最も資本主義的な側面なのだともいえる・・・)の家族会員カードあたりを心おきなく使えるカタチでお小遣い代わりに親から与えられているのでなければ説得力がないし、スキーだったら国内じゃなくてカナダでなければリアリティがない、というあたりからも、西武系による事業とは西洋かぶれでマニアックな庶民相手の商売なのだということがわかってくる。つまり、「マクドナルド」や「むじんくん」のような大衆相手の商売ほど儲かり展開規模が大きく、だから西武は発展したのだという部分から判断すれば、僕がここで何をいいたいのかがおのずとはっきりするだろう。西武が城南ネオアッパーエリアへの玄関口渋谷へと南下してきたせいで、渋谷がなんだか奇妙におちゃらけでガキっぽい街になってしまったということは事実として明らかにあるのだから、そういう独特なセゾンムードが嫌いな人は渋谷の西武系販売拠点には基本として寄りつかなかったりする、ということは確かにある。といって僕自身はけっしてセゾン商法が嫌いというわけでもない。




何につけても、日本最大の財産家が経営する同族系流通グループ「西武」の総本店は池袋、なのである。東口は、西武+パルコと、米軍施設跡地に建っているサンシャインシティとを除けば、後は「駅前留学」と「ビッグカメラ」と「マクドナルド」と「イタトマ」と「マツモトキヨシ」と「むじんくん」があるだけだ。ちなみにサンシャインシティの地下には近すぎず遠すぎないたまり場として適当なデニーズがあるのだが、店舗の存在を知っている者は依然として少ない。

 
池袋キャンパスへの道の続き