『免疫』は『腸』から始まる

さぁて連載も二年目のラストや。
このシリーズも一年でケリつけるつもりやったけど、いざ書いてみたら結構奥が深うて手間取ってしもうた。
まぁもう一年ぐらいつきおうてぇや。

さて、先月は「『回腸粘膜』と『腸内細菌』の一期一会の切ない出会い」と「一期一会にかける『回腸粘膜』の執念が『腸内細菌』を拉致監禁に導く」と話した。
今回は拉致監禁の話。

「『リンパ腺』は粘膜を隔てて身体の内側にある」いうことは前にも話したとおりや。
そやから粘膜が破れへん限り『リンパ腺』とウンコがじかに出会うことはない。
じかに出会うことがなかったら『リンパ腺』つまり免疫システムはウンコを知ることがでけへん。
ウンコを知ることがでけへんかったら『腸内細菌』つまり「ウンコのばい菌」に対して守りを固めることはでけへん。
免疫システムの中にも交番の巡査みたいに「片っ端から職務質問して逮捕する」原始的なシステムと、特捜部みたいに「狙いを定めた相手を徹底的に逝てまう」進歩したシステムが共存してる。

進歩したシステムだけあったらええというもんやない。
相手がわからんもんには特捜部は無力や。
まず相手を決めへんかったら効果的に攻めることがでけへん。
今も昔も情報収集は地味な仕事や。
そやけど情報の積み重ねが最後には物をいう。
そやから身体いうんはいつも外界に対して興味津々で情報収集にあたってるわけや。

この情報収集は先に言うた原始的なシステムが受け持ってる。
職務質問するいうのんは具体的に言うたら「触ったもんは何でもいっぺん喰うてみる」いうこと。
こういう働きの細胞を英語でマクロ・ファージ(『大喰い細胞』)と呼んどる。
この『大喰い細胞』にはこれからちょくちょく登場してもらうのでよろしゅうに。

さて、『腸』の『リンパ腺』の真下にある『粘膜』のイソギンチャク『吸収細胞』のスクラムの中にこの『大喰い細胞』が潜んでる。
この「『粘膜』にある『大喰い細胞』」を特別に『M細胞』という。
この『M細胞』、ウンコが触ったらすぐにパクッと喰う。
いらんもんやったらすぐペッと吐き出す。
喰ってみて興味があったらそのまま拉致監禁して、その特徴を舐めまわすように調べて、『M細胞』の周りに待機してる『リンパ球』に特徴を教える。
これが『M細胞』の働きなんや。
調べた後のもんは『M細胞』の中で『活性酸素』を使って消化してしまう。
『活性酸素』言うたら判りにくいやろうけどオキシドール言うたら判りやすいやろ。
自分の中で殺菌消毒してしまうんや。

リンパ球』いうのは進歩した特捜タイプの免疫システムを受け持ってて、単細胞のくせにアタマが良うて、自分の所属してる『リンパ腺』を覚えてる。
そやからいったん『M細胞』からレクチャーを受けた後、全身を回っていろんな『リンパ腺』で他の『リンパ球』たちにレクチャーして、また最初に居てた『腸』の『リンパ腺』に戻ってきて監視の任務につく。
これで『腸』の出来事が全身に知れわたることになる。
この仕組みが前に書いた身体の「Nシステム」つまり『免疫』のことなんや。

いったんこの「Nシステム」に登録されたもんがもう一回身体に入ってきたときには、特捜部が指名手配して一気に排除することになってる。
あんた等は、この特捜部の動きだけ聞きかじって話をしようとするよって袋小路の迷宮入りすることになる。
特捜部の働きは、いろんな身体の「抵抗力」のうちの特殊な一部分にすぎへん。
身体中の『大喰い細胞』らの日頃からの地道な努力の積み重ねがあって初めて、特捜部が効率的に動けるや。
そのうちでも『回腸』と『大腸』の『M細胞』たちは年から年中ウンコていう毎日変わるお客さんの接客してるわけやから、その情報量たるや大変なもんや。
身体にとってのお客さんの情報は、『回腸』『大腸』からがほとんどなんや。
そやから『免疫』「抵抗力」『アレルギー』は『腸』から始まるて言うてもええ。

実際に健康食品とか断食とかの食養生で難病が修理るとかいう事実があるわけやけど、どの健康食品でも修理ったり修理らんかったりするし、断食しても修理る人もおれば修理らん人もおるやろ?
みんな色んな理屈つけて自分とこのやり方で修理る理由説明しぃはるけど、理屈が合うてたら全員が良うなるはずや、違ゃうか?。

と言うことはや、個別の理屈を鵜呑みにせんと「食べること」に関係する共通点をまず考えたほうが良えいうことや。
ということは食養生は『免疫』の中心である『腸』を抜きにしては考えられへんのや。

続きはまた来月。
来月からも突っ込むでぇ。


「『腸』の粘膜」の図

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