ぴくし〜のーと あどばんす

物語

【ぴくし〜のーと メイン】 【テーマいちらん】 【おともだちぶっく】 【みんなの感想】

連載[1307] くろいまち

クロノ ☆2013.01/20(日)11:15
「変わらないな…、この町も」


吐き捨てるように。

憎しみを込めて。

そう言った。


言えば変わるというわけでは、ないけれど…―。


〜 〜 〜


ポケモンは道具。

…いや、金に換えるだけのただのモノ。

それがここの町の人間の意識だった。


容姿の特別美しいポケモンや、
性格の良いもの、強いもの、色違いのポケモンなんかは、
ここでは高値で売れた。

そして、その条件にぴたりと当てはまってしまった哀れなアブソルがいた―。


容姿は誰がどう見ても「美しい」の一言に尽きる。

所々に黒い毛が混じっているが、それがまた人々を魅了させた。

性格は「ゆうかん」で、レベルは90近くあると見れる…
野生でこれだけあれば十分強いといえるだろう。

色は、青を掻き消すかのように真っ黒に染まっている。

そして、通常は赤い目も、
夜になると一際鮮やかに、ぼんやりと浮かび上がる月のような、
綺麗な金色をしていた。


「ぐるるるるっ…!」


うなり声も低いながらに綺麗に響く美しい声。

ここまでに完璧なアブソルはそういないだろう…。

怯えることなくただ毛を逆立て威嚇するアブソルに、
商人は感心するように頷いた。


「…おっと…。仕事しねぇとな、へへ」


少し楽しげに笑うと、アブソルに歩み寄る。

当のアブソルはというと、鎖で繋がれた首輪をはめられていて、
一定の距離しか動けないようになっていた。

しかも、動けるといっても数十センチのものだ。


「お前を鎖で繋ぐときはかなり苦労したんだぞぉ、ん?…知ったこっちゃねえってか。そりゃそうだわなぁ」


イタズラっぽく笑うと、またアブソルのほうへと足を動かす。

と、アブソルは噛みつくぞ、そう言わんばかりに目をぎらつかせた。

それを見て、商人はにやりと笑った。

ズボンのポケットに手を入れる。


出てきたものを見て、アブソルは商人から後ずさって、
少しおびえた表情を見せた。


―スタンガン。


なんとなく危険なものであることは察したらしい。

が、さすがはというべきか、
性格が「ゆうかん」なだけあってすぐに威嚇体制をとる。

そしてまた「ぐるる…!」とうなりはじめた。


「ん〜?そんな態度とって、いいのかなぁ」


商人はニタリ、と笑うとバチバチとスタンガンを鳴らせた。

そして新たにまたもう一つスタンガンを取り出し、両手で構える。

これで、アブソルの勝算は、もともと欠片ほどしかなかった勝算は、
灰になって散った。


―抵抗すればスタンガンでやられて気を失う…!


どうする。

どうする。


「お、やっぱり質のいいコは違うね。君は頭もいいのかい」


―黙って捕まったほうが後々助かる確率がある。
気を失っている間に何をされるかわからないし、な…。


アブソルは突然ぴたりとうなり声をあげるのをやめ、
逆立たせていた毛もしゅっと元通りにする。

そして、大人しく商人のほうをじっと見た。


―ここから先は、賭けだ。この男が、どう動くか…


「うんうん、そうしてくれたほうが助かるよ。大事な品物にあまり傷はつけたくないからねぇ」


商人は嬉しそうにニコニコと笑うと、一言付け加える。


「…ま、傷つこうと傷つかまいと、関係ないんだけど、ね〜」


―…!、どういうことだ…?!


「だって、どうせ後で君は…おっと、こっからは言えないな〜…って、きいてないか」


商人はスタンガンを片手に、アブソルが攻撃をしかけてこないかと
警戒しつつ鎖をナイフでぶちりと切る。

そしてしゅっとアブソルの首筋にナイフを突き立てる。

首筋から、赤い血がたらりと流れ落ちた。


「念のためだよ。君が逃げようなんてしてくれたら困るからね…」


ぷんと鼻につく臭いのするガーゼを口に当てられ、
アブソルはがくりと膝から崩れ落ちた―。
202.88.147.124.dy.bbexcite.jp

みんなの感想

この物語に感想を書こう。みんなの感想は別のページにまとまってるよ。


物語のつづきを書きこむ

ここにつづきを書けるのは、作者本人だけです。本人も、本文じゃない フォローのコメントとか、あとがきなんかは、「感想」のほうに書いてね。

物語ジャンルの注目は、長くなりがちなので、いちばんあたらしい1話だけの注目に なります。だから、1回の文章量が少なすぎると、ちょっとカッコわるいかも。


状態(じょうたい)

あんまりにも文字の量が多くなると、 ()み具合によっては エラーが出やすくなることがあるよ。ねんのため、 本文をコピーしてから書きこんでおくと、エラーが出たとき安心だね。

シリーズのお話がすべて終わったら「終了」に、文字数が多すぎるために テーマを分けて連載を続ける場合は「テーマを移動して連載」(次へ)に 状態を切り替えておいてね。この2つの状態の時に、「次の作品に期待」 されて感想が書き込まれると、次のテーマが作れるようになります。

ちなみに「次の作品に期待」をもらって「完結」や「続く」になってる作品を 「次へ」「終了」に変えることもできるけど、その場合、次のテーマを 作るためには、もう一度「次の作品に期待」が必要になります。

しばらくお話の続きが書けなくなりそうな場合は「一時停止」にしておいてね。 長い間「一時停止」のままの物語は、Pixieの 容量確保(ようりょうかくほ) のため消されることがあるので、自分のパソコンに 保存(ほぞん)しておこう。

やむをえず、連載を 途中(とちゅう)で やめる場合は、凍結をえらんでね。ただし、凍結をえらんでも、次の物語が 書けるようにはなりません。感想をくれた人や、次回を楽しみにしてた人に、 感想 で おわびしておこう。


ポケットモンスター(ポケモン)のページ「Pixie(ぴくしぃ)」