ぴくし〜のーと あどばんす

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終了[1244] 譫言

かめたん ☆2009.10/24(土)02:01
ピカチュウが一匹、
ピカチュウが二匹、
産毛を震わせ、
電撃を散らしながら、
排水管を流れていく、
一人の少年は、
「―黙れ!」
と叫んで、
警察から逃げようとする。
黙れ、ピカチュウの譫言が、
少年の皮膚に浸透して、
排水管が破裂して電流が炸裂し、
少年と警察を巻き込んで
市街地を青白くする。
火災の中から、
少年がピカチュウを抱えて出て来たのは、
それからわずか数分後のことである―。

幾多の雨水の循環が繰り返され、
生み出されるエネルギーの経路は、
シティの中心である
エターナルギアへと集合している。
ポケモンセンターに行くのに、
モーターボートが必要だなんて思わなかった。
「でもこの街に雨が降らない日は一年に一日しかないことを考えたら、それも当然と言えよう。」
スクリューの回転が、
幾度も僕の神経を揺さ振っているのを、
助長するソルロックの語りで
僕の心臓は総攻撃を開始し、
たちまち辺りは焦土に包まれる。
すぐに雨がそれを掻き消して、
乾いたけむりのにおいだけが浸す
僕の脳内はすっかり透明なガラスの空洞だ。
「でも妙だと思わないか」
確かに街の異変がこの程度ではないということを
きっと誰かが知っているはずだ。
具象化できない歪みが回転しているのを、
師はルンパッパの洪水と表現した。
明らかに一切の街の構造を語った表現であり、
微塵も疑いを持てない。

―少年の腕に縋りつく二匹のピカチュウが、
ポケモンセンターに運ばれ、
創傷を治療させている間、
少年は震えたままベンチに座っていた。
隣に座っていた私にさえ、
彼の心臓の鼓動が伝わってくる。
私は、思わず
「あのピカチュウ、大丈夫かしら。」
と、独り言に見せかけた問いを彼に投げかけていた。
「問題はない。俺の傷に比べたら、まだマシさ。」
そう言いながらも、
鼓動は私のものと重なり合い、
ベンチそのものにさえ拍動を宿したように思えた―。

エターナルギア、
この町の中心に存在する歯車は、
彼の抱えていた
二匹のピカチュウの電撃の爆発によって発生した。
いったい、
彼が何故その爆発から生還したのか、
誰もわかってはいない。
知ろうとさえ、しない。

住民たちの関心は、
爆発によって生じた現象に向いた。
爆発のあった地点に、
吸い込む巨大な穴が生じたことである。
用水路から放散され、
一帯を浸していた水を吸い込んでいく巨大な穴。
光一つないその空間を、
誰も垣間見ることさえしない。
政府の事業によって、
その穴を取り囲むようにドームが設置され、
水流によってタービンが幾度も回転を繰り返す。
彼らは、
その動力によって生み出された電気を、
利用することを考えたのだ。

水上に浮かぶ彼らの家の中に僕はいる。
ここが新しい僕らの家だと、
誰一人として実感を持てない理由はただ一つ、
窓の向こうが水没しているからだ。
真っ白な壁で覆われた立方体の中に僕はいて、
設計者のミスではなく、
もともとそういう構造だったのであるが。
中にいた女性が、
怪訝そうな視線を僕に向ける。

「それで、
あなたはどうしてここにやって来れたんですか。」
いや、
あなたがモーターボートを運転して来たんでしょう。
「私はモーターボートを運転してなどいませんよ。
最初からずっと、ここにいました。」
じゃあ、どうしてそんなことを聞くのですか。
僕は先ほど、あの天井にあった扉から入ってきたのですよ。
「あれは扉ではありません。天窓です。」
じゃあ、あの水没しているのは、もしかして…
「扉です。あのフックのところに、靴をかけるのです。」

なるほど、

見落としていたが、
窓だと思っていた
その丸い円盤の右隣にはフックがあって、
彼女の白い紐の靴が引っかかっている。
そこでようやく僕の疑問は消えうせた。
その代わり、
僕の靴がそこに引っかかって、
ひたひたと、
夜通し湿気が滴り続けた。
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かめたん ☆2009.11/04(水)14:20
―ハイホー、ハイホー、死神が鳴く、
さっき狩ってきた虎の頭を、
撫でるように優しく取り出して、
傀儡政権を作ってみたんだ。
ねえ君、
ここは一つ、
咀嚼されてみないか、この虎の頭に。
唾液が君の耳を這い回るところを、見てみたいんだ、
なんて、キザなセリフを呟いて、
死神はマントを払いのける。
マントは無数の蝶になって、
露わになった死神の肋骨に、
突き刺さりながら抜けていく、
そして粉々に―

なあ、この街には、
墓石の一つも建てられないのか、
二匹のピカチュウが、
いつまでも生きているとは限らないだろう。
「どうしてそんなことを?」
夢を見たんだ。
死神が現れて、
骨に蝶が、突き刺さっている夢を。
彼女は一瞬沈黙し、
「ええ、確かに墓は建てないわ」
じゃあ、どうするんだい?
「錘を付けて、水底に沈めてしまう。」
そっか…。

エターナルギア。
脳内で繰り返す度に、
僕にはわかるんだ、
あそこの地下にはきっと、
何か得体の知れないものがあって、
きっと、
モンスターボールから出てこれないまま、
あの中で眠っているのも、
いるのかもしれない。

僕は、
風呂場の排水溝を思い出しながら、
ギアの中心部に、
ハイスピードの激流を見ている。
それを覆い隠すように、
施設の装甲が、
何の隙間もない配列をなしている。
今日は快晴のはずなのに、
光一つ差し込まない。

突如、
傷ついたラグラージが、
その激流の切れ間から、
水掻きを暴れさせながら、
オレンジの眼光を鋭くして、
僕の目の前を過ぎる

…激流の中で、
必死に、
溺れている。

すぐに幼い少年が
自動ドアを潜り、
ラグラージに駆け寄ろうとする
「助けて、僕のラグラージを、助けてよ」
少年は遥かに背の高い鉄柵を握り締め、
慟哭が、
強くぶつかって、
柵の前で崩れ落ちている

僕は施設の管理員に叫ぶ
おい、
水流を止めろ!
「いえ、できません」
なんとかしろ、
この子のラグラージが、
このままだと、死ぬぞ!
どうしてそれができない、
「できないものはできないんです」
そんな馬鹿なことがあるものか、
何故こんなところにポケモンが
流れてしまう必要があるんだ。
ここに入ったら最後、
二度と出れないんじゃないのか。
「あいつは水中網を破壊するんです
まあ、
自業自得といったところでしょうか」

咄嗟に出た右腕が、
管理員のせせら笑いを突き飛ばしていた。

もういい、
俺が助けにいく。
鉄柵に足をかけ、
「それは止めて下さい!」
突き飛ばしたばかりの管理員が、
ベルトをがっしりと掴む、
糞、邪魔すんな、
俺が助けに行くんだよ、
「水流に巻き込まれたら、
もう二度と生きては帰れませんよ!」
俺はそいつの顔面を、
昨日、すっかり乾いた靴で蹴飛ばして
柵を乗り越え、激流に飛び込む。

あの子を泣かせたのは、
俺たち大人だろ?
僕の全身は、
ものすごい飛沫を上げた。
ラグラージと一緒に流されながら、
俺は泣いている少年に叫ぶ。
必ず連れて帰って来るからな、
僕の叫び声で、
少年の顔に生気が戻ったのを見届けて、
僕は、排水溝に吸い込まれるようにして、
あっさりと、
流されてしまう。
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かめたん ☆2010.04/06(火)18:52


お前の身体の中からぶちまけられたように、投石が始まり、石から石へ飛び火する火花、夜景と硝煙を照らす夕焼け空の中で、歯車は崩壊を始めた、
歯車は、はぐる魔、であるから、例えば電車の中では、彼は密閉された機構の内にはぐれ、ギシギシと音を立てて抱擁(ハグ)され、君らのポケットから飛び出す機会を伺っているんだよ、と誰かが言付けて、

それからこれは小説じゃない、と君は叫び、
俺が砂浜で組み立ててきた図式をめちゃくちゃに踏み付け、
元の物語に戻すのだろう。



こうしてラグラージと僕は気がつくと木の実だらけの地下水道へとたどり着きました。それから太陽が見つからないことに絶望して、もうどうでもよくなって、やめた!もうやめた!と言おうとするのですが、僕が叫ぶ度に水面に浮かぶ木の実がモモン、モモンと裂けるので、僕の声は全く聞こえないのです。
ラグラージは、モモン、モモンと裂けた木の実を優しくつかみ取って、かぶりつき、噛みあとからはヨーグルトのような香りがしますので、この地下水道は果たして、小説のために用意された舞台というよりかは、モモン、モモンと木の実を炸裂させるためにあると言ってよいでしょう。そうとわかれば、ラグラージも轟々と吠えまして、辺り一面に浮かぶ木の実を炸裂させていくわけです。それぞれの木の実が、思い思いに不思議な音を立てます。ラブタ、ラブタ、カムラ、カムラ、ドリ、ドリ、そして、僕とラグラージとでそれをよく飲み干しまして、たちまちカムラ、カムラと俊敏になり、勢いをつけて天井を突き破って濁流を越え、するとそこからナゾ、ナゾ、と炸裂して、サン、サン、と太陽に映える背中を越え、すると先まで渦巻いていた水ももう見当たらず、これはよかった、よかった、というところで、住民の皆さんがエターナルギアに石を投げ付けているのに出くわすのです。
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かめたん ★2015.07/05(日)11:37
Q−Q

エターナルギアはかつてない勢いで荒廃しておりました。当然でございます。少年のポケモンが吸い込まれ、少年が泣いて、抗議団体が想像を超える勢いで投石を開始したからです。
さて、僕は木の実を破裂させて、なんとか戻ってきたわけですが、そこで目の当たりにしたのは、世界と世界と世界の荒廃とでも言いましょうか、嵐の後とでも言いましょうか、あっちやこっちに曲がりに曲がって原型を留めていないドーム状のシェルター、ただ傷だらけになってしまったフォルム、しゃがみ込み狂ったような叫び声をあげる従業員たち、一塊になって彼らに石を投げる民衆、つまりそういうものだったわけです。そこに我々が現れたのですから、それこそ僕とラグラージは神様みたいに見えたのではないでしょうか。
そして、僕らが空中を半回転して飲み込まれた水の底から出てきたときの心境というのは、信じていたものに裏切られたときの心境に似ている気がします。戦うべき対象があったのに、突然参上した神様的存在には、戸惑うしかありません。そして、その状態というのはめちゃくちゃに混乱している状態ですから、誰かが「あいつらだ、あいつらが溺れるのが悪いんだ」などとほざきやがった場合には、やはり何も悪いことはしていないとしても、民衆の攻撃の対象は僕らに向かい、たちまち空中にていくつもの石玉を浴びて、元の水の中に落ちていきました。少し悲しかったのが、その石を投げた民衆の中に、あのラグラージの持ち主である男の子がいたということでしょう。彼は本当に最愛のポケモンを失ったのでしょうか?思いが錯乱する中、僕らの意識も水の渦の内に、再び沈んでいきました。
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ここにつづきを書けるのは、作者本人だけです。本人も、本文じゃない フォローのコメントとか、あとがきなんかは、「感想」のほうに書いてね。

物語ジャンルの注目は、長くなりがちなので、いちばんあたらしい1話だけの注目に なります。だから、1回の文章量が少なすぎると、ちょっとカッコわるいかも。


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シリーズのお話がすべて終わったら「終了」に、文字数が多すぎるために テーマを分けて連載を続ける場合は「テーマを移動して連載」(次へ)に 状態を切り替えておいてね。この2つの状態の時に、「次の作品に期待」 されて感想が書き込まれると、次のテーマが作れるようになります。

ちなみに「次の作品に期待」をもらって「完結」や「続く」になってる作品を 「次へ」「終了」に変えることもできるけど、その場合、次のテーマを 作るためには、もう一度「次の作品に期待」が必要になります。

しばらくお話の続きが書けなくなりそうな場合は「一時停止」にしておいてね。 長い間「一時停止」のままの物語は、Pixieの 容量確保(ようりょうかくほ) のため消されることがあるので、自分のパソコンに 保存(ほぞん)しておこう。

やむをえず、連載を 途中(とちゅう)で やめる場合は、凍結をえらんでね。ただし、凍結をえらんでも、次の物語が 書けるようにはなりません。感想をくれた人や、次回を楽しみにしてた人に、 感想 で おわびしておこう。


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