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歌 詞 訳
1 春
朝、露が枝から落ちる時、 美しい鳥つばめは、美しくさえずる。
小さなひばりは、空を横切る。
宝石のような美しい声でさえずりながら、
陽の光の中を歩き回る。
生き物はみな、生気を感じ、
小鳥たちは、元気づく。
真珠のような朝露の落ちる朝、
鳥たちは大勢で仲間を作る。
花々は咲き、草々は甘く香る。
牧場では、すでに春風が吹き、
農夫は目覚め、耕作地に立ち、
雄牛をつなぎ、土壌を耕す。
みな幸運であるようにと、仕事を続け、
畑がきちんと整っているようにと、
あぜ道をまわっていく。
王である神は、祝福を与え、農夫をお守りくださる。
すべての農具や鋤や鎌を、見守ってくださる。
地上の生活や天国における罪の救済を、お与えくださる。
2 ここに、おきざりにしないで!
私のバラ(恋人)よ、あなたは、どの道を行ってしまうのか、
ただそれだけは言っておくれ。
私はその道を、金の鍬で耕します。
私はそこに一粒ずつ真珠の種を撒き、
止まらぬ涙をきっとかけましょう。
3 家畜多産のおまじない
馬の群れを集めている、牛を追い立てている、
チンギリンギ、ラーンガ。
小さい家畜たちの首には、ちっちゃなベルがつき、
道で泣きわめいている、
チンギリンギ、ラーンガ。
戸口に鎖、秋には戻ってくるようにと、
チンギリンギ、ラーンガ。
きつねや熊や猿やおいはぎや盗人たちが、近づかぬようにと、
チンギリンギ、ラーンガ。
家畜たちの前に、草が育つように、
彼らに困ったことがないように、
すねの一本一本まで太るように、
市場で高い値が約束されるように、
チンギリンギ、ラーンガ。
4 祖国への手紙
神の祝福と平和が私の家にありますように。
私の父と母が、家が、
私のことを覚えていてくれますように。
私は両親の家を、有名な小さな村を、
美しいハンガリーの国を去った。
その時私の心は、大きな悲しみでいっぱいになった。
私は、神の祝福と平和があるように、
皆に幸運がありますように、祈っています。
心に決して悲しみが降ることがないようにと、
私の祖国に心配事が決して来ることがないようにと!
5 遊び
ろうそくが燃えるよ、燃えるよ。
寝てはいけない!
炎を見たいのなら、
ここに飛んでおいで!
6 嫁さがし
金や銀で、華やかなドレスや、髪飾りで娘を選んではいけない。
むしろ身につけている信心深さで、
目の前の本当に美しい態度で、選びなさい。
娘の踊る足を見てはいけない。
娘の甘いことばに目を向けてはいけない。
彼女の情緒に注意しなさい、心の秘密を学びなさい。
7 鷹よ、鷹よ!
鷹よ、鷹よ!
九羽の雛鳥がいなくなった!
五羽は色とりどりの羽がとれて、
四羽は足がとれている。
鷹よ、鷹よ!
九羽の雛鳥を、雛鳥を返しておくれ、
そうでないと殴られてしまうから。
鷹よ、鷹よ!
九羽の雛鳥がいなくなった!
もし返してくれないのなら、
もうここにはこないで、鷹よ!
8 行かないで!
行かないで、行かないで。
私をここに置き去りにしないで。
あなたが私を置き去りにしたら、
私の魂は悲しみにくれるでしょう。
悲しい魂と、悲しい心で、一人で生きたらよいのでしょう。
あなたなしでどうやって生きましょう?
この世に生きる限り、
決して忘れません。
あなたはきっと戻ってくる、
そしていつも私の側にいてくれる。
9 一つの、指輪を
一つの指輪がある、
昨日ヤーノシュが買った。
もし、もう一つ買うなら、
二つの指輪になるでしょう。
一つのチェックのスカーフがある、
昨日ぺーターが買った。
もし、もう一つ買うなら、
二枚のチェックのスカーフになるでしょう。
一着のアストラカン織りの毛皮のコートがある、
昨日恋人が買った。
もし、もう一着買うなら、
二着のアストラカン織りの毛皮のコートになるでしょう。
10 この世にただ一人の私
山々の間に、私の家がある。
この世にただ一人の私。
静かな川の流れのざわめきが聞こえるだけ。
夏の川の水も、冬には眠ったように休む。
でも、私の悲しみの心は、
決して、静まることはない。
11 パン焼き
私の庭で、三羽のカラスが刈り入れをしている。
それをこおろぎが集めて蚊が束を束ねる。
のみが、ピョンピョンとびはねて、束を手押し車に運ぶ。
馬が手押し車を水車小屋に、
三匹の色とりどりのねこが押していく。
一匹がここで籾殻を吹き飛ばし、二匹めがふるいにかけ、
三匹めが石うすでひく。
灰色のろばが大きなおけの中に水をくんで、
灰色のろばが二つめの大きなおけの中に水をくんで、
九つの大きなおけから、水を大きなボールに満たす。
がちょうが生パンをこねて、オーブンに入れる。
熊はパンが焼き上がっているかどうかを待つ。
雌鳥はパンを口ばしでついばみ、雌鳥はパンを食べ、
ありがパンのかけらを集める。
12 軽騎兵の歌
できることならここを去ろう。
ここに残ることを、誰が喜ぶものか。
シェイ、ハイ、傷つけられることはない。
軽騎兵は鞍にのる。
豊かなポケットが何千と鳴り響く。
愛する馬よ、恐れるな、おいていかないよ。
シェイ、ハイ、干し草も飼い葉もあげるよ。
13 なまけものの歌
日曜日は葡萄酒を飲む、
月曜日は働かない、
火曜日はベットに横になって、
水曜日には起きる。
木曜日はダンスをし、
金曜日には勘定をつけ、
土曜日には尋ねる、
何をして働こうかと。
よい歌だ、すてきな歌だ。
なまけものの歌だ。
他の人は仕事をする。
彼はただ楽しむのだ!
14 さまよい
荒れはてた森の中を、夜私は行く。
私の心の悲しみが私をここへ追いやった。
荒れはてた森の中を、神にも見放されて、私は一人行く。
私には家もあったが燃えてしまった、 なんと悔やまれること。
ぶどう畑もあったけれど、枯れてしまった、なんと残念なこと。
馬もいたけれど盗まれてしまった、それは胸を打ちのめす。
愛しい人もいたけれど、連れ去られてしまった、
それは私を殺してしまう。
愛しい人が連れ去られてしまってから、
私の人生は悲しみとともに過ぎる。
荒れはてた森の中を、神にも見放されて、私は一人行く。
15 女の子からかい歌
バーリント・エルジェーベトは鏡をのぞき込む。
―お母さん、よく化粧出来ているかしら?
―いいとも、おまえ、そばかすが見えないようにね。
あんたは、ダンスで一番だろうよ。
バーリント・エルジェーベトの小さなかわいい鏡が、
ちょうどまん中で割れてしまった。
あー、かわいそうに、どうやって化粧したらいいの、
どうやってその青白い頬にお化粧できるの?
バーリント・エルジェーベトの小さい鏡は、
やれやれちょうどまん中で壊れてしまった。
今では彼女はどうやって紅をつけたらいいの、
どうやってその美しい頬に紅をつけるの?
見えちゃう、きっとそばかすが見えちゃう。
エルジェーベトは、ダンスで一番になれない。
ダンスで彼女は、きっとびりっこ!
16 男の子からかい歌
ヘイ、女の子は高い、百フォリントの値段。
エイ、ハイ、エイ、ハイ、 百フォリントの値段。
だけど男の子は安い。
片手に三杯の麦くず。
それも小麦くずじゃない、
ただのカラス麦のくず。
17 聖ミハーイの日の祝歌
目覚めよ、リュート奏者よ、
ツィターをつま弾き、
楽器の演奏を始めよ、陽気な歌を、
晴れ上がった空を見ていると、悩みは遠ざかり、
聖ミハーイの祝日となる。
これを見よ、私たちもまたここに到着した。
よいことがありますように。
すでにあらわれている。
苦しみはない。
陽気な喜びがある、今からこのように話そう。
農夫を祝福してください、神よ。
すべてを助け、
天のいと高きところに神の真理、意志を。
天国に、永遠に、アーメン!
18 求婚者
−おまえは私の家の周りを、なぜうろうろするのか。
−あなたの家の周りを、私がうろうろするのは、
あなたには、美しい未婚の娘がいるからさ。
−私にはいない、美しい未婚の娘はいない。
−隠したり、こばんだりしないで。
私はお祭りの日に見たんだ。
彼女は赤いリンゴを売っていた。
彼女からそれを買って、食べたんだ。
今も私のポケットにあるんだ。
婚約指輪なしに、誰がこのドアから出ていくものか。
私はドアから出ていかないよ。
娘さんをもらわないでは。
−別に隠したり、こばんだりしないよ。
もう言わなくてはならない。
私には嫁入り前の美しい娘がいるよ。
−あなたには嫁入り前の美しい娘がいるよ。
金色の髪をして、茶色の瞳で、
頬は赤く、ウエストはスリム、ヘイ、赤い口びる。
−あんたに、私はあげよう。
あんたにあげよう、私の娘を。
−とうとうもらった、私はもらった。
とうとうもらった、私はもらった。
私はとうとうもらった。
19 悔やみ
悲しみ後悔にあふれる私の心には、
大きな理由があります、ああ!
このようにたくさんの悲しみに生きるのならば、
生まれてこなければ良かった。
嘆き悲しんできた私の人生、
今もたくさんの歳月を悲しみの中で生きています。
すべての喜びが私からなくなり、
私の星は明けの明星が昇り輝いても、
私の星(恋人)は、再び輝くことはありません。
私には、決して夜が明けることはないのです。
悲しみ後悔にあふれる私の心には、
大きな理由があります、ああ!
20 鳥の歌
−おいで、おいで、美しい小鳥よ!
あなたに金の鳥かごを作ってあげました。
扉は銀で、水飲みはダイヤモンド。
−私は住まないの、私は鳥籠には住まないの。
ただ、緑の森に眠るのです。
緑の森に眠り、緑の枝々を飛び、
松の実を食べ、真珠のような朝露を飲むのです。
21 陽気な囃し声
ヘイ、男の子、踊ろう。
女の子を、輪の中へ連れてこよう。
糸巻きのように、跳んで、回って、
乾杯しよう!
ヘイ、人生、すばらしい人生、
これが人生、すばらしい人生!
がらがら鳴らして拍車をかけよう。
輝くかかとを鳴らそう。
手足を動かし、お辞儀をしたりかがんだりして踊ろう!
ヘイ、人生、すばらしい人生、
これが人生、すばらしい人生!
今日は癇癪を起こす人はいない。
それに全てを忘れよう。
かかとをカチリと鳴らして、恋人を踊らせよう!
ヘイ、人生、すばらしい人生、
これが人生、すばらしい人生!
22 嘆き
岩をやわらかい泥に溶かすことの方が、
愛し合う二人の心を引き離すよりもたやすいことだ。
もし愛し合う二人の心を引き裂いたなら、
たとえ甘い蜂蜜でも、苦くなってしまうでしょう。
23 あなたに会わなければよかった!
神様、
私は彼に会わなければよかった。
私は彼の名を、あなたのことを聞かなければよかった。
もしあなたの名を聞かなかったら、
私はもっと生きられたのに!
私の美しい金髪も、色あせはしなかったろうに。
美しい赤い頬も、やつれたりはしなかったろうに。
私の深い青い目は、痛みを表さなかったろうに。
私の優しい心も、これほど傷つかなかったろうに!
24 行ってしまった小鳥
小鳥が行ってしまった。
鳥かごは、からっぽ。
春には戻ってくると言い残して。
春には、バラの花の咲く頃に、戻ってくると。
その頃に来ないのなら、麦の刈り入れの頃に。
その頃にも来ないのなら、プラムが干し上がる頃に。
それでも未だ戻ってこないのなら、
わかった、もう戻ってきはしない。
25 枕のダンス
荒れた水車小屋に、カシの木の梁。
そこをふくろうのおばさんが歩いている。
その後ろを、白い鳩が歩いていく。
−どうして泣くの、どうして泣くの、ふくろうのおばさん?
−どうして泣かずにいられよう、白い小鳩さん。
うちに鍵のかかった箱を、置き忘れてしまったのさ。
その中に、真珠の髪飾りを置き忘れてしまったのさ。
ああ、真珠の髪飾り、
美しい鍵のついた箱!
荒れた水車小屋の梁の木。
そこを白い鳩が歩いている。
その後ろを、ふくろうのおばさんが歩いていく。
−どうして泣くの、どうして泣くの、白い鳩さん?
−どうして泣かずにいられましょう、ふくろうのおばさん。
うちに揺れるゆりかごを、置き忘れてしまったの。
ゆりかごの中に、泣いている私の子を。
ああ、揺れるゆりかごの中に、
泣いている私の子!
26 カノン
私はチュルゴーのために死ぬ、でもお城のためではない。
でもお城のためではない、ただ一本の通りのために。
でもその通りのためではない、ただ一軒の家のために。
その中で育った、茶色の髪をした華奢なかわいい娘のために。
27 さようなら!
さようなら、私のバラ(恋人)よ、心楽しく暮らしてください。
あなたの心に、悲しみが訪れませんように。
あなたの心に、悲しみが訪れませんように。
悲しみの影さえ、あなたをさけていきますように!
あなたの庭には、カーネーションやチューリップが咲きますように。
やさしいナイチンゲールが、あなたの窓辺でさえずりますように。
あなたの美しさやよき心が天まで届きますように!
冬の嵐に舞う雪片の数ほど、
春の木々に咲く花びらの数ほど、
夏の刈り入れの麦の粒ほど、
私の愛しい人、あなたにそれだけの良きことのあることを祈ります!
さようなら、私の恋人よ、心楽しく暮らしてください。
悲しみの影さえ、あなたをさけていきますように。
これほどの良きことのあることを祈ります!
(歌詞訳:降矢 美彌子)
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