129回国会衆議院

建設委員会議事録第8号

 

中島(武)委員(衆議院議員)

三井(康壽)政府委員(建設省住宅局長)

 

○鳥居委員長

次に、中島武敏君。

○中島(武)委員

私は、建築基準法の一部改正、この問題から質問させてもらいたいと思います。今回の法改正は建築関係の規制緩和の一環でありますし、我が国の規制は諸外国に比べてみても緩く、一般的に言いますと、それをさらに緩和することは問題があると思うのですけれども、都市部における狭い住宅の現状から、地下利用をしたいという国民の要望もなかなか強いものがあるということを承知しておりますので、賛成の立場から、しかし同時に、いろいろ懸念される諸問題について、幾つかの質問をさせてもらいたいと思います。きょうもまた余り時間があるわけではありませんので、なるべく私も簡潔に質問いたしますから、できるだけひとつ要点的に御答弁をいただければありがたいと思います。

まず一つは、採光、換気など衛生上の問題が懸念されるーつなのですけれども、これに対してどのような規制を行いますか。

O三井(康壽)政府委員

採光、換気などの衛生上の問題につきましては、現行建築基準法三十条におきまして、基本的には居室としては地階で住宅を使っちゃいかぬ、こりなっております。しかし、空堀を設けるとか、必要な衛生上の措置をとれば利用することができるというふりにしているわけでございまして、その原則は今回の容積の不算入の規定によりましては変えません。三十条の規定は変えない、指導方針も変えない、こういうことでございますので、衛生上の規制の強化はいたしておりませんけれども、その部分の緩和もいたしておらない、そういうことでございます。

○中島(武)委員

次に伺いたいのは、容積率の緩和の対象を住宅に限定しでいるので公共施設に対する負荷が多くない、こういうことを言われでいるのですけれども、これは本当に科学的な根拠があるのでしょうか。

○三井(康壽}政府委員

これは、住宅ですとか事務所、工場、店舗、そういった建物によりまして人の出入りが違う、それから車の出入りが違う。調査によっていろいろなばらつきはあるわけでございますけれども、現実に調査をいたしますと、住宅と非住宅では明らかに住宅の方が人の出入りが少ない、それから車の出入りも少ない、こういうデータになっているわけでございます。

したがいまして、厳密な意味で科学的かどうかというふうに質問されますと、科学的と言うにはややおこがましいかもしれませんけれども、しかし、いろいろな調査データによりまして、住宅は、道路に対する負荷は、事務所や工場や店舗と比べて著しく低いというふうに考えておりまずりで、今回の容積の緩和もそういった観点から、住宅につきまして不算入というふうにさしていただきたいと思っておる次第でございます。

○中島(武)委員

今回の措置は、私はー番心配する一つなのですけれども、住宅の狭小化、小さい利用になってしまうのしゃないかということを非常に心配するのですけれども、この点については、率直なところ、どうなんでしょう。

O三井(康壽)政府委員

今回、容積の三分の一を不算入にさせていただきましたのは、今先生が冒頭御質問でおっしゃりましたように、やはり広い住宅を求める国民のニーズというのは非常に強い。したがって、できる限りこの御要望にこたえるようにしなけれはいかぬというのが一番の基本にあるわけでございます。

そういったことから考えますと、現実に地下室をお使いになつている状況は一戸建て住宅で多い。それから、敷地が年々歳々ずっと減少傾向にございまして、特に百平米未満の戸建ての敷地もかなりあるわけでございますけれども、最近はその減少傾向は一段落しておりまして、敷地規模が少なくなり過ぎたということもあるかもしれませんが、そういった減少傾向にあります.それから、もしそういう御心配があるとずれば、平成四年の都市計画法、建築基準法の改正の際に、第一種低層住居専用地域あるいは第二種低層住居専用地域で最低限度敷地規模を定められることになりました。したがって、そういったことを運用していただくことによりましで、事前に予防ができるといいますか、そういった措置もあるわけでございますので、現実に公共団体の方でよくお考えいただきまして、これも御活用いただければ、御懸念はかなり少なく考えていいのしゃないかというふりに思っているわけでございます。

○中島(武)委員

マンションなんかの場合ですけれども、今度の改正で地下に二階とか三階とか、敷地で広大な地下面積をつくる、こういうことになるのじゃないかということを恐れるのですけれども、これはどうなのかという点と、そういうふうにしてつくった地下を商業利用するといらようなことにもならないのかどうか、この辺についてもお伺いしたいと思います。

○三井(康壽)政府委員

一般的に、日本人の行動様式としまして、完全に地下の中で世帯がお住みになるというのは考えにくいというふうに考えているわけでございます,現実に地下でお住みになっている方がおいでになるわけでもございませんし、マンションの上で普通の居住生活をされまして、物置ですとか物入れですとか、そういった収納スペースあるいは車庫、そういったことでお使いになるのが一般的でありまして、現在でもそういうのが大勢で、大勢というか、ほとんどそれでございます。

したがいまして、仮に今御心配のようなことがあり得るとすればどういうことかということでありますけれども、すべて地下で家族がお住みになるというような場合には空堀をつくっていただくとか、そういった、居室を地下につくっていけないという規定がございますので、それで実際上はそういうものは建ってこないだろう、利用されないだろうというふうに思っているわけでございます。

それからニつ目の御質問は、住宅としては使わないかもしれないけれども、何か店舗に使ってしまうおそれがあるのじゃないか、こういった御心配ではないかと思います。それは当然の御心配でございまして、私どもそれはきちんと防がなきゃいけないと思うわけでございまして、建築確認申請書の様式を今回改正さをていただきます。そして、地階に設け(住宅部分の延べ面積を書いていただくことに相なります。それを台帳にきちんと登載いたしまして、もし容積率算入の形で地下室をお使いになる場合は、建築基準法に基づきまして、違反是正命令、使用禁止とか、そういったことをきちんとやっていただくように、特定行政庁、建築主事に指導していくという考えでございます。