ぴくし〜のーと あどばんす

物語

【ぴくし〜のーと メイン】 【テーマいちらん】 【おともだちぶっく】 【みんなの感想】

連載[1230] Let’s go!バトルガール!

くー ☆2009.06/20(土)22:16
1 夢

…静寂が、私を包む。
きっとここは夢の中なのであろう。
それにしても、私は夢が嫌いだ。
この暗闇が怖い。
いつも修行の世界は明るくて、眩しくて、何も見えないけど必死になれる、夢中になれる、そんな世界で。
手を伸ばせば掴めそうな修行の成果。でも私は修行が楽しいから掴まない。
でも、闇は違う。掴みたくても掴めない。やりきれない現実感。
いやだ、早く目を覚ましたい…!

ここはどこ?俺は誰…?
何も判らないこの世界。俺は今どこで何をしようとしているんだ?
助けて。本能が呼び覚ます。
俺はいったい誰なんだ…
何者なのかが知りたい。この闇はなんなのか知りたい。

記憶を失った少年と、闇が怖い少女が居た。
少年はフタバタウン出身で、少女はマサゴタウン出身だった。

彼と彼女が出会うのは、もうすぐだろう…
そしてその日、シンオウ地方では、もの凄い大雪が降っていた。
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くー ★2011.01/07(金)12:20
2 出会い

「んじゃ、お母さん、お父さん、行ってくるね!」
「行ってらっしゃい。気をつけるのよ」
「頑張ってくるんだぞ」

マサゴタウンのとある家から出てきた少女ケイは、外の寒さに身を震わせた。
「…寒」
ぶるぶるっ、と震えて、バッグの中に詰めた最低限必要な物から、上着を取り出して着る。
ケイはたった一つの、両親から貰ったモンスターボールをベルトにつけて、昨日降った雪を踏みしめた。

ケイは旅に出る事を決意した。
家では修行があまり出来ないし、新しい世界を見る為だ。
実際、ケイの家は街から遠いので、あまりいろんな世界を見に行った事がない。
旅行にも滅多に行かない。

「よぉ〜っし!気合い入るぞ!」
ケイはコトブキシティへの道ではなく、誤ってシンジ湖への道をたどってしまった。
そして彼女は、ある少年と出会う事になった。


「あれ…?道間違えたかな〜?」
ケイは今更首をかしげていた。
何歩歩いても街に辿り着かない。それどころか段々と殺風景になってゆく。
「…湖方面だったかな…?」
でもめげずにケイは歩き続けていた。
そして大分歩いた頃。
ケイは雪の上で倒れている少年を発見した。
そばには倒れた自転車が。きっと転んだのだろう。
「大丈夫?おーい、しっかりして」
ケイは少年の身体を揺さぶった。しかし、反応が無い。
不安になって、もう一度、今度は強めにやってみた。
すると、今度は反応があった。

「ぐ…う?」
半分寝ている目で見つめてくるのはなかなか乙女心がきゅーんとするシナリオだったが、ケイはそれを振り切った。
「ねぇ、君大丈夫?自転車で転んだの?」
「…自転車?」
少年は首をかしげた。覚えていないようだ。
「…じゃあ、名前は?」
「…名前?…しらねぇ…」
ケイは思わず硬直してしまった。これが、記憶喪失だと言う事を、身をもって知らされた。

「…自転車で転んで頭打った?」
「…わかんねぇ…覚えてるのは…旅に出ようとした事…?」
ただ一つの大きな決意を口に出して、そして少年はまた目を閉じた。
「おーい!生きてる?」
「…っるせーな…寝かせろよ…」
「自転車はどうするの?あとバッグ落ちてるよ」
ケイが少年に呼びかけても、少年はすやすやと心地よさそうな寝息を立てているだけだった。

「はぁ…どうすんの…」
ケイは頭を抱えた…目の前で気持ちよさそうに寝ている少年の事で。
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くー ★2011.01/07(金)11:32
3 名前決定

次に少年が目覚めたのは、冷たい雪の上。の自転車の下だった。
足が自転車に挟まってしまっている。しかし何故なのか判らない。
起きたばっかりで力も入らない。どうしようか… …悩んでいた。
…が、隣で少女が眠っている事に気がついた。
脳が瞬時に驚きで覚醒状態に切り替わり、その少女から遠ざかった。自転車が音を立てる。
「…!?な…?」
しかも雪の上で寝ているというのに、寒そうじゃない。半袖なのに…。
「…なぁ…」
少女はうっすらと目を開けた。そして少年が横にいる事で眠さがふっとんだらしい。

「あ!ごめんね私ってば寝ちゃった!えへ☆で、んっと…名前、思い出せた?」
少年は少女の言ってる事の意味が少し判らなかった。
「…俺の、名前?」
「そう。君は寝る前に記憶喪失になってたの。思い出した?」
少年は首をかしげた。
「…そういや…俺、名前なんだっけなー」
少女はうぅ、と唸ってうつむいた。が、瞬時に顔をあげた。
「そうそう!私の名前、知らないよね?」
「知らねーよ」
少年は冷たく突っ込んだが、少女はスルーした。少年は心の内で彼女のスルースキルに拍手する。
「私、ケイって言うの!君の名前は…決まってないのか。何がいい?」
二人の間をしばらく沈黙が駆け抜けた。名もない少年は静かに、口を開く。

「じゃ、俺…セシナ、って事で」

少年のまっすぐな瞳が、ケイを貫いた。
「っ…セシナ?セシナが良いの?」
「ん」
少年…セシナは頷いた。ケイも笑って頷いた。
「よし!決定!セシナね!」
セシナの口元にも、少し笑いが浮かんでいた。

ケイはしばらくにこにこにこにこしていたが、やがてある疑問を持った。
「ねぇ、セシナ…君ってポケモン持ってる?」
「ポケモン…?ああ、持ってるよ。でておいで、キー」
『ソーナノ!』
セシナが出したのは、愛らしい容姿のソーナノだった。
ほがらかに笑っている。
「…可愛い〜!」
「だろ」
セシナは自慢げに言った。ケイもボールからポケモンを出した。

バンッ

『ナンッ』
ボールから現れたのは、かくとう/エスパータイプのアサナンだった。
「この子が私の相棒!名前はジュレ!」
「ふーん…」
「少しは興味示せっつーの!」
力任せにケイがセシナを殴ろうとしたその時だった。

「そこまでだ、少年&少女!」
『ケッケッケ…』

バゴォオンッ!

不気味な声と共に、ケイとセシナの間にあった地面がえぐり取られていく!
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くー ★2011.01/07(金)12:18
4 お互いの絆

「ちょ、ちょっと!いきなり何すんの!」
咄嗟に臨戦態勢に入ったケイが、怒声を張り上げた。
攻撃を仕掛けた張本人、白いボディスーツに身をくるめた男は、ケイの叫びを無視してただセシナだけを見つめていた。
「今からその少年を確保する!いけ!ゴースト!」
『ケケッ!』
ゴーストの胴体から切り離された腕が、まっすぐセシナへと向かう。
「ッ!ケイ!お前は逃げろ!」
「は!?何言ってるの、君みたいな人見捨てて逃げるなんて修行が足りないでしょ!」
『なんっ』
ジュレもケイ同様、ファイティングポーズを取っていた。セシナの背中を、冷や汗が伝う。
「馬鹿だろ!さっさと逃げろ!…ぐあっ!」
「セシナーッ!?」

ドガァンッ!

セシナの居た辺りからは土煙が広がっている。ゴーストの「シャドーパンチ」による物だった。
生命を失うかもしれない。もしかしたらここで終わり?そんな恐怖にケイは怯え、震えた。拳をぎゅっと握りしめ、深呼吸をする。
「(駄目だ…セシナを助けてからじゃないと!)」
ケイの内に秘めた使命感が、「だいもんじ」の様に炎を上げて燃え上がった。
「行けッ、ジュレ!ねんりき!」
『サナーッ!』
『ゲゲーッ!』

ジュレの「ねんりき」にゴーストは急所を打ち抜かれ、男のモンスターボールに戻った。男は苦い顔をし、チッと舌打ちを打つ。
男が次のモンスターボールを準備している間に、ケイはセシナをたたき起こした。

「セシナ!ねぇ生きてるよね?ねぇ!」
「…うるせー…俺は生きてるよ」
「よかったぁ…!」
ケイの瞳が潤んだ様に見え、セシナは目をこすった。
「(何でこいつが俺の為に泣いてるんだよ!)」
不覚にもドキッとした心臓を叱りつけ、セシナは立ち上がった。
「この野郎!俺に何の用事だよ!」
「セシナはまだ記憶喪失なんだから!そっとしといてあげてよね!」
二人の叫びを男は嘲笑うかの様に見下した。
「ふん、雑魚が。いけっ、ヌオー!」
男のモンスターボールから現れたのは、みず/じめんタイプのヌオーだった。雄叫びを上げ、セシナとケイを射程距離に入れる。
ケイとセシナもそれに応戦し、キーとジュレを控えさせる。
「ジュレ、頑張って」
「キー、頼むぞ」
二匹のポケモンが不敵に微笑んだ。

「いけ!ジュレ!サイコカッター!」
最初に指示を出したのはケイだった。ジュレは超能力の刃をヌオーに当てる。ヌオーは持ち前のHPの高さで持ちこたえたが、体力を四分の一削られたのが気にくわない様だった。
「くそっ…ヌオー、みずのはどう!」
男もポケモンと同様に怒りを露わにし、指示を出す。ヌオーは雄叫びをあげ、キーに「みずのはどう」を打つ!
だがそんなピンチにも関わらず、セシナは逆に笑っていた。
「キー!ミラーコートだ!」
『ソーナノッ!』
跳ね返された「みずのはどう」はヌオーに直撃し、大きく吹っ飛んだ。そしてゴースト同様ボールの中に吸い込まれ、男の手に収まる。
「チッ、なんてこった!覚えてろよ!」
悪役の決まり文句の様な台詞を吐き、男は去って行った。
と、同時に、ケイの張り詰めていた緊張の糸がとける。

「うわーっ、怖かった!ジュレ、ありがとう!」
今にも泣くぞと言わんばかりの勢いで、ケイはジュレを抱きしめた。呆れ混じりにセシナは溜息をつく。
「やれやれ、そんなんじゃバトルガール失格だろーが」
「はっ、そうだった!ジュレ、本当にありがとう!休んで良いよ」
「(ったく、こいつ何なんだよ)」
セシナが再び溜息をついているのも気に留めず、ケイはジュレをボールに戻した。

一段落付いた所で、セシナが口を開いた。
「んで、お前はこれからどうするんだよ」
「セシナを連れて旅に出る。そうだね、君の記憶を戻す手伝いをしてあげるよ!その代わり私に何かあったら助けるっつー事で。OK?」
断れば不利なのは君だよ、というケイの心の声が聞こえた気がした。セシナは引きつった笑みを浮かべ、こくこくと頷いた。

「よし!じゃあ行こうか!」
「そっちは湖だっつーの!コトブキシティはこっちだ!」
「おお!歩くナビゲーターだ!」

二人の受難は続く…
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くー ★2011.01/07(金)12:50
5 そこの子猫を捕まえて

気づけば、俺はすべてを失っていた。
何で俺は雪の日に自転車なんかで走ってたんだろう。どうして、俺は記憶を失ってしまったんだろう。何故俺は狙われているんだ?
考えても答は見つからない。この降り積もる雪に、答えが潰されてしまった。

気づけば、俺はもう一度新しい「何か」を手に入れようとしていた。
隣にはケイがいる。モンスターボールの中には頼りになる味方、キーがいる。
さっき見知らぬ男と戦った時も、俺の本能が動いていた。技の効果をすべて知っていた。どうすれば相手を倒せるかを、知っていた。

だけど、何でだろう。隣に居るケイのせいで調子が狂う。
俺なんて、ほっといてくれればよかったのに。

「うわーっ、見えた見えた!ねぇあれだよあれあれ!あれがコトブキシティなんじゃない!?ひゃっほー!」
「うるせーっ!お前は幼稚園児か!」
考え事をしていたセシナは、突然のケイの叫び声に怒鳴り声で切り返した。
だがそれすらもケイの耳には入っていない。ゲートの奥に見える高い建物に興味津々だった。
セシナはこの日三度目になる呆れの溜息をつき、遠い目でゲートを見つめた。
「(こいつと居る限り、多分俺に幸せはこないな)」
「ねぇ何か言った?」
「いや何でも」
疑いを孕んだその声にセシナが即答した、その時だった。

「キャー、そのニャルマー捕まえてー!」

ゲートの奥から悲鳴が聞こえ、それと同時に灰色の物体がセシナの胸に飛び込んだ。明らかに嫌そうな顔を見せたセシナは、その物体…ニャルマーの首輪を掴み、引きはがす。
「ねぇ、猫嫌いなの?」
「どこの菌持ってくるかわかんねーだろ。それに何か怪しいし」
先程から自分が狙われている感覚を持っていたセシナは、続いてゲートから現れた女性に目を向ける。女性が一瞬目を光らせた気がした。
女性は最近ポケモン界で流行のアイドル、デタ・ナココだった。前母親の観ていた雑誌のトップに載っていたのを、ケイは思い出した。

「ごめんなさい、ありがとうございます!そうだ、お礼にうちの家でお茶していきませんか?そちらの女の子も一緒に」
「えっ、ほんとですかー?じゃあ…」
「お断りします」
ケイの首を掴んでセシナが言った。ケイが不服そうな顔をする。
「えーっ!別に良いじゃん!この人親切そうだし」
「ええ、遠慮しないで下さい。別に毒なんて盛りませんわ」
「いや、でも…」
どう断ろうか答え倦(あぐ)ね、セシナがデタから目をそらした。すると、ニャルマーの怪しげな瞳と、目が合った。
セシナの纏う雰囲気が、みるみる内に砕けた物になっていく。それをケイは見逃さなかった。
「セシナ?…そっか、眠いの?そう言うことなんで私たちこれで失礼しますね」
曖昧に微笑んでケイがセシナの腕を取り、デタの横を通ろうとした。
が。

「そうはさせませんよ」
「!?」

ケイの体が崩れ落ちた。
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くー ★2011.01/07(金)13:02
6 暗闇

デタに手刀を当てられ気絶したケイと、ニャルマーの「さいみんじゅつ」をかけ眠らせたセシナを、デタはボールから出したドンカラスの上に寝かせた。
「じゃあ、ドンカラスさん、宜しくお願いします」
『ガァア…』

不穏な鳴き声と共に、ケイとセシナは北東へと送り届けられていた。
ギンガ団の本拠地のある、トバリシティへと。

だが、この時は誰も気が付いていなかった。
セシナの「さいみんじゅつ」が溶けていたことに。

「ボス、ドンカラスが到着したようです。このまま指令通り、二人をコールドスリープ室に移動します」
トバリシティには沢山の白スーツの男達…つまりはギンガ団がいた。その下っ端達を束ねる幹部の一人が、無線で長と連絡を取っていた。
大きな建物の前に着陸したドンカラスは、二人を乱雑に地面の上へ放り投げた。そして気に入らんと言わんばかりに辺りを睨み付ける。下っ端はそれに怯えながらも、その二人を背負った。
「行き先はわかるな。いけ。くれぐれも逃がすな」
「「はい!」」
二人を背負った下っ端は、三つある入り口の真ん中に入っていった。彼の護衛役となった別の下っ端も、それについていく。

「これが上手くいけば、金は手に入るな…」
男がひっそりと呟いた。
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くー ★2011.01/10(月)11:53
7 冷たく眠る部屋

「…こ、ここでいいんだよな」
「そう、そこのベッドに寝かせておくだけで良いのよ。後はジュピター様がなんとかしてくれるわ!」
「うん…こ、ここの部屋超怖いんだけど!早く出ようぜ!」
「趣味悪いわよね」
タタタタッ…

セシナは周りに敵の気配が無くなった事を感じ取ると、ゆっくりと目を開けた。
と、同時に目の前の景色に吐き気を及ぼした。
「な、なんだここ…」

そこには自分の目を疑う様な景色が、あった。
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くー ★2011.01/07(金)15:10
8 心境

目の前には閉じ込められたポケモン達…おそらくもう絶命しているのだろう…が、緑色の液体の中で眠っていた。コードの様な物があちこちに繋がれている。
下っ端達がほっといてくれて本当によかった、と俺は心の底から思った。
そして、ケイを探して居た。

あれ、なんで俺、彼奴の事探してるんだ。
そっか…彼奴が「大切な人」だからか。

最初はケイの事がうざかった。お節介だし、大体なんで年頃の女が赤の他人にこうも優しくするんだろうか。底抜けの馬鹿なんだろう、と思っていた。
でも、今は違う、そりゃあ、確かにケイは馬鹿で、幼稚で救い様のなさそうな人間だけど、俺の事を本当に親身になって考えてくれた。
まだ旅を初めて少ししか経ってないけど、ケイの良さは何となくわかる。

今の俺の暗闇を照らす灯はケイだった。
ケイが居なかったら、もしあそこでケイに会わなかったら、きっと俺は路頭に迷って死んでいた。きっと、じゃないな。絶対だ。
雪に頭をぶつけて記憶喪失するなんて馬鹿みたいだ。ケイと同類だよ。
でももし、俺がケイみたいになれば。ケイみたいな明るさを持つことが出来れば幸せになれるのか?

いいや、やめよう。こんな想像をするのは、虚しすぎる。
人っていうのは、上を見上げるとキリが無いしな。


「おい、ケイ。起きろ」
ぺちぺち、とケイの頬を叩いた。カプセルの側で倒れていたケイを探すのは結構容易だった。
それでも起きなかったから、今度は肩を掴んで揺さぶった。黒色の髪が揺れる。
「起きろ!起きないと殴るぞ!」
「ぐぅ…はっ、せ、セシナ!?よかった!いたんだね!」
一人で勝手にはしゃぐケイ。あーあ、やっぱり馬鹿だ。
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くー ★2011.01/07(金)15:07
9 救出

「わぁあん、よかった!セシナがあんな変な女に騙されるからだよ、ばかばかばかぁ!」
ケイは自分の身が安全だったことに対する喜びに踊り狂っていたかと思うと、今度は怒りの矛先をセシナに向けた。べしべし、とセシナの肩の辺りを叩く。
いてぇよ、とセシナがケイの手首を掴んだ。二人の時が止まる。
「(うわっ、やべっ!っていうかこいつこんな小さかったっけ?ちょ、何考えてんだ俺!)」
「…隙あり!」
「!?」
赤面して考え事をしているセシナの耳に、ケイの声が必要以上に大きく響いた。そして、セシナの体が浮く。
「(なんだッ!?)」
「そーい!」

ドシーン!

「いってー!一本背負する事はないだろ!」
「セシナの所為だよ。でもセシナが私に迷惑かけた分これでチャラだから!」
大きくVサインをしたケイに、セシナが本日何度目になるであろう呆れの溜息をついた。

先に言葉を発したのはケイだった。出入り口とは別のドアを指さす。
「ねぇ、奥の方も行ってみようよー」
その衝撃発言に、セシナの顔が凍る。そして瞬時に倒壊し、ケイにキレた。
「あのなぁ、今自分がどんな状況にあるかわかってんのか!?奥の方に行って敵がいたらどうするんだよ!」
「私が殴る。蹴る。倒す。だってさー、なんか声が聞こえるんだって。ポケモンの。聞いたこと無いんだけど、助けて、っていうかさー」
それを言った後、ケイはその声をもう一度聞くかの様に目を閉じた。セシナも黙り込む。

―きょうぅん…

「あっ、ねぇほら!今の!」
「…ああ、聞こえたな」
セシナは今まで少し興奮気味だった為気づかなかったが、確かに奥の方から声がした。
ポケモンの知識を蓄えているセシナでさえも、声の正体は判らなかった。
「いってみるか」
「うん!」
ケイの後にセシナが続いた。


奥の部屋にはまた更にコールドスリープ室が続いていた。ただし今度は一つ一つのカプセルが大きめだった。
その中央には大きな機械が低い音を立てて動いている。幸い敵は誰も居ないようだった。
カプセルは三つあり、そのすべてにポケモンが入っていた。
「これは…エムリット、アグノム、ユクシー…人間の感情を司るポケモンだったな」
セシナが呟きながら、カプセルの一つに触れた。と、大きな静電気が走る。
「いってぇ!」
「うわっ、大丈夫?それにしてもこの子達助けられないかな?彼処の大きな機械壊したら何とかなんないかな…」
ケイはそう言いながら中央の機械へと近づいていった。セシナも後を追う。

機械の操作ボタンの中心には、謎のバリアで囲まれた赤いボタンがあった。小さく「電源」と書かれてある。
「…解く為にはパスワードが必要なのかもな」
「そんな!知らないよ…力尽くでたたき壊してやる!」
「おいっ!やめろ、ケイ!」
ケイはセシナの制止も聞かずに機械を殴ったり蹴ったりしていた。鋼鉄の様に固い機械は、ケイの暴力も全然効かなかった。ケイが舌打ちする。そして、モンスターボールを手に取った。

「ジュレ、手伝って!」
「…しょうがねーなぁ。いけ、キー」
二人はポケモンの力を借り、無理矢理壊すことにした。やがて機械に亀裂が走る。
「ジュレ、とびひざげり!」
―バギィイン!
機械の硝子に大きな亀裂が入った。そこから電撃が迸る。セシナは咄嗟に機転を利かせ、キーを掴んだ。
「キー、ミラーコートだ!」
『ソーナノ!』
襲いかかった電撃は跳ね返され、更に機械は大きなダメージを受けた。ボタンのバリアが溶ける。ケイとセシナが同時にボタンを押した。
機械の電源が墜ち、部屋の外からはぐしゃ、ばた、という嫌な音がして、硝子は溶ける様に消えていった。

湖の三体がそれぞれの領地に戻っていくのを見送ると、ケイは飛び上がって喜んだ。
「やった!やったよセシナぁ!ありがとう!」
「ぐはっ、わかったから揺さぶるな、酔う…」
ケイの喜びから解放されたセシナは、よろよろと頭を抱えていた。が、ケイは気にも留めず飛び跳ねている。
「やったー!やったー!」

それを月が観ていた。
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くー ★2011.01/07(金)23:34
10 逃走 前編

ビービービー!

「な、なんだ!?」
仮眠室で眠っていた俺は、いきなり鳴りだしたサイレンの音に飛び起きた。
ちなみに俺の名はジョンだ。犬の様な名前だが、犬ではない。歴とした『下っ端』だ。だが俺はその下っ端の中でも特にサターン様に可愛がられている。

…話を戻そう。
アジトのサイレンが鳴っていた、と言う事はアジトに何かあったと言う事だ。アジトに何かあった、と言う事はつまりアジトの中央部もといアジトの脳みそであるコールドスリープ室に異変が起こったのだ。
俺は駆け足で階段を登り、部屋へと急いだ。
そこには、驚くべき光景が広がっていた。

床はポケモンのエネルギー抽出を助ける液体で溢れかえり、カプセルの前にはそれぞれポケモンの肉体が転がっていた。
顰めっ面をしながら奥へ進むと、そこには散乱した硝子の破片と、ヒビの入り使い物にならなくなった機械が。
その前に呆然と立ち尽くす、俺。静かな部屋。
俺はポケットから通信機を出し、サターン様に連絡を取った。

「サターン様!もしもーし!」
『…ジョンか、悪いが今取り込み中だ』
「そんな場合じゃありませんよサターン様!大変です!湖の三匹が脱走しました!」
『…そうか。ならアカギ様にも連絡を取れ』
「落ち着きすぎではありませんか!?」
『もう赤い鎖は作り終わった。アカギ様がエムリット萌えだのなんだの言っていたが…まぁいいだろう』
アカギ様…前から少し変わったお方だと思っていたが、まさかそんな方向に突っ走るとは。
「はっ、了解しました。只今よりアカギ様と連絡を」
『私が取る。ジョン、ご苦労だった。今日は休んで良いぞ』
…?なんか、今日はサターン様が優しいな…
もしかして!日頃の俺のがんばりに気がついてくれたか!?だとすれば俺は嬉しい!感無量だ!

『ところで、例の子供達は?』
「脱走しました!」
『なんだと!?すぐに後を追え!あいつらは無くてはならない存在!』
「もしかして恋人にするんですか?」
『違う!俺にはマーz…ってそんな事どうだって良い!さっさと追え!』
「了解しました♪」
俺は通信機をポケットの中にしまい、ワープパネルにのった。
彼らには探知機を付けているから、すぐ終えるだろう。
今は物置に隠れてる、ってとこか。

「くっくっく、子供も俺に取っちゃ蚊の様なもんよ♪」

頑張るんだジョン!
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くー ★2011.01/08(土)11:29
11 逃走 後編

ポケットに入っているケータイのバイブが揺れている。きっとジョンからの連絡であろう。

『サターン様、例の子供を見つけました。傷つけない様に、ですよね?』
やはりジョンからの連絡であった。どうやらアカギ様のお探しになっている少年少女を探し当てたらしい。
あの餓鬼共め、アカギ様の大切にしていた湖の三匹をも逃がすなど…許せん。
「もちろん、そうだ。できればお前のマスキッパで巻き取ってくれ」
『了解しました、サターン様』
「流石だな、忠犬」
『忠犬じゃありませんからっ!』
通信が切れた。全く、ジョンも可愛い物である。
所で俺は今、彼奴らによって使い物にならなくなった機械の修理をしていた。
「…新しい物を買うと言う手は無いのだろうか。なぁ、グレックル」
ケッ、とグレックルは返事を返した。そんな返事を俺は求めていない!


ジョンは出口に向かって闇雲に走るケイとセシナを尾行していた。
「(ククッ、馬鹿め。そっちは出口ではないぞ!)」
『シャーッ…』
「ねぇ、セシナ。本当にこっちが出口なの?」
「…チッ、道を間違えたみたいだな」
舌打ちをして、セシナが振り返る。と、ジョンのあらかじめ出しておいたマスキッパがセシナに襲いかかった!
「ぐはぁあっ!?」
「ギャーッ、セシナー!大丈夫!?」
苦しげに咳き込むセシナを助けようと悪戦苦闘するケイの前に、ジョンが颯爽と現れた。
「はっはっは!驚いたか!このジョン様の襲撃に耐えられた物は少ししか居ない!」
「はぁっ!?あんたなんて、この剥がしたマスキッパごとおしおきしてやる!」
「なっ!?」
ケイはジョンの自己紹介の間にセシナからマスキッパをはぎ取っていたのだった。それを思い切りジョンに向かって投げつける。

ギュン!
…バッシーン!

「ギャァアァアァア!」
耳を劈く様な悲鳴になれていないセシナは、思わず耳と目を塞いだ。ケイはといえば、柔道の稽古後の様にスカッとした表情である。
「ポケモンに変わってお仕置きだ!さっ、セシナ!逃げよう!」
「お、お前…強いな」
セシナがちらっとジョンを見てから、ケイに続いてかけだした。
「ぐっ、くそぉ〜…覚えていろよぉ〜…ぐへ」

その二十分後、ジョンは別の下っ端に運良く見つけられたという…
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くー ★2011.01/08(土)12:01
12 冗談と本音

もう、これ以上ケイを危険な目には合わせられない。
さよなら、ケイ…


逃げて逃げて、生き延びろ。それがケイとセシナに与えられた、神からの使命だった。
ワープパネルに乗って、他の団員と会う度に倒し、出口を目指して逃げ惑う。
普段であればもう少し楽観的なセシナの表情は冷たく、無表情になっていった。

「…ねぇ、セシナ…」
はぁ、はぁという荒い呼吸音の合間に、ケイは呟いた。
やがてセシナは、冷淡そのものといった口調で答える。
「…何だよ」
「私何か悪い事したかな?」
「何で?」
「だってセシナ、雰囲気が怖いよ!何かあったの!?私が嫌なの!?」
ケイが涙声で叫ぶ。セシナはしばらくして、口を開いた。
「…何でお前に教えなきゃいけないんだよ」

涙が一筋、ケイの白い頬を伝った。

「…セシナの、セシナの馬鹿ぁ!どうしてよ!本当に、本当に私が嫌いなんだぁ!」
「悪ぃ…」
セシナの表情が苦渋に染まり、もうケイと目を合わせようとはしなかった。ケイがセシナに殴りかかろうとする。

だが、その手は「フェイント」よろしくその場で止まった。セシナへの思いやりと、怒りが反発し合い、ケイの腕は震えていた。

やがて、ケイが座り込み、両手に顔を埋めた。
「こんな事になるんだったら、セシナなんて助けなきゃよかったぁ…セシナなんて、大ッ嫌い…私に見せてくれた思いやりも愛情も全部嘘だったんだ!私を利用してたんでしょ!?最低…ッ」
「…ケイ…」
「もうどっか行ってよぉ…セシナなんて嫌い!」
首を横に激しく振り、ケイはセシナを拒絶した。セシナはその動作に酷く悲しげな表情を浮かべ、ケイと目線の合う高さにまで屈む。

「ごめん…」

ケイの足下にけむりだまを残し、セシナはケイに背を向けた。
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くー ★2011.01/08(土)12:34
13 メタモン

泣いた事によって体力を消耗し疲れ切ったケイは、壁にもたれかかる様にして眠っていた。
見つからなかったのが幸いである。自分のした行為を反省すると同時に、眠る前の事をケイは思い出した。
「(そうだ…セシナと喧嘩したんだっけ…探して謝らないとなぁ…)」

『謝らないでも済む方法があるぞ。我と体を共有するのだ』
「…誰…?」
『我はメタモン…我と融合すればお前は!不老不死の肉体を得る事が出来る!』
こつ、こつと足音がして、やってきたのはセシナだった。
「セシナ!会いたかった…さっきはごめんね!」
『ククッ…』
「セシナ…?」
セシナの目は歪んだ感情にギラギラと光っていた。いわれてみれば本物のセシナよりも幾分か顔立ちが整っている。ケイが異変に気づいて逃げる前に、セシナがケイの腕を掴んだ。
『お前は鈍い…我こそが「メタモン」細胞を自在に操り変化する!伝説のポケモンであれどこんな偉業は達成できまい!我はすべての頂点に立つ者…我の命令を聞け!』
「嫌だね!私が言う事を聞くのは私が信じた人だけ…あんたなんかクズよ!ゴミ箱にでもいればぁ!?」
『…貴様ァア!』
セシナ…否、メタモンの姿がウインディに変化し、ケイに「かみくだく」を仕掛けた。
ケイはさっと身を横に翻して交わし、ボールからジュレを出す。
「ごめん、ジュレ…私に力を貸して!かみなりパンチ!」

バチバチバチッ、ダァン!

ジュレの「かみなりパンチ」はウインディにはヒットせず、代わりに床に当たった。床に電撃が広がる。
「(…!そうだ…床を凍らせてしまえば!)ジュレ、床にれいとうパンチ!」
『ナーンッ!』
ジュレは自分の出せる最高のスピードで、床をどんどん凍らせていった。ヒビの入った床の上に、厚い氷の層が積み上がる。
『フン…なにをするつもりだ、我は何にでも変化出来るのだぞ』
ウインディの姿を解き、トゲキッスに変化したメタモンがジュレを嘲笑う。

床一面に氷の層が広がった。
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くー ★2011.01/08(土)13:04
14 再会

『すみません、サターン様…彼奴らを逃がしてしまいました』
「そう言う事だろうと思った。アカギ様があの実験体を放った。あの方は大変ご立腹だ…もう彼奴らを殺す覚悟を決めていらっしゃる」
『なっ…何ですって!?あのメタモンの事ですよね!?彼奴はかなり危険です!今すぐにでも捕獲しないと、このアジトが…!』
「フン…ジョン、落ち着くんだ。俺がメタモンの襲撃から逃れられず死ぬと思うか?俺は必ずお前を連れて逃げる。それにあいつらが死のうがメタモンが死のうがどちらに転んでもメリットしかない」
『…そうでしたね、すみません』


室内に作られた氷のフィールドの上で、トゲキッスに扮したメタモンとジュレは向かい合っていた。
「ジュレ、これは君の氷!君の思いに答えてくれるよ!」
『馬鹿め…我はどんな場所であろうと神なのだ!』
メタモンがジュレ目がけて「エアスラッシュ」を放った。ジュレはそれを難無く交わし、真下にいるメタモン目がけて「とびひざげり」を放った。
上から気圧が振ってくるのを確認すると、メタモンはすっとその場を離れた。ジュレはそのまま氷に「とびひざげり」を放った。
ビシッと大きな音がして、氷に亀裂が走る。細かい氷の破片がトゲキッスに刺さった。
『チッ…マジカルリーフ!』
「れいとうパンチ!」
ジュレの放った「れいとうパンチ」はマジカルリーフに当たり、マジカルリーフは地に墜ちた。ケイがにやりと笑う。
「ジュレ、マジカルリーフを投げつけて!」

ビュンッ!グサッ!

凍ったマジカルリーフを投げつけられ、トゲキッスは墜落した。苦渋の表情を浮かべ、真のメタモンの姿に戻る。
『わかったわかった、なかなか強いのだな。見直した…だが、これはどうだ?これに耐える事が出来れば我は退こう。ただし!耐えられなければ死ぬ!食らえ!オーバーヒート!』
メタモンはヒードランの姿に変化し、口から灼熱の炎を生み出した。ケイの顔が真っ青になる。
「(駄目だ…ジュレじゃこんな攻撃耐えられない!運良くオーバーヒートを交わしたとして、この氷も溶ける…どうしよう!)」
もう終わりか。ケイの結論はそれだった。潔く目を閉じ、待っている死の元へ、向かう。

「キー!ミラーコートだ!」

その声に、ケイの瞳が開いた。
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くー ★2011.01/08(土)13:31
15 生命の道と新月の象徴

幼い時に見ていた正義の味方は、本当に存在していた。

「(嘘だ…何で、セシナが!)」
ケイの瞳には、倒れるメタモンの前に立っているキーと、腕組みをして笑うセシナの姿が映っていた。
「どうしているの!」
「やっぱりお前って放っておけねーよな。お前に迷惑をかけないように思ってたつもりが、勝手に俺が離れたからお前はこんなにも苦労した…悪ぃな!」
そう言ったセシナの顔は、少し赤く染まっていた。白い歯が、ケイの瞳には輝いて映った。
「(…セシナ…やっぱり君は…ヒーローだったんだね!)」
「言って置くけど、俺正義の味方じゃねーぞ!」
きらきらと少年のように瞳を輝かせるケイの心を知ってか知らずか、セシナが照れくさそうに吐き捨てた。

『ぐぬぅっ…我はめげぬ!貴様の体を乗っ取ってやる!ぐぉおぉおぉお!』
倒れていたメタモンが起き上がり、巨大化してセシナに襲いかかる。ケイの方を見ていたセシナは、襲いかかるそれに対応するのが遅れた。
「セシナーッ!」
ケイは今度こそ覚悟して目を瞑った。セシナはメタモンに乗っ取られてしまう!

だが、現実は違った。
いきなり窓硝子が割れ、そこから黒い物体がメタモンに突撃した。
『ぐぬぉおぁ!?』
体力の限界だったメタモンは、黒い物体の襲撃に耐えられずまた気絶した。黒い物体は氷の上に静かに降り立った。
「何ッ!?」
「お前は確か…」
セシナが黒い物体を静かに見つめ、睨む。


「ダークライ!」

黒い物体は静かに、頷いた。
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くー ★2011.01/09(日)12:16
16 情報

『…アカギ様!こちらサターンです!南棟の二階で例の子供達とメタモン、それにダークライが対峙しています!』
「なっ!?なんだと!?すぐにダークライを捕まえてポケルスに感染させろ!逃がすな!」
『わかりました!』
「(ポケルス…掛かったポケモンは自我を失い、ただただ強くなる事のみを生きる目標とする。その為ならどんな犠牲を払っても構わない…私にぴったりのウイルスだ)」


「何でダークライがこんな所にいるんだよ!今すぐここから逃げろ!この辺には監視カメラがいっぱいあって、お前の存在なんてすぐにばれるぞ!」
すらりと伸びた黒い足は、氷から数センチ離れた所に制止していた。ダークライの鋭い瞳がセシナを見据え、彼はそれきり押し黙ってしまった。
『…拙者がここに現れたのは、妹達を助けてくれた人物の情報を兄者達から得たからでござる』

ケイとセシナは、しばらく言葉の意味よりもダークライの口調に戸惑っていた。
やがて、少しは頭の切れるセシナが口を開く。
「…お前の妹達っていうのは、湖の三匹の事か?」
『そうでござる。兄者達の正体は企業秘密によって言えないでござるが、姉から聞いた情報を教えてやる事はできるでござる』
「姉?姉って誰?」
『言えないでござる…縛かれるでござる』
「何かと秘密が多いんだね。それで?」
ケイとセシナは身を乗り出してダークライを見つめていた。
ダークライはしばらく二人を眺めていたが、やがて口を開いた。

『ケイ、と言ったか?そなたの妹君、ルイも狙われているでござる。三本の矢の言い伝え通り、三人固まって動いた方が見つかる危険は少ないでござる…では、拙者はこれで』

バキィンッ! バシャァアァア…

床一面に張られた氷が、ダークライの「あくのはどう」によって溶け出した。排水溝目がけて水は一斉に流れ、足下が冷たい水に濡れる。
ダークライの言葉に、珍しくケイは俯いて考え事をしていた。ダークライは窓枠に足をかけたまま、ちらりとセシナを見る。
『…そなたも大変でござるな、セシナ。記憶の鍵はポケモン強化計画にあるでござるよ』
ぼそっと小さくはかれた言葉は、セシナの心をくすぐるには十分だった。ケイも顔を上げ、ダークライに詰め寄る。
「ねぇ!どういう事!?セシナの記憶が戻るの!?」
『全てを知りたければ拙者の兄者の元へ行くでござる。時間を司るポケモン、兄者ならセシナの全てを見せてくれるでござる』
「時間を司る?ねぇ、ダークライ、待って…」
ケイが引き留めようと腕を伸ばしたが、ダークライは外に出て行ってしまった。外の夜闇に紛れて、消える。
『せいぜい頑張るでござるよ。これからも拙者は見ているでござる』
「待ってよー!」

ケイの引き留めも虚しく、ダークライは消えてしまった。ちらりとケイがセシナを横目に見ると、彼は先程の言葉を呆然として頭の中で繰り返しているのみだった。
「(…俺がこのギンガ団に関わった?俺はここで何をしたんだ?…くそっ、全然わかんねぇよ!)」
ダンッ、ダンッ、ダンッ…
「や、やめてよ、セシナ!落ち着いて!」
自分の非力さを責めるように壁を殴り続けるセシナを、ケイは腰に腕を回して止めた。普段ならそれをふりほどくはずのセシナも、今はそれをする余裕も無い様だった。
「くそっ!俺はどうすればいいんだよ!ふざけるな!」
「セシナ!もういいよ、ゆっくり探していこう!?何も心配する事はないから!私が、私がいるから…!」
セシナの背中から震えた、泣き出す直前の声が聞こえ、セシナははっとして振り返った。ケイの瞳に涙が貯まっている。

「…悪ぃ、もう泣くなよ…時間を司るポケモンはディアルガだ。そいつに会えば何とかなるんじゃないのか」
「ぐすっ、ほ、ほんとに!?よしっ、じゃあまずは私の妹に会おう!何か知ってると思うから!」
そう言って窓枠に足をかけたケイを見、セシナは口を開いた。
「お前の妹?」
「そうそう。ルイって言うんだけどね…まぁ、本人は私の事嫌いみたいだけど」
「?まぁ…とりあえず行こうか」

ギンガ団が到着した時には、もう二人は二階から飛び降りて逃げたあとだったという…
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くー ★2011.01/09(日)12:40
17 鍵

俺の記憶の手掛かりが見つかった。
ダークライが言うには、ディアルガに会って記憶を失う前の俺を見ろ、という事らしい。
だけど、ディアルガはギンガ団が狙ってるんだろ?じゃあギンガ団より先に見つけなきゃいけないって事だよな。

でも…俺の記憶が戻ったら、ケイは俺といる口実を無くす。
ケイにはケイの目標があるんだから、俺の記憶が戻ればもう彼奴とは別れる事になるだろう。
もしも俺に付き合っている人がいたら。もしも俺が極悪人だったら…

ケイ、お前といられるのはあと少しだ。


トバリシティのポケモンセンターに泊まっていた二人は、朝の六時に起床した。
外はまだ暗い。ケイが荷物をまとめていると、セシナがふらりと消えた。
「あれ?セシナ、何処行くの?」
ケイはちゃっちゃと荷物をまとめると、セシナの分も持って外に出た。

外は身を切るような寒さだった。
雪こそ降っていない物の、空はどんよりと曇っている。まるで俺の心境みたいだ、とセシナは一人自嘲していた。
「セシナ、勝手に一人で行かないでよ!…そんなに昨日の事気にしてるの?大丈夫だよ」
意味もなく大丈夫を連呼するケイを、セシナはギロッと睨んだ。ケイがひゅっと息を飲む。
「どうしてお前が大丈夫だなんて言えるんだよ!そんな保証ないだろ!俺が大丈夫な訳ないだろ!」
そのあまりの大声に、近所の住民が何事かと窓を開けた。ケイがセシナの肩を掴む。
「ねぇ、落ち着いてよ…セシナはどうかしてる。冷静さが欠けてるよ…格闘の世界では焦った瞬間に終わりだよ」
「落ち着いていられるか!俺の記憶を早く取り戻したいんだよ!」
セシナは先の見えない生活に怒りを抱いていた。それが今、爆発している。
ケイはそんなセシナに呆れた、とでも言うように溜息をつくと、セシナの荷物を渡した。セシナがそれを持つ。
「もう、行こう…これで最後の我が儘。ルイに会うのに手伝って」
重く疲れ切ったケイの背を見、セシナは自分のした事を後悔した。慌てて詫びる。
「…ごめん、ケイ…俺どうかしてた」
「そっか。わかればいいよ」

そう言ったケイの笑顔は、儚かった。
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くー ★2011.01/09(日)13:16
18 ルイ起動

私には、自信があった。
醜い、憎むべき姉を、この手で、始末出来る。
あんな姉は、私達の家族じゃない。

あんな出来損ない、出て行ってくれて清々する。
…そう思っていたはずなのに。


清々したのは、ほんの数日だった。
「ルイ、さっさと起きろ!倒れるまで修行しろ!」
「ルイ、お前は本当に駄目だな。ケイより勝っているとはいえ、気合いが足りない!」
ルイ、ルイ、ルイ…今までどれほど殴られた事か。
もともと厳しかった父が、さらに厳しさを増している気がした。
いや、あれはもう「厳しさ」じゃない。ただの「暴力」だ…
母は私が殴られそうになる度に庇った。地に頭をなすりつけて、土下座した。それでも父はやめなかった。母も私も殴った。何故、と咳き込みながら、問う。神は私を見捨てた。

こんな事になるのだったら、姉が居た方が良かった…


なるべく音を立てぬよう静かに、ルイは扉を閉めた。鍵はかけられないが、こんな道場の家に上がり込む泥棒など命知らずだ。
「(うっ、寒い)」
シンオウ地方は寒い。冬の真夜中とあれば、尚更だ。
ルイがこんな時間に家出しなければならなかったのには、訳がある。家の道場の朝は早い。朝四時に起こしてくる程の父親なのだ。ルイは腕時計を確認した。朝の二時、しばらくは起きてこないだろう。

しばらく歩き続けていると、ルイは目の前がちかちかするのを感じた。
「(な、何これ…気持ち悪い…めまい?)」
だが、目の異変の正体はルイの体の不調では無かった。やがてその光は白く輝きを増していき、ついに目も眩む程の光になった。
「(ちょっと!辺りの住民起きてくるじゃない!)」
『いいえ、これは貴女にしか見えない光です』
その光から声が聞こえ、ルイは思わず後ずさった。
光はどんどん大きくなり、やがて一つのポケモンの形を帯びていった。
桃色、というよりは薄い紫色に近い肌、頭には三日月の飾りを付けている。
「…クレセリア?何でそんなポケモンが…」
ルイは目の前のポケモンを幻覚だと思い込み、目をこすったり頬を叩いたりした。クレセリアはそれをくすくすと上品に笑う。
『面白い人ですね…貴女は私を捕まえようとはしない』
「!…クレセリアが何の用よ!」
忘れていた事を言われ、ルイはカッと口を開いた。
また笑われるかと身構えたが、今度はそうはしない。

『…貴方の姉と共に行動している少年を、助けてあげて下さい』
「は?何で赤の他人助けなきゃいけないのよ!」
ルイは自分でも最もな事を言ったと思ったのか、勝ち誇ったように鼻をフンと鳴らした。クレセリアがそれを見つめる。
『少年は、この世界の闇の組織を滅ぼす為、アジトに乗り込みました。ですが運悪く捕まり、記憶を失ってしまったのです。彼は次捕まれば、殺されてしまう…貴方の姉も助かりません』
助かりません。その言葉に、ルイは息を飲んだ。

「(私は…姉が憎い。だけど…家に帰る為には彼奴を利用しなきゃ!助けなきゃ!)」
『貴方の助ける理由が何であれ、結果には変わりありません。ですが…私には見えるのです。貴方が貴方の姉と打ち解けるのが…さぁ、行きましょう』
「ちょ、ちょっと!どういう意味よ!私は彼奴なんて、大ッ嫌いなんだから!う、うわぁあぁあぁあ!」

少女の姿が、消えた。
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くー ★2011.01/09(日)13:32
19 ギンガ団始動

やぁ、みんな。俺だ、ジョンだ。
朝八時からギンガ団は慌ただしい。それもそのはず、だって例の子供達が脱走したんだからな。
だがサターン様は相変わらず落ち着いていらっしゃる。言い換えれば、仕事がないのだ。サターン様の仕事は、与えられた情報を信頼出来るか出来ないかに分けていく物。情報がまだ届いていない今では、仕事がないのだ。
ちなみに俺はそんな暇そうなサターン様の補佐だ。またの名を、肩もみ役。

「ジョン。あの少女の行方はどうなっている」
だが、サターン様が今一番気にしていらっしゃるのはあんな子供達の事では無い。とある可愛らしい少女の事だった。
最初それを聞いた時はついロリコンなのかと心配してしまったが…どうやらあの少女は伝説ポケモンについての情報が書かれたある書籍を持っているらしい。さすがにそれを奪う事は命知らず(彼女の家は道場らしい)なので、一般人を装って情報を手に入れているのだった。
「おい、ジョン。聞いているか」
「あっ、はいサターン様。あの少女は…っと、少々お待ち下さい」
俺はポケットから、少女の行方がわかるレーダーを取り出した。少女の手持ち、ブースターの入っているモンスターボールを発信器付きのタイプと交換しておいた。そう簡単にわかる物では無い。
「少女は今…おお?どうやらリッシこにいるようですね。近くに謎のポケモンがいます」
「謎のポケモン?どんな形だ」
「三日月がついている…こ、これはクレセリアじゃないですか!?」
そう、少女のすぐ側にはクレセリアがいたのだった。まんげつじまにいるんじゃなかったのか!?
「何だと!?すぐに追え!」
「いや、近くに…ああっ、近くに例の子供達もいます!」
「何…!?」
サターン様は舌打ちすると、館内放送用のマイクを握った。

『全団員に告ぐ!有力な情報が届いた!リッシこに例の子供達とクレセリアがいる!直ちに捕獲しろ!繰り返す!リッシこにいけ!そこにいる子供全員とクレセリアを捕らえてこい!』

ああ、また仕事が無くなる…
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くー ☆2011.02/13(日)19:45
20 到着

気持ち悪い。
空の青と木々の緑、湖の群青に囲まれた、ちょっとした小島にルイは座り込んでいた。
おおかた、乗り物酔いならぬワープ酔いでもしたのだろう。
「…貴方、何のつもりよ…私に姉を助けるように言っておきながら、馬鹿じゃないの」
『申し訳ありません。私とした事が』
「さりげなく自慢するんじゃないわよ!」
ギラッ、と「へびにらみ」の様な鋭い目で睨まれ、クレセリアは一回り縮こまった。いそいそと水面へ移動する。
「何処行くのよ」
『え、あの…私は仕事がありまして』
「ちょ、ちょっとぉ!私をこの離島に置き去りにするって言うの!?私なみのり出来るポケモン一匹も持ってないんだけど!」
ぎゃあぎゃあと捲し立てるルイをよそに、木々は吹き抜ける優しい風に身を任せていた。
『あー、わかりましたから。水タイプのポケモンはお持ちですか?』
「はい、ネオラントよ。で、どうするの」
クレセリアがネオラントのボールに触れると、そのモンスターボールが光り輝いた。光が戻った所で、ルイがそのボールを取った。未だ熱を持ち、熱い。
「出てきなさい、ネオラント」
出てきたネオラントは、真っ直ぐ水面に飛び込んだ。そして、湖を駆けるかのように泳いでいる。
「…なみのりを覚えたの?」
『はい。では私はこれで』
今度こそクレセリアは消えてしまった。消えた跡は小さなクレーターの様になっており、そこだけ地面がむき出しになっていた。


ざくざくという草むらをかき分けて進む人間の足音が聞こえる。
その場に居たキリンリキ達はさっと人間から隠れた。
朝八時、シンオウ地方はまだ寒い。もしかすると一日中、一年中暑いと思う事など無いかもしれない。
唇から白い息を吐き出しながら、二人の少年少女は進んでいた。
どこか、焦燥の浮かぶ面持ちである。
「駄目だ…ギンガ団は多分すぐに追いついてくる…」
「落ち着こう、セシナ。まだ大丈夫だよ…ここをずっと行けば、多分ルイに会える」
それはケイの宛も無い勘だった。以前、家族でリッシ湖のホテルに泊まった事がある。あの時は楽しかったな、と思いながら、ケイは真っ直ぐ前を見つめていた。

それでもセシナは気が気でなかった。出来る事ならケイを置いていけば良かった、と心の底から今後悔していた。どのような形であれ愛しているからこそ、ケイを危険な目に遭わせるのは絶対に避けなければならなかった。
何度もう駄目だ、と何度思っただろう。幾度も彼女を置いていこうとして、結果更なる危険に合わせた。だけど彼処で自分が助けに行ったからまたこうして辛い思いをさせている。シンジ湖の前で二人を巡り合わせた神を、恨むしか方法は無い。
ケイを見つめる度に、セシナの心は罪悪感に蝕まれていく。理性と欲望が複雑に絡み合い、息が出来なくなる。出来る事なら彼女と一緒に居たい。だけどそれはしてはいけない。超自我という番人が、それを許さない。

「ねっ、だから元気出して」
「…そうだな」
無理矢理セシナは笑みを取り繕った。先程までの考え事をオブラートに何十にもくるんで心にしまった。ケイは少しきょとんとした様な表情を浮かべたが、やがてにこりと笑う。
頑張ろうね、とケイが呟き、前に進んだその時だった。

「…ちょっと、あんた!」

ケイよりも一回り小さな少女が、仁王立ちして叫んでいた。
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くー ☆2011.04/29(金)19:49
21 ルイ

「…あんた、ケイね!?」

その姿と声を聞いて、周りの音が一切消えていった。

「…う、嘘。嘘なの、ルイッ!?」
「嘘じゃないわよ。なんかクレセリアとかいうポケモンに拉致されてこっちに来ちゃったのよ!あんた困ってるんでしょう、さっさとあたしに助けさせなさいよ!」
…?どういう事だ。ルイの喋っている日本語がおかしい。拉致?助けさせる?助けるってのは善意でやる物じゃないの?
隣にいるセシナも困ったような顔をしていた。
「どういう事?」
「フン、聞いたわよ。あんた、その少年の所為で苦労してるんだってね?そんな奴となんてさっさと別れちゃいなさいよ。そしたらあんたは助かるじゃない」
ルイの言葉に、私の頭がどんどん熱くなっていくのがわかった。私はセシナの所為だなんてこれっぽっちも思っていないのに、別れたいだなんて思ってないのに!
「ッ、ルイ!あんたね、私は…!」
「もういい、よせ。ケイ」
「えっ」
見慣れた灰色のTシャツが目の前にあった。いつの間に前に出てきていたのか、セシナは。
ここからでは見えないが、どうやらセシナはルイを睨み付けているらしい。
「…ルイちゃん、ケイに変な事を言って混乱させるのはよしてくれないか。このままだと三人とも助からないぞ。俺達を助ける気があるなら、着いてきてくれ」
「ハァ?嫌よ。大体あんたなんかに指図される覚えなんて無いしね。あたしはさっさとケイを家に連れ戻したいのよ」
どういう事だ?なんで私が家に戻らなきゃいけないの?なんで、ルイ、さっきからどうしてそんな事ばかり言うのよ。
ルイは勝ち誇ったような笑みを浮かべ、薄い唇の間からイタズラっぽい八重歯を覗かせている。
「あたしの斬だってだいぶ強くなったわ。なんだったらケイのジュレだって溶かしてやる。無理矢理にでも連れ帰って良いのよ!そしたら、ケイも助かって、あたしだって楽になって、全部全部助かるのに!」
段々とその叫び声が悲鳴に近くなっていくのを、私達は胸が張り裂けそうな思いで聞いていた。

私達の家は道場を営んでいる。それは知っていると思う。
その経営主である父親はとても厳しかった。厳しいなんて物じゃない。少しでも蹴りの威力が弱いと髪の毛を掴んで殴られた。反抗すれば包丁を振り回す。
何度死んでしまえばいいと願っただろう?幼いルイも殴って痣だらけにして、何が満足だったのだろう。
それが悔しくて、嫌になって、旅という名の家出をした。

思えば、それが余りにも辛かったから今の生活が苦ではないのかもしれない。
ギンガ団に追われて殺されそうになっていても、何も辛くなんか無いんだ。
セシナもいる。ジュレだっている。あの日々に比べれば、何も。

でも私は何か重大なことを1つ忘れていた。
ルイを忘れていた。
ルイがどれだけ辛い思いをしたか、それを忘れていた。


「ごめんね、ルイ。辛かったよね…勝手に一人で出て行っちゃってごめんね」
私はセシナの横から思わず飛び出していた。そして、ルイを抱きしめていた。
気づけば目から生暖かい雫が零れていて、ルイを抱きしめる手にも力が入っていた。
「ごめん、本当に。もうルイを置いていかない。私だって強くなる…ルイに負けないように強くなって、ルイを守るよ」
「ちょ、ちょっと、離しなさいよ!あんたに謝られたって何も嬉しくないし!ふざけないでよ!あたしがどれだけ殴られたかわかってるの!あんただけずるい!あたしより弱い癖にずるいよ!」
伸ばされたルイの腕が、私の背中を叩いた。思い切り、強く叩いた。痛みが走ったけど、ルイの痛みに比べればこんな物、どうでもいい。
「ごめん。本当に。だから一緒に着いてきて。私がルイを守るよ」
「…あんたなんかにあたしを守れる訳無いじゃない。馬鹿言わないでよ」
身体が何歩か交代した。ルイが控えめに私を突き飛ばしたからだった。ルイの真っ直ぐな瞳が、私を見上げていた。
その目には、涙の後が光っている。

「あんたが馬鹿だから、あたしが着いていってあげるの。誤解しないでよね」
「…!!うん!ありがとう!いいよね、セシナ!?」
「ああ!よろしくな、ルイちゃん!」

隣では、キーとジュレと斬が仲良く輪を作っていた。
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みんなの感想

この物語に感想を書こう。みんなの感想は別のページにまとまってるよ。


物語のつづきを書きこむ

ここにつづきを書けるのは、作者本人だけです。本人も、本文じゃない フォローのコメントとか、あとがきなんかは、「感想」のほうに書いてね。

物語ジャンルの注目は、長くなりがちなので、いちばんあたらしい1話だけの注目に なります。だから、1回の文章量が少なすぎると、ちょっとカッコわるいかも。


状態(じょうたい)

あんまりにも文字の量が多くなると、 ()み具合によっては エラーが出やすくなることがあるよ。ねんのため、 本文をコピーしてから書きこんでおくと、エラーが出たとき安心だね。

シリーズのお話がすべて終わったら「終了」に、文字数が多すぎるために テーマを分けて連載を続ける場合は「テーマを移動して連載」(次へ)に 状態を切り替えておいてね。この2つの状態の時に、「次の作品に期待」 されて感想が書き込まれると、次のテーマが作れるようになります。

しばらくお話の続きが書けなくなりそうな場合は「一時停止」にしておいてね。 長い間「一時停止」のままの物語は、Pixieの 容量確保(ようりょうかくほ) のため消されることがあるので、自分のパソコンに 保存(ほぞん)しておこう。

やむをえず、連載を 途中(とちゅう)で やめる場合は、凍結をえらんでね。ただし、凍結をえらんでも、次の物語が 書けるようにはなりません。感想をくれた人や、次回を楽しみにしてた人に、 感想 で おわびしておこう。


ポケットモンスター(ポケモン)のページ「Pixie(ぴくしぃ)」