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〜プロローグ・ワカバタウン〜
ありきたりな始まりで申し訳ない、と最初に言っておく。 俺は谷川 青葉というただの新米トレーナーなんだ。トレーナーの癖にノートパソコンとかDSとか持ち歩くような人間だけどさ。 「さて、まずは研究所でポケモンを貰う事からか。」 独り言をつぶやくと、登山用のザックを担ぎなおして研究所に向かった。あー、重い…。
歩く事2分。なんだ、すぐ近所じゃないかという突っ込みはおいといて、ポケモン選びである。 そういえば、どうでもいいけどウツギ博士、今日は機嫌がいいみたいだ。やたらニコニコしてた。
俺は迷うことなく、チコリータを選択。理由?可愛いから。 「お、あおば君決めたんだね。チコリータか。いい選択だと思うよ。あ、ポケモン図鑑。シンオウ地方のものにも対応している最新版さ。」 「あ、どうも…」 博士はまだ何か言いたそうにしていたが、図鑑の説明とかだろう。いいや、と思ってそそくさと研究所を出てきた。
とりあえず、町外れ、29番道路の入り口でボールからチコリータを出してみる。かあいいなぁ。と思っていたら。」 「へぇ、あなたが私のトレーナー?なんか冴えない顔ね。」 開口一番それですか。 「でも、なんか…心の広そうな人ね。」 ま、そう言われれば悪い気はしないけど。 「そう、ありがとう。で、俺は君にニックネームをつけようかと思うんだけど…、何か希望は?」 「そうね。チコリータらしい名前なら。」 俺はその場で少し考えていた。わかば、しんりょく… 「そうだね、しんりょく、でどう?」 「いいわね。じゃあ、私はこれからしんりょくね。あなたの名前は?」 そういえば自己紹介してないな。 「谷川 青葉。あおばでいいよ。」 「分かったわ、あおば。これからよろしくね。」
こうして俺のジョウト旅行…もとい、ジム巡りが始まったのだった。はぁ、なんか旅の始まりには程遠いのは気のせいかな。
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〜第一話 29番道路という名の舗装道路。〜
さて、ワカバタウンをついさっき旅立ってきたわけだが、29番道路はこないだ舗装されてしまった。といっても、草むらが全部消滅したわけでもないので野生ポケモンが出てくる可能性は否定できない。 そんなわけで、しんりょくに使える技を聞いてみようかと思う。 「ねぇ、しんりょく。ちょっと使える技を教えてよ。」 「そうね。たいあたり、メロメロ、げんしのちから、ソーラービームといった所ね。強いでしょ?」 「うん…(あれ?チコリータってこんなに技覚えられたんだっけ…もしや…)」 「あ、別にそんな不正な手段を使ったわけじゃなくてね、ウツギ博士の気まぐれで10年に一匹だけ、タマゴ技とかわざマシンを使った状態で送り出されるのよ。それで私が当たっただけのことよ。」 なぁんだ、そんなことか。安心して、しんりょくと喋りつつヨシノに向かって歩いておりますと。
「あっ!あおば発見!勝負よっ!」 …ああ、来たよ。彼女はひかり。昔からなぜか俺に対抗心むき出しの幼馴染。勝った記憶はないんだけどね… 「さぁ、トレーナーなら勝負から逃げないわよね?」 「ああ。しんりょく、早速出番だね。」 「へぇ?チコリータ。うふふ、私の勘は当たったわね。ヒノアラシっ、勝負のときよ!」
はぁ。テンション高いなぁ。まぁいいや。一応タイプ別相性は勉強してある。ヒノアラシは炎タイプだから分が悪いかな…とか思っていると、 「げんしのちからっ!」 いつの間にかしんりょくが勝手にげんしのちからを放っていた。おいおい、トレーナーのいうことを無視しないでよ。無論、ヒノアラシは倒されていた。 「うわ〜ん!あおばに負けるなんて!次はそうは行かないんだからね!」 そう言ってひかりはヨシノ方向に走り去ってしまった。 「何あの子。いきなり勝負吹っかけてきたり逃げたり。」 「まぁ、あれはそういう性格だしさ。」 「ふ〜ん。で、あの子とはどういう関係?」 「どんなって…幼馴染だね。ライバルでもある。」 「へ〜…」
それきり会話は途切れ、俺たちはまた歩き出した。ちなみにひかりが走り去った直後、千円札を拾った。落としていったのかな。でもまぁ、賞金代わりに貰っとこう。
そのころ、ヨシノ到着のひかりは。 「あ!途中で千円落としちゃった! うわ、ついてないなぁ私…。」
続くはず。
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=第二話 ヨシノシティという名の車の街=
さて、あのあと10分くらい歩いたところでヨシノシティに到着。 それにしても、街中は車がたくさん走っている。そういえばヨシノの郊外に車の工場があるんだよね。 「あ、あおば〜、あっちにポケモンセンターがあるわよ。」 「お、赤い屋根が目印の。それにしても目立つなぁ…。」 実際、赤い屋根のある4階建てのポケモンセンターがあった。他のビルにも負けず目立つ建物。
とにかく、部屋を確保してから街の散策にしよう。 そう決めてポケモンセンターに入る。意外なことに、1階から4階まで、は吹き抜けだったのだ。贅沢な造りだなぁ…。
部屋は特に何の変哲もないものだった。 …とはいえ、4階なので周りは良く見える。
しばらくベッドの上で寝転がって休んでいたが、不意にしんりょくが話しかけてきた。 「ねーあおばー。お腹すいたから何か食べよ〜?」 そういえば、時計を見るともう夕方6時を回っていた。 「よし、んじゃ何を食べる?」 「そうね…。どうせだったら名物の料理が良いわ。」 ヨシノの名物ね…。きしめんとか味噌カツあたりかな…。 とにかく、繁華街に行けば何かしらの店があるはず。ちょいと遠いみたいだけど、まぁ、行ってみるか。
・ ・ ・
「は〜、美味しかった。」 今俺らはポケモンセンターにいる。本当は味噌カツ食べてきたときの様子も書きたかったのだが、あいにく味に感動して様子まで覚えていない。 (作者が味噌カツ食べたことがないから、なんて言ってはいけないらしい。) 「ねー、あおばー。」 「何しんりょく。お菓子ならさっき買ったよ?」 「そうじゃなくて…。おやすみ〜。」 「あー、おやすみ。」
続いてくれ。
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…第三話 30番道路という名の田舎道…
翌朝。この辺ではあまり見られない、雲一つない青空の下を二人で歩いていく。 (二人、というのは違う気もするが、他に表現のしようがないのでそう言っておく。一人と一匹、じゃ締まらないし。)
途中で河口が近いらしい大きな川を三本連続で越え、雑木林と田んぼの入り混じる平野を歩いていく。すれ違うのも車が数台といった程度。
「それにしても結構暑いわね…。」 しんりょくが呟いた。確かに初夏の陽気だ。 と、少し先にお茶屋さんがあった。ほら、よく歴史物で出てきそうな、峠の茶屋的な。おそらく、俺らみたいなトレーナーを相手に商売しているのだろう。 「よし、んじゃあ休憩しようか。」 そう声をかけ、お茶屋さんに入って休憩。 俺は煎茶とみたらし団子を注文。定番メニュー。よくあるパターンとか言うな。 しんりょくのほうはと言うと、こっちは番茶を頼んでいた。好みが渋いねぇ…。
しんりょくのお茶を飲むしぐさが可愛いので眺めていたら。 「?なんでこっち見てるの?もう飲み終わっちゃったわよ?」 「ん、なんでもないよ。」 慌てて団子を食べてお茶を飲み干す。あんまり味わって飲めなかったなぁ…。 お金を払い、再び歩き出す。ちなみに全部で240円。安いといえば安い。
さらにしばらく歩き、一直線に道が続いているところに出ると、道端でポケモンバトルをしている少年が目に入った。
別に少年にバトルをふっかけよう、なんて思ってはいなかったけど不意に声をかけられてしまった。 「くっそー…さっきバトルに負けちゃった!なんか弱そうなお前、勝負だ!」 …あのね、年上に対する口の利き方を…。それに弱そうって何だ弱そうって。 「はいはい。しんりょく、バトルだよ。」 いかにも気の抜けた声で言ったのだが、しんりょくはむしろ嬉々として、 「へぇ?君が相手?ふふ、私が粉砕してあげるわ♪」 なんて言っていた。おい、いつから「ちょうはつ」を覚えたんだよ。まぁいいや。 「いっけー!コラッタっ!」 叫びつつボールを放り投げる。別に叫ぶ必要はなさそうだけどねぇ。 「しんりょく、特大のソーラービーム!」 「あいよ!ソーラービーム一丁!」 あ、そういえばソーラービーム撃つのに1ターン必要だっけ、大丈夫かな…。 と思っていたら。 「恋符『マスタース○ーク』っ!」 おい、違うゲームを持ち込むなよ。というか、何でしんりょくが知ってるんだろ。 そのマスパもといソーラービームを1ターンで撃ち込まれたコラッタは勿論倒れていた。 「ふふ、今日が快晴で良かったわ♪」 そっか、「ひざしがつよい」状態だったのか。 負けた少年は不服そうに、 「はい、賞金だ。」 と言って20数円を俺に渡して走ってどこかへ行ってしまった。 それにしても少ないよな…。 「はぁ。一度やってみたかったのよ、マスパ。」 「いや、何でしんりょくが知ってんの…。」 「ん?まぁ、私もそういうのに興味があるからね。」 意外にもしんりょくにそんな趣味があったとは。
続く。
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§第四話 31番道路という名の古道・キキョウシティという名の古き町§
タイトルが長いのは仕様、とはじめに言っておく。
バトル終了後、直線の終点から左に曲がる。さっきより起伏が増えてきて、登れない崖も現れる。 「ふぅ…もう結構歩いてるんだけど…まだ着かない?」 「うん。そろそろゲートが見えてきてもいい頃だけど…。」
実際、もう2時間は歩いているはず。日も西に傾いてきているし。 「あっ!見えたっ!」 しんりょくの視線の先には角ばった建物が。その奥にはなにやら高い建物もある。あれがキキョウシティだろう。
さらに数分歩いたところで到着。いつだかロケット団が暴れて以来、所々検問所がある。面倒だけど仕方あるまい。
適当に図鑑を見せて通過(この世界ではポケモン図鑑に身分証明書の機能も持たせている)。 と、そこには。 「わぁ…お寺がいっぱいあるわ…」 目を輝かせながらしんりょくが呟いた。確かに多い。
ポケモンセンターは探すまでもなかった。だって、こんなに茶色を基調とした街に赤屋根なんてそうそうないし。
「で、しんりょく。明日観光、あさってジム戦でいい?」 「私は良いわよ。それにしても、なかなかいい町並みね。」 そんなどうでもいい会話をしていたら。
♪せんせ〜っ、ちるのは(略)
不意にポケギアに着信。というか設定変えるの忘れてた…。 人ごみの中じゃなくて良かった。えーと、お母さんからか。 「なに〜?」 「あ、ちょっとさぁ、シンオウに居るっていうお友達から、グレイシアちゃんを渡すように言われたから。あなたのボックスに転送しといたわ。じゃあね、頑張って〜」 ツー…ツー… ちょっと聞きたいことがあったのに聞きそびれた。ふむ、グレイシアね…。あれ?俺シンオウに友達なんていたっけ? 「ねぇ、あおば。誰から?」 「あー、お母さんからグレイシア転送したって事らしいんだけど…。」 「ふぅん…引き取ってみましょ?」 「そうだね。」
階段を下って一階ロビーへ。パソコンコーナーは思った以上に人が少なかった。 どうでもいい話になるが、ここ最近ジョウトでもパソコンの更新が進んで、ボックス操作時のレポートは不要になった。いい時代だ。
ボックスにはグレイシアのアイコンがあった。♀、NNは、じゅひょう、技はこなゆき、れいとうビーム、ふぶき、たいあたり…。強いな。 隣の転送装置から、一瞬でボールが出てくる。 ボールをあけてみれば、確かにグレイシアそのものだった。えーと、自己紹介自己紹介…。 「どうも。たぶん新しくあなたのトレーナーになったあおば。宜しく。」 「同じくしんりょくよ。」 「シンオウの北の果て、キッサキから来たじゅひょうです。よろしく。」
なんやかんやでじゅひょうが仲間になった。ところで元のトレーナーは誰?
きっと続くだろう。
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? 第五話 キキョウシティという名の古き町(その2)? 朝。そういえば書き出しが朝で終わりは大体夜なんだよね…。でもこの先もそんな感じで書いてくと思う。 まぁ、そんなことはおいといて。
じゅひょうが手持ちに入り、さて観光かなと思っていると。 「ねーあおばぁーっ、観光も良いけど今日中にジム戦いこうよー」(しんりょく) 「なんでまた急に?俺はいいんだけどさぁ…」 「えっとね、じゅひょうちゃんに昨日ちょこっと聞いたんだけど、ここのジムはひこうタイプの使い手らしいのよ。 ジムリーダー倒せばそのぶん観光にもお金を回せるし♪」(しんりょく)
あー、まぁそれもそうなんだよね…。 「よし、んじゃあ行ってみよっか。」 「よーし、私の本領発揮ね!」(じゅひょう)
…大丈夫かな…。まぁきっとどうにかなるさ。
徒歩数分で到着。国鉄線の駅のそばにあった。え?鉄道があるのかだって? …そりゃ、ポケモン持ってない一般の人もいるからねぇ。 ま、そんなことは置いといて。
「すいませーん…誰かいませんかー…」
開けてみたものの中は真っ暗な上に声が反響している。不在か? と思った次の瞬間。
「あーちょっと待って、挑戦者よ。いま電気点けるから。」 声とほぼ同時に照明が点いた。ま、眩しい…
「私はとりポケモン使いのハヤトだ。むろんここに来たという事はジム戦だな?」 「ま、そんなとこですね。」 「…やる気無いんだね、新人トレーナーさん…。」 「仕様です。 じゅひょう、全速前進DA☆!」 「どこの社長だよw まぁいいわ。誰が相手でも撃破あるのみよ!」(じゅひょう)
おーっ、意外に強気だ。ちょっとじゅひょうに戦闘は任せてみようかな。 「じゅひょう、実力を見てみたいから、自分で好きなように戦ってみて。」 「え?いいの?なら本気出すわよ?」(じゅひょう)
「ふむ、グレイシア…はじめて見たなぁ。よしこっちも本気で戦おう。ヨルノズク!がんばれよ!」
戦闘開始。 じゅひょうが先手を取り、こなゆきを放つ。しかしながら外してヨルノズクの攻撃。あれは「つばさでうつ」か。 「痛あっ!女の子に何すんのよ!もう怒った!」 あ、じゅひょうがキレた。じゅひょうの体の周りから雪が舞い上がり、竜巻状に。「ふぶき」かな。
フィールドに吹雪が広がってゆき、ヨルノズクを覆い隠してしまった。 「あーうー… 寒い…」(しんりょく) おい、あーうー言うな…と言いたかったけど凍えているしんりょくを見るのも気の毒だから上着をかけておいた。 …うん、確かに寒い…。梅雨時とは思えないね。
吹雪がやんだとき、雪景色と化したフィールドにはヨルノズクが一匹。勿論倒れてはいたが。 「よくやったよヨルノズクよ…。多少なりともダメージを与えただけで…。 いけ!エアームドっ!」 今度はエアームドが出てきた。「はがねのつばさ」が気になるな…大丈夫だといいんだけど。 「氷符『アイシ○ルフォール』っ!」 おい、お前のはただの「こなゆき」…あれ?正面安置…easyかよっ!
ま、正面安置に気づけなかったエアームドはまともに氷の粒を食らって倒されてたんだけどね。 「ああっ!エアームド… 仕方ない、私の負けだ。ウィングバッジと「どろかけ」の技マシンをあげよう。」
「やった!一個目のバッジよ!」(しんりょく) 「そうね!さすがにちょっと疲れたわね。でもせめてマダツボミの塔は行かなきゃね…。」(じゅひょう) 「無理するなよ…。」
その後バスに乗ったり歩いたりしてマダツボミの塔に観光にいったがここでは割愛しておく。特に何かあったわけでもないし。
ひとつ言える事は、じゅひょうもしんりょく同様あのSTGをやったことがあるということか…。
続くのかな?
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⊂第六話 32番道路という海の薫り漂う道(前編)⊃
翌朝。朝というには少し遅いか。午前10時ごろ、ようやく起きてヒワダに向かうことにした。 「ねーあおばー、アルフの遺跡は行かないの〜?」(しんりょく) 「行ければ行くんだけどねぇ…なんか落盤事故の復旧作業するらしいから暫く立ち入り禁止らしいわよ?」(じゅひょう) じゅひょうの言うとおり、昨日ネットで調べたら立ち入り禁止に指定されてしまったらしく。 「仕方ないよ、自然の力には勝てっこないよ。」 「う〜☆ ま、仕方ないわね。」(しんりょく) …またそういうネタを…。運命でも操れるの? まぁ、そんなことはいいから早く出発しないと。
薄曇の空の下、のんびりと小さな渓谷を歩いていく。例えるなら等々力渓谷みたいな感じの所である。
2、30分くらい歩いたところで、ふっと視界が広がった。海沿いに出てきたみたいだ。 そこからさらに少し行くと、国鉄ヒワダ本線の橋が見えてきた。海岸にかけられた、世界的にも珍しい橋だとか。 まぁ、アレだ、日立市の国道245号バイパスの海上区間みたいなもんだ。 「珍しい鉄橋ね…」(しんりょく) 「そうだねー…地方交通線でこんなに豪勢な橋なんてそうそうないしね。」
さらに下って鉄橋沿いの32番道路の橋に差し掛かる。欄干にはキャモメやワタッコがたくさん居た。 その中に一人、紫髪のツインテールの女の子が。手にはニコンのカメラが。やるな…。俺もニコン使いだけど。 「ん?そこの人〜、ちょっと退いてもらっていい?」 「あ、すんません…」 不意に注意されてびっくり。とりあえず下がっておく。 「あ、珍しい…ジョウトでグレイシアを見かけるなんて…撮らせてもらっていい?」 「私なら全く構わないわ。」(じゅひょう) それから数枚ほど写真を撮ったところで思い出したように話しかけてきた。 「そういえば写真取らせてもらったのに自己紹介してないわね。私は松島 雲雀(まつしば ひばり)よ。見てわかると思うけどポケモンの写真を撮って回ってるの。 ちょっといきなりで悪いんだけど、暫くバトルしてなかったから、ちょっと調整にさせてもらっていい?相手は…そっちのチコリータちゃんで。」 「うん、そうねー。いいわよ。」(しんりょく) だから勝手に決めるなよしんりょく…まあいいや。しんりょくが決めたバトルだし、俺は観戦に徹するからね。 「あ、ついでにバトル中に写真とってもいい?」 「もちろん構わないわ。」
さて、引き受けた以上全力で戦おうかな。 「それじゃあ…シャワーズっ、みずでっぽう!」 先手を取られた。シャワーズの口から水が吹き出される。いや、別にコーラ吹いたwwな感じじゃなくて、無論一直線に飛んでくんだけど。 のんきに構えていたしんりょくは、そりゃまぁごく当然に当たる。 …が、むしろ水浴びたら元気になったようで。 「しんりょく!反撃、はっぱカッター!」 「ふぅ〜…この日のために考えておいてよかったわ。 草符『葉の刃』っ!」 …あれ?俺はっぱカッター指示したよね?スペカじゃねえか…それも『はのは』って…直訳じゃねーか。 しんりょくが放った葉の刃もとい葉っぱカッターは、数枚が命中したもののそれ以外はあさっての方向へ。それも非常に規則正しく飛んでった。 「ファールボールには十分ご注意ください!」(じゅひょう) なんか拡声器をどこからか持ち出してじゅひょうがアナウンスしている。ここは球場じゃねえよ。 「さすがに草タイプは強いわねー…今度はこごえるかぜ!」 あーこれは厳しいわ、しんりょくでも耐えられるかな…とか考えていたら。 「痛た…ちょっとグレイズ狙いに行ったら被弾した…。」 「しんりょく…大丈夫?」 「私ほどのルナシューターに当てるとは、やるわね。」 「いや、そこじゃないんだけど…。まあいいや、そろそろ体力も厳しそうだし、ここらで一発決めたほうがよさそうだね。しんりょく、マジカルリーフ!」 「分かったわ! 草符『マジカルリーフ』!」 …体力もさして残ってないのにちゃんとスペカにするだけの余裕はあるのね。というか違和感が無い件。 マジカルリーフは追尾で当たるから、まあこっちは当然シャワーズに命中。効果は抜群だし、これもある意味当然シャワーズは倒れた。 「はー…こんなに楽しくバトルしてくれるポケモン、久しぶりだったわ。またいつか会う機会があったらそのときはまたバトルしてね!」(ひばり)
そのまま俺たちが来た方向へと走り去っていった。紫のツインテール、ね。いや、ツンデレじゃなかったけどね。
橋を渡りきったところにポケモンセンターがあった。しんりょくはさすがに体力を消耗しているのでここで一息入れようか…。 「うーん…もう少し操作精度を上げないと…私もまだまだね。」(しんりょく)
…反省点はそこかよ。 後編にきっと続く。
キャラ提供:釣り人さま
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第七話 32番道路という名の海の香り漂う道(後編)・つながりのどうくつという名の国道トンネル(前編)
さて、女の子が走りさったのと反対方向に歩き出す俺たち。 そういえばこうやって皆と歩くのは2ヶ月ぶりか…?作者が怠惰なせいだろう。主人公として代わりに謝らせていただく。申し訳ない。 「なにさっきから一人で前見てぶつぶつ喋って頭下げてんの?熱でもあるの?」(しんりょく) いや…熱はないはずなんだけど。 「私が冷凍してあげよっか?」(じゅひょう) すいません別に良いです。
暫く歩くうちにいつもより二回り小さなポケモンセンターと漁村が見えてきた。 とにかくここで休憩してすぐヒワダに向かおう。 「えー、この先洞窟があるから明日がいいー」 「しんりょく…台風が来てるみたいだから早めにヒワダまで行ったほうがいいかもよ?」 「まぁ…漁村で足止めされるよりは地方都市のほうがいいけど…。」
何気なく窓の外を見やると、どんよりとした曇り空と湾を隔てて対岸のセンt…違った、ヨシノ空港に進入してくる飛行機が見えた。あの進路だと36か… あ、ゴーアラウンドしてる…。何があったんだろう。
「あおばー…今日中にヒワダ行くんじゃなかったのー?」 「ああ、そういえばそうだったね。じゃ、行くか。」
窓の外を見ているうちに勝手に回復していたらしい。 どれ、行くかな…。
外に出てみるとさらに暗くなっていた。これは早く行かないと…。
ものの5分ほどでつながりのどうくつ西側入り口に到着。ほかに出入り口はアルフの遺跡側とヒワダ寄りに一つずつあるようだ。案内板にはそうあった。 「うーん…洞窟、って感じしないわね。中もほら、ナトリウムランプが点いてるし。」(じゅひょう) 「まぁ…ヒワダ半島の周回国道としての役目もあるからねぇ…。」
とにかくそう長くもないはずだしさっさと行こう。そういえば道路トンネルを人があるってるところってあんまり見かけない気がする。
入ってみた。国道のトンネルらしく、コンクリートのごく普通のトンネルだがズバットがやたらに飛び出してくる。幹線道路の一部にしてはちょっと危険かもしれない。 「うわぁっ!やだあっち行ってよ!」(しんりょく) どうもしんりょくはズバットが嫌いらしい。挙句俺の後ろに回ってしまった。 一方、 「ほらー、私に凍らされたくなかったらさっさと道を開けろー」 などと叫びつつ出てくるズバットを氷漬けにしているのはじゅひょう。 「あんまし凍らせるなよ…」 「大丈夫よ、5分もすれば溶けるレベルだから。」 あ…そう。
途中、広めの空間に出た。おそらくここがアルフの遺跡方面への分岐路なのだろう。 案内板を見る限り、遺跡方面は×印がついていて通行不能なようだが。
「あおばっ、はやく行こっ」 しんりょくに急かされて左方向、ヒワダ方面へと折れた。
10分後。 出口にたどり着いた。しかしながら出口から出る気にはなれない。 「はぁ…」 しんりょくも隣で小さなため息を漏らした。 「はぁ…」 その隣のじゅひょうも、少し大きくため息をついた。 「「「はぁ…」」」 そんでもって三人でため息の合唱。どうしてこうなった、と。
もう一度見たところで変わっているものでもないだろうが、もう一度出口から外を見やる。 「はぁ…」
とりあえず、ため息をついている理由を3行で説明しよう。 ・台風来て ・トンネルの外 ・土砂降りに
そういうことだ。 もっともここからヒワダのポケモンセンターまでは1kmもないだろうから覚悟を決めれば行けなくはない距離ではある。
そのとき、ふと後方から着メロ(いや、着うたが正しいが)が聞こえてきた。
妖怪弾 くらえ ポロロ〜ッカ ♪
あれ…どこかで聞いたメロディだよな…とか思って振り返ってみたら。 青い髪。緑の帽子に大きなリュック。どう見てもエンジニアの河童だ…。きゅうり食べてるし。 どうでもいいけどきゅうりは新鮮なうちに洗って味噌つけて食べるとコレが美味いんだよなぁ…って関係ないな。
「もしかして、大雨で困ってる?」 「ええまぁ…」 「そうねぇ…私の作った特殊強化型傘を貸しても良いんだけど…バトルで勝ったらあげるわよ?」 え、本当に?なんか「特殊」ってのが気になるけど…。てか何故バトル? 「うーん…人のポケモンの戦い方とか新しい発明の参考にしてるし。」 ああ、納得。じゃあぜひ戦わせてもらおうかな。
後編に続くはず
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第七話 つながりのどうくつという名の国道トンネル・33番道路という名の小路 (作者の心の声:前後編書くときに間が空くと忘れちゃうね!どうしよう…) 「そういえば自己紹介してないわね。河乃浦桐。よろしく〜。」 「俺は谷川青葉ー。よろしくー」
「へぇー、あおばねぇ…。 まいいや、ルンパッパー、がんばってきてねー。」
パイナ…もといルンパッパのお出まし。 「じゅひょう!全速前進DA☆」 「…そのネタキキョウでもやってなかった?まぁいいか。氷符『ダイアモンドブリザード』!」(じゅひょう) じゅひょうがスペk…もとい技を発動させる。こなゆきか。 「こなぁ〜ゆきぃ〜(略)♪」(しんりょく) さて、どこから突っ込めばいいものか…しんりょくの粉雪かじゅひょうの某運転士ネタか。 「へぇ…面白い子達を連れてるのねー」(桐) あなたもちゃんと指示出してあげてください。
そんなことを思いつつ戦闘を見守っていたら、いつのまにかルンパッパが疲れてきたようで… 「さぁー、ここで雹符『ヘイルストーム』!」(じゅひょう) 順番が違うと突っ込むべきなんだろうか。 そのとき。
ぺったんぺったんつr(省略)♪
ポケギアから歌が。大慌てで止めたけど。誰がメール着信音にコレ設定したんだよ、街中だったら大恥かくところだったよ…。 少し離れた所ではしんりょくが転げまわって大笑いしていた。犯人はあんたか。
一方、この歌を聴いたルンパッパはなぜか動きが軽快になったようで…歌のパワーってすごいね。 じゅひょうも負けじとパーフェクトフリーズの宣言をしていた。脳内で某さんすう教室が流れ始めるのは気のせいということにしておこう。
どぉぉん!
大きな音でふと目の前を見るとルンパッパが倒れていた。運悪く被弾したらしい。 「着信音にあれとかww君のポケモンたち面白いねwジバコイルいってきてw」(桐) どうやらドツボのようで大笑い。 「つr(省略)流した人がいると聞いてきますた」(ジバコイル) 「君もこのネタが分かるんだ…」 独り言をつぶやいて、また戦闘を見守る態勢に。 「切符『東京の鉄の輪』!」 某山手線動画ネタまで持ち出してきた。あー、だるいから突っ込まなくてもいい? じゅひょうがどこからか使用済み切符を取り出して投げつけていた。まさしくカード弾幕。 「ドリ符『金盥落とし』!」(ジバコイル) おい、もうポケモンバトルじゃないだろと… それ以前にスペカ名秀逸すぎるw 「あべしっ!」(じゅひょう)
見事命中。ふらっときたところで交代させよう。 「タイム!ピッチャー、じゅひょうに代えてしんりょく!」(あおば) 「えー私ー?まぁいいけど…」(しんりょく) さて、それじゃ今度はしんりょくに頑張ってもらおう。 「草符『葉っぱの迷路』!」 ジバコイルの周辺に回転する葉っぱの迷路完成。さぁ、しっかり抜けられるかな? 「へぇ…あれを葉っぱで再現できるってことはExまですすめたんだ…」(ジバコイル) 余裕たっぷりで迷路を脱出。そして。 「ドリ符『地球滅亡』!」 おなじみ?のあのBGMつきでレーザービーム。やめれw しんりょくは動かず、そのまま直撃。
したと思った瞬間。
「魔砲『ファイナルスパーク』!」
ひときわ大きな叫び声とともに特大のファイナルs…ソーラービームが撃ちだされた。 至近距離からくらったジバコイルはさすがに耐えられなかったようで倒れていた。 喰らいボムは予想外だったなぁ…ん?
戦闘に夢中になっていて忘れていたが、いつのまにやら外は晴れ間が覗いていた。
「はー楽しかった。うん、ここまでおもしろいバトルをさせてくれてありがとう。あと、お礼の傘ね。もう雨はやんじゃったけど…」(桐)
おもむろに傘を渡された。見た目は地味そうな茄子色の傘…あれ?
「それじゃ、また会うことがあればー!」
軽やかな足音とともにキキョウ方面へと向かっていった。
「さ、とっととヒワダに向かうわよー、じゅひょうちゃんも疲れたみたいだし。」(しんりょく) 「あー、もうさっさとポケセンで横になりたいー」(じゅひょう) 「わかったわかった。じゃあさっさと行ってとりあえず後編終わらせよ?」(あおば) 「…後編って何のこと?」(しんりょく)
ところどころ水溜りの残る33番道路を西へ向かう。
途中、大きな古井戸があった。観光施設らしいが、じゅひょうと作者の体力が持たなさそうなのでまたの機会にまわしておこう。
2キロ少々で到着。小さな町で製材所が多い印象を受けた。 ポケモンセンターもすぐ分かった。赤屋根ってこういう時とっても分かりやすくて助かる。
受付を適当に済ませて今日は寝ることにしておこう。 「「あー疲れた…おやすみー」」 「あー、おやすみ…」
続くのかなぁ。
キャラ提供:白いメタグロスさん
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第八話 ∬ヒワダという名の炭の町(前編)∬
翌朝。 「ぜんぶ 愛しーて欲しいの らんらん♪」 ポケギアの着信音で目を覚ました。待て待て、誰がこんなのを設定した。 ふと横を見やれば昨日のごとくしんりょくが笑い転げていた。股尾…もとい、またお前か!
軽く痙攣し始めていたしんりょくを放置して、メールをチェックする。 …トクサネ市役所…? どこか見覚えのあるメールアドレスが気になりつつ、とりあえず本文を読むことにした。 「…ラティアスとラティオスの里親当選のお知らせ…ああ、あれか。」 「?里親?それもラティアスとラティオスの?」(しんりょく) 「あー、これは1,2ヶ月前のお話かな…?」
2ヶ月くらい前。怪我を負ったラティアスとラティオスがトクサネシティで保護されたそうだ。 どうやら野生との戦闘で負ったものではないらしく、そのため里親の募集をしていた。 ウツギ博士の推薦と共に応募をかけておいたわけだが、まさか本当になるとは。
「今北産業!」(じゅひょう) 「ラティアスとラティオス ひたちの手持ちに 加わる」(しんりょく) 「起きたんだったら今沖田産業でしょうが…ってこれ分からない人はわからないよなぁ…」
※今北産業…2chなどで、「今来たので状況を3行で説明してくれ」というときに使う。今沖田産業は「今起きたので3行で説明してくれ」という意味である。
さて、御対面と行きましょうかね。 ボックスに二人を発見。引き取り操作をする。
じゅひょうが来たときと同じような感じでボールが(ただし2個)やってきた。ボールオープン。 「こんにちは…見てのとおりラティアスのすずらんです。」 「こんちは!見てのとおりのラティオスのあやめです。名前は市役所の人につけてもらいました。」 「えーっと、しんりょくです。見てのとおりのチコリータです。」 「すずらんでーす、見た目どおりのグレイシアです。」
「あー、今日から君達のトレーナーをさせていただくあおばです、よろしく。」 「「よろしけおねがいしますっ。」」
「さて皆さん、歓迎会はこんなもんで早速実戦と行きましょうか。実力も見たいし…すずらんとあやめ、ジム戦ではよろしく。」 「「分かりましたー」」
こんな感じのやり取りのあと、早速ジムに挑むべく向かった。
後編へ続く
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第八話 ∬ヒワダという名の炭の町(後編)∬
ジムへ向かう途中、流石に負けることは(話の都合的にも)ないとは思うが念のためすずらんとあやめに基本スペックは聞いておく。 「ねー、すずらんとあやめのスペック、聞かせてくれる?」 「えーっと、上から103,70,75…って違うわ! りゅうせいぐん、あ、某笑顔動画のに非ず。あとミストボール、なみのり、そらをとぶ、といった所かしら。」 「ドラゴンクロー、ラスターパージ、かえんほうしゃに10まんボルト、といったところですねー。」 ほほぉそれは頼もしい。それじゃあ宜しくお願いするよ。
ジムに着くと、リーダーのツクシさんはパソコンに向かっていた。脇には大量の図鑑や紙が積まれている。論文でも書いているのだろうか? 「すみませーん、ジム戦をお願いしに来ましたー」 「あ、はいはい、ってうわぁ!?」 ドサドサッと積まれていた本やら紙が倒れて、それこそ漫画のように埋もれる。 「あはは…今度学会に提出する論文かいてたらこんな事に…今片付けますね…」 本やら紙に埋もれたツクシさんが出てくる。 「さて、バトルでしたね。ここでは試験的にシングルとダブルの選択制にしていますが、どちらにしますか?」 「えーっと…じゃあダブルスでー。」 「分かりました。 でてこーい、ストライク、カイロス!」 カマキリとクワガタムシが出てきた。って言ったら失礼か。 「あっ、クワガタムシとかまきりー!」(すずらん) あ、言っちゃったよ。しかも怒ってるし。しーらないっと。 「魔符『スターダストレヴェリア』!」 「竜符『ドラゴンクロー』!」 すずらんとあやめが同時に叫ぶ。おまえらポケモンバトルをしろよ。 「あべしっ!」 どこかで聞いたような断末魔と共にカイロスが倒れる。あーあ、星屑まみれになっちゃって…。 「あ、甘い…」(ストライク) お前さんはどこの月の姫の妹だよ。それからすずらん、何故あんたもそれを知ってる…。 まったく、親は子に似るというか、類は友を呼ぶというか…。 「ふっふっふー、灯符『ファイヤフライフェノメノン(待宵)』!」 うお、あいつはルナシューターか。てか、お前さんカマキリであって蛍じゃないだろうに。
油断をしていたのかイージーシューターだったのか、すずらん被弾。 「むきゅー…む、無念…。」 紫もやしぃぃっ! 「妹の敵は取る!光符『アースライトレイ』!」 お前のそれは10万ボルトじゃないのか? 「ルナシューターにアースライトレイなんざちょちょいのちょ…たわばっ!」 レーザーに気を取られていて星弾に当たったようだ。ピチューン! 「わが生涯に一片の悔いなし…(ドサッ)」 どこの格闘漫画ですか…。 「いやー、いい勝負でしたねぇ。」(ツクシさん) 「あー、そうでしたねぇ(棒読み)。」 「さて、スペカ戦だったとしてもバトルに勝ったのは事実ですから、バッジを進呈させていただきます。」 「あ、そいつはどうも…。」
…2個目のバッジを手に入れたわけだが。いいのかこれで。
帰り道、今日一番の活躍を見せたあやめの希望でアイスを食べることにした。 口の周りに抹茶アイスをつけているしんりょく、可愛いなぁ…。 「…?顔に何かついてる?」 「口の周り…にしてもしんりょく可愛いなぁ。」 「ば、馬鹿っ…そんなこと言われたって、嬉しくなんてないんだからねっ///」 はいはいツンデレツンデレ。いやまぁ可愛いと思ってることは事実だけど。まぁ言わないでもいいことは言わないでおこう。
続くのかな本当に。
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第九話 +ウバメの森という名の密林・34番道路という名の浜辺の道+
翌朝。いつのまに朝になったんだとか更新遅すぎという突っ込みは心の奥にしまっておいてくれると作者が喜ぶと思う。 途中、どこかで食べるべき食料としておにぎりやらサンドイッチやらを買い込んで出発する。
「ふむふむ…うばめ森林公園ヒワダ口…ねぇ」(しんりょく) 「ほう、ゲートが整備されているとは。中もさぞや歩きやすいことだろう。」(あやめ) まぁ、森林公園というからには迷うこともあるまい。
…そう思っていた時期が、僕にもありました。
しっかりとしたゲートを通り、森林公園側のドアを開けた瞬間。
「…これなんて密林?」(じゅひょう) 「ま、まぁ踏み跡はあるから大丈夫だよ、きっと…」(すずらん) なんか遭難フラグな気がしないでもないが放置しよう。
それにしても落し物が多い。100円玉はともかく1000円札を落とすってどういう人だ? …あ、ひかりの事か。 「おおーっ、なぜか『しんじゅ』が落ちてるぞぉー!」(しんりょく) おい待て踏み跡から外れるなって…しゃーない追いかけよう。
・ ・ ・
「どうしてこうなった!」(すずらん) 「どうしてこんなになるまで放っておいたんだ!」(じゅひょう) お前ら踊るな。じゅひょう、ストレッチャーを運ぶジェスチャーはしなくていい。すずらんこっち見んな踊るな。
「うぅ…ごめん。」(しんりょく) 「反省してるならそれでよし。ほれ泣くな、うちの面子に泣き顔はいらんよ。」 「ぐすっ… こ、これは目から汗が出てるだけなんだから…っ…」 やべぇ、可愛いから許す! …ではなくて。
「…これなんてエ×ゲ?」(すずらん) 自重しようかすずらんちゃん。それにこのお話は全年齢向けです。たぶん。 「おー、これはいいシチュだなぁ、採用!」(あやめ) なんに使う気ですか…
さて、現在地を説明しよう。ウバメの森を東に抜けた海岸。綺麗な砂浜である。 「すずらんー、ちょっと上空見てくれー」 「あいあいさー、ほいっとなーっ」(すずらん)
あれ、まだ泣いてるのかしんりょく。 「だって…みんなを迷わせちゃって…ごめんね、ごめんね…ぐすっ…」 「…やれやれ。いいよ、さして気にはしてないよ。泣くなー、な?」 …なかなか泣き止まないので頭(というか葉っぱ)を撫でてみる。 いかんいかん、たぶん顔がひどいことになってる。主に俺が。にやけ過ぎで。
「おーい、この海岸線を右方向に進んだ先に町らしきものが…すまん、ごゆっくりぃ!」 待て待て待て、ひどい誤解をしてるようだな。いやまぁしんりょく可愛いなぁ、くらいは思ったよ?けどそれくらい画面の向こうのみんなだって思ってるはずだよ! 「ああ、なんというか言い訳乙。」(じゅひょう) 揃いも揃ってひどいなぁ。
泣き止んだしんりょくを抱っこして町が見えた方向へと歩き出す。いつのまにやらしんりょくは眠ってしまっていた。
…今だから言うが作者よ、この物語の方向性を教えてくれ。明らかに方向性がおかしいだろコラ。 (天の声:え?いやー…どうしようかねぇあはは)
ひたすらに歩き続け、日が西に傾いてきたころ。郊外の住宅地に到達。市営地下鉄の(高架)駅もあった。疲労感もピークなので、多少運賃が高いのは目をつぶって乗る。市役所(ポケセン前)駅まで5人で1970円。致し方あるまい。
ホームに止まっている電車に乗り込む。座席を確保したところで、4人がまとめてあっという間に眠ってしまう。(しんりょくは元からだが。) 俺まで寝てしまうと寝過ごす危険が大きいので起きていよう。 しばらく乗るうちにトンネルへと入った。建物が密集してきているんだろう。
ホームが見え、ドアが開くこと17回目。目的の駅の一つ手前のようだ。まとめて起こす。 「あ、あれ…ここは…」(しんりょく) ポケセンの一個手前の駅、あと俺の腕の中。 「あ…っ…、その… ありがとう…」 うむ、まぁ礼を言われるほどのことでもない。
「「「ふぁーぁ…あれ?もう着くの?」」」 お前らは平和そうだなぁ。
到着。閑散とした車内から降りると入れ替わりにたくさんの客が乗ってくる。向かいのホームも似たような状況だ。 人の波をよけつつ改札をくぐって、地下通路に直結されたポケモンセンターへ。受付を済ませて部屋へ向かう。ふむ、6階か。
部屋へ入って驚いた。窓の外には高層ビルの乱立する大都会が広がっていた。 おーいみんな、と呼びかけてやっぱりやめた。みんなぐっすり寝ていたからね。
やれやれ、ってあ!サンドイッチとかまだ残ってるじゃないか。 一人で食べよう…もったいないし。
続くのだろうか?
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第十話 コガネという名の大都会(前編)
翌朝朝早く。疲れているはずなのに目が覚めてしまった。 時計を見ると午前4時半。眼下に広がる大都会もまだ人通りはごくまばらなようだ。 「あおば、おはよう…」 しんりょくも目が覚めたようだ。まぁあれだけ寝てればこの時間に目が覚めるのもうなずける。 「なぁ、ちょこっと散歩してこようと思うんだが、しんりょくも行く?」 「あ…うん。」
部屋を静かに出て、しんりょくと早朝のビル街を歩く。 「あ、あのさ…あおば。」 「ん、何?昨日のことなら謝らなくてもいいよ。むしろかわいいしんりょくの寝顔が見られただけ感謝したいくらいだね。」 「え…あ…うん。そう…」 そのまましんりょくは俯いてしまった。機嫌が悪いわけでも、悲しそうな感じでもないが…
40分ほどで帰還。するとまぁ皆様おそろいで起きていらっしゃった。 「「「早朝デート乙!」」」 おまえら黙らんか。なんかしんりょくも恥ずかしそうだし。
適当に休憩した後、朝食を摂って街の探索へと向かう。 百貨店やゲームコーナーのある目抜き通りを北へと向かう。私服の人が多いのは休日だからだろうか。
1キロほど北へ向かうと、国鉄コガネ駅が見えてくる。 ヤマブキに次いで規模が大きく、リニアが高々架3面6線、在来線が高架2面2線に地平5面10線地下2面4線というかなり大きな駅である。 市営地下鉄や私鉄の分も入れたらもっと大きいと思う。 「見えた!」(すずらん) 何が見えた、三角形の布地とかそういうのはやめてくれよ?いろいろまずいし。 「そんな訳ないじゃん。昨日見たタワーよ。」 なんだ、ならいいか。確かに左手には大きな電波塔が聳え立っている。うむ、デカイ。
電波塔の真下までやってきた。どうやらラジオ塔というらしい。 ただしコガネTVやらジョウト放送やらのテレビ放送局も入っているらしい。ラジオの要素はどこに行った。 「えーと、この塔の生い立ちを簡潔に説明すると、『ぼろくなった塔をラジオ用の電波塔に建て替え、さらにテレビ用に改築した』みたいだね。」(あやめ) ならテレビ塔でいいじゃん… 「札幌と被るでしょ!」(じゅひょう) なるほど、それもそうか。
とりあえず入ってみる。最近は見学者への開放も進んで、中には見学者参加型の番組もあるくらいだ。 「はーい、こちら見学者参加型番組『テレビスタジオへようこそ!』参加者受付でーす!参加者の皆様には参加記念のラジオカードを差し上げまーす!」 「あおば、話のタネに参加しない?」(しんりょく) まぁそれも面白そうだね。じゃ、参加登録、っと。てか今更だがどんな番組だよ。 「えーと、間違えるまで100問連続で答え続けるクイズ番組、放送開始が去年4月、最高記録は今のところ72問だね。」(あやめ) いつの間にやらもらったパンフレット片手に答えてくれた。確かに面白そうではある。
「はーい、ありがとうございました。次の挑戦者は、ワカバタウンからお越しの谷川青葉さんとそのポケモンちゃんたちです!では第一問。セキエイ高原にある石英空港の標高はどれくらいでしょうか?」 そんなん簡単。一般人からしたらいきなりレベルが高いがw 「657.5m、2157.2 ft!」 「はい、正解!メートルだけでなくフィート単位で答えるとは、航空ファンなのでしょうか。続いて第二問。コンピューターのプログラミングで使われる言語のうち、最も基礎となるものは何でしょう?」 おいおい、お茶の間で見るようなクイズ番組かと思ったら結構マニアックなのね… 「機械語です。2進数もしくは16進数で書かれ、すべてのプログラミング言語の基礎となっています。普通扱うことはまずありませんが。」(あやめ) おお、すごいな。技術者にでもなるつもりか? 「おおっと、これも正解です。あやめくん素晴らしい回答です。これは面白くなってきました。では第三問!」
…とまぁ、こんな感じで延々と続くわけだが、流石に全部書いたら読むのは疲れるだろうし、作者も書けないようなので割愛する。
「はい!お疲れ様でした!全100問突破おめでとうございます!」 なんとまぁ、なんというか。用意された100問を全部正答してしまったらしい。 主に俺以外のみんなの雑学のおかげだが。まぁ交通系の問題では貢献できたはずだ。 「こちら、100問突破記念の記念トロフィーと盾です。本日のご来場、ありがとうございましたー!」 会場の大きな拍手に送られてスタジオを後に。ホントどえらい事になった気がする。 街中を歩いてると振り返る人もいるし。結構疲れる。
ポケモンセンターに到着。緊張が緩んだのかみんなでほっとした表情で部屋に戻る。 「あー…疲れた…。眠いわ…」(しんりょく) そりゃまぁあれだけ注目を浴びればそうなるわな…。
今日はもう寝て明日ジム戦としよう。
<後編へ続く>
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第十話 コガネという名の大都会(中編) 「毎度のことながら更新間隔あき過ぎよ作者は…」(しんりょく) 「なんでもツイッターで僕達のbotを作ろうとして挫折してたらしいよ」(あやめ) 「半年も放置するのもどうかと思うけどね」(じゅひょう) …あー、申し訳ありませんでした。でも定期連載ってわけじゃないので勘弁して下さい。 「いいから本編に入りなさいな。脱線してると楽屋ネタだけで1話分使い切っちゃうわよ?」(しんりょく) じゃあさくっと本編に入りましょうか…
「私の出番…」(すずらん) ・ ・ ・ ・ ・ 翌朝、である。やっぱりこう、都会の朝というのはちょっと緊張感がある。
ロビーで簡単な朝食を頂いた後、雑踏へと踏み出す。 昨日と異なってカジュアルな服装の人が目立つ。そういえば、と思ってポケギアを確認したら土曜日だった。 あまり規則正しいとは言えない生活だし時間という概念が結構あやふやだから日付も曜日の感覚も段々無くなってきている。おお怖い怖い。 「古今東西長く旅をしてると日付の感覚がおかしくなるらしいわね…ソースは沢木耕太郎さんの『深夜特急』。」 ああ、あの本か。作者の愛読書だね。
リニアの高架を超えたあたりで右手にドームが見えてきた。たぶんこっちはジムだろう。球場はもっと南だしちょっと独特の天井の形だし。
入口に到着。列になっていたので最後尾に並ぶ。ついでに前の人から「最後尾」の看板をもらう。 …前方を見やると「ここは最後尾ではありません」もあった。ここはインデックス○阪か! 「どっちかっていうとビッ○サイトのほうが馴染みがあるわね」(すずらん) 「旧○戸京成百貨店も彷彿とさせるね」(あやめ) お前らなぁ…ここは即売会の会場じゃねーから!しかもあの百貨店は今廃ビルだから!はぁ…戦闘前から疲れた。主に突っ込み疲れ。
列自体は非常にスムーズに進んであっという間に俺らの番。もうちょっと掛かってもよさそうなものだが。みんな弱いのか?
…さて、ここで注意書き。中の人は残念ながら茨城生まれの茨城育ち、つまり大阪弁はパチモンもいい所です。 そう言うのが気になる人は見ないとか修正案をこそっと優しく教えてくれるといいと思いますよ!よ!
「いらっしゃーい、あんさんが…えーと60番目の挑戦者やね。ウチがコガネジムリーダーのアカネちゃんや。なぁなぁ、昨日テレビに出たん?」 おぉう…ええ、100問抜きで出てましたね…おもにこいつら4人の力だけど。 「わー、ほんまもんの雑学王やー…っと、話が横道にそれてもうたな。バトル…やったっけ?」 ええまあ、お喋りしに列に並んでるわけじゃないので。 「そかそかー、まあ面倒やけどさくっとバトルしてこーなー? うち今日野球観戦があるさかい早う帰りたいんやけど…」 …お言葉ですが雑談だけでだいぶ時間を食っているように思われます。 「おおっ、それはすまんかったなぁ… いざ尋常に勝負や!」 望むところ!さあ地学方面の雑学王じゅひょう!いってこい! 「私かよ… まあパーフェクトフリーズの威力も試したかったしいいわ。」 「実況は私しんりょく、解説員には元草野球チームでライパチを務めましたあやめさんをお迎えしています。どうぞよろしくお願いします。」 「いやいや、ショートだったし2番だったし。まあよろしくお願いします。」
…外野がうるさいがこっちは放置しておこう。実況?どうせ途中で飽きて投げ出すとは思うけど。 「ほほう…グレイシアか、まあタイプ相性はどうでもええわ、こうべ!」 ミルタンク、1倍相手か、普通に高威力技でサクサク倒していこう… ってか、神戸かよ!嫌な名前だなおい… 待て、何をしている。 「氷符『アイシクルフォール -Lunatic-』っ!」
…ああ、確かに高威力だ。Lunaだしな。だけどさぁ… それ、「こなゆき」だよな? 「ふふん、避けられるものなら避けてみよ!(どやっ)」 いやいやドヤ顔してもダメだから。って普通にやられてるし! 「ああっ!こうべやられてもうた!」
ああもうツッコミたい、全力でツッコみたい! 「まあ牛の名前はどうでもええんや。えーと、じゃあいたみ!」 グランブルか。もう名前ツッコむのめんどくさい。 「いたみ!かみくだくや!」 …何の比喩なんでしょうね。これ。じゅひょう!雪符「ダイアモンドブリザード」! 「言われなくても分かってらい!凍符『パーフェクトフリーズ』!」 頼むからいう事聞いてよ… ああそうか、バッジとレベルのあれが対応してないせいか。 氷弾がばらまかれてグランブルの周りに固定され、ついでじゅひょうから4方向に大きく氷がばらまかれる。 「ああっ!いたみ!避けるんや!」 声にはっとしたグランブルが動いてる弾を避ける。 あ、そっちにはまだ動いてない氷弾が\ピチューン/
…おお、見事にやれらております。今しがたFマークの何かが飛んでいった気がする。 「くぅ…まだあたしには2匹、やおとかんさいが残っとる…だが、今日は野球観戦も控えとるし、あたしの負けや。」 あーうん、いいのそんなに簡単に負けて。 「ええんや、そないなことより後1時間で始まってまうで、ヤマブキロップス戦!」 な、なんだと!今日こそ宿敵を倒して首位にのし上がるんだ!行きましょう! 「おう! …ところであんさんもエレブースファン?」 野球を知ったのもエレブースのおかげだしねぇ。 「なんや早う言ってくれればええのに…よっしゃ!今日は外野自由席で観戦やで!」 さあいざ球場へ!
「…私はコトブキヒメグマーズのファンなんだけどなぁ。」(じゅひょう)
後編っぽい何かに続くはず
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第十話 コガネという名の大都会(後編) やっと後編なんですね。ひとつの街の話でどんだけ引っ張るんですかね。 「メメタァ!」(じゅひょう) 言わないお約束。 「早く本編始めろし」(しんりょく) ごもっともな苦情でございます… 「「出番ェ…」」(すずらん・あやめ) アキラメロン
〜 〜 〜 野球観戦の話は書くとやたら長くなる上に在京側のファンからお叱りがきそうなので省略する。 作者が在阪球団ファンなせいである。まあ楽しかったとだけ言っておく。
翌朝、1000年の都エンジュシティに向かって出発する。 この辺は鉄道が4本も通っている上に山が迫ってくる地形なので、場所によっては5複線以上に見えるところもある。 おまけに各社ともデッドヒートを繰り広げているので、本数も速度もなかなかのものである。
国鉄東城本線(ヤマブキ〜ヨシノ〜コガネ〜アサギを結ぶ最古の幹線鉄道)を走る寝台特急が脇を通り過ぎてゆく。 「いつかはあんな列車に乗って旅行もしたいものねー…」(しんりょく) まあ…そのうち考えとくよ。 ついでコンテナ特急とすれ違った頃、大きな公園と、盆地状になったところにある市街地が見えてきた。 看板を見ると、「←自然公園 300m ↑エンジュシティ 6.7km」とあった。 「自然公園とは…もうちょっと捻った名前考えようよ」(あやめ) そうだよなあ。別に自然公園の発祥地ってわけじゃないし。 「付けたもん勝ちじゃない?」(すずらん) いいのかそれ…
折角なので自然公園にも立ち寄る。なんのことはない、郊外にある自然公園である。 園内には各国風の庭園や温室もあり、本来ならホウエン地方にしか生育できない植物も観察できた。 また面白いのが「寒冷館」で、逆にシンオウ地方でも北部や、イッシュ地方の高山にしか生育しない野草なんかも見られた。
自分も植物の化身みたいな存在のしんりょくは大喜びではしゃいでいた。 んで、出身地の植生を懐かしむのはいいんだが、なぜあやめと手を繋いでいるのかねじゅひょうさん。 「え…なにか問題でも?」(あやめ) そこまで正論で返されると私としては反論の余地はないんですがね。交際するのは結構だが、もし喧嘩別れでもしたら困るのは俺なんだよ? 「大丈夫大丈夫、そんな事になったら脱走するから」(じゅひょう) いや、それは勘弁…
帰りがけ、寒冷館から出てきたしんりょくが怠そうに肩に乗ってきた。器用だな… 「わっちを乗せてくりゃれ?」 そこまで言われて断る男はまず居ない。あとその顔で林檎ねだられても… うん、買うね。 「無駄話はいいからさっさとポケセン連れてけ…」 なんか本当に調子悪そうである。大事をとって私鉄の最寄り駅からエンジュのポケセン最寄り、「七条」駅まで乗っていく。 運賃は確かにかかるが、可愛いうちの子には代えられない。
・ ・ ・ 診察を受けたら、気温の急変に対応できずに風邪を引いたらしい。 数日以内には治るらしいので、しばらく看病してあげることにした。 「申し訳ないわね…あおば」 …おおう、珍しく名前呼びされた。本当に大丈夫かよ。
〜急転直下の展開、しんりょくはどうなるのか!そして出番の殆ど無かった3人の去就にも注目!次回へ続く!〜
「「「いやいや、別に手持ちから外れないからね?」」」
…こんどこそ続く
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=第十一話 木造建築と碁盤目と緑の暴走族 〜エンジュシティ前編〜
これはひどい3ヶ月更新。
なんとなくタイトルの付け方を変えてみました。この辺から空気が変わるということで一つ。 そしてまた前後編だよ。途中で中編はさむ可能性も。このgdgdっぷりはもう…仕様ということで勘弁して下さい。 ・ ・ ・ ・ ・
「大丈夫だから…皆と観光行っておいでよ…」 いやいや。高熱出しながら言う台詞じゃないよ。 …今日一日は一緒にいるからさ。 「う…うん、ありがと…///」 なんか気持ち更に赤くなった気がする。 とりあえずな、しんりょく以外は出かけていいぞ。夕飯までに帰るんだぞー。 「「「そいじゃ行ってきまーす!」」」 お前ら元気だねぇ…
-main side-
そんな感じで、部屋に二人っきり。 何というか。それなんてerg状態。いえいえ、たぶん全年齢対象ですから。
…。…? …あー、なんというか、沈黙が気まずい。 「あのーあおば? …風邪引いた状態で言うのも何だけど。」 ん?出かけたいとか?治るまで待ちなさいな。 「そういうことじゃなくてさぁ…というかもっと繊細に扱ってよね。曲がりなりにも女の子なのよ?」 あー…はい、ごめんなさい。反省します。 「はぁ… まあ、いいわ。…ねえ、あおばに伝えたい事があるの。一回しか言わないわ。いい?いいわよね?」 珍しくしんりょくが迫ってきた。え、何。財布の中身抜いたとかそういうアレじゃないよね?フラグ?何のフラグ? TALENT:85 == 1とかそういう?(分かった人はニヤッとしてくださいなw)
「…あおば、好きよ。 うーんと。トレーナーとして、じゃなくて、一人の男として、よ?」
…えーとその、それはアレですか。告白と解釈していいんですかね。ドッキリとかそういうオチはないよね? 周りを見回してみる。しんりょく以外には誰もいないね。あいつらに持たせたGPSを確認。うん、鳳凰寺を指してる。 ここから6キロほど離れた金ピカのお寺だね。なら特小で会話を傍受されてる可能性もゼロ。 「ばかっ… 冗談だと思ってるでしょ…」 いや…うん。ノセられてる気がしてね。あの面子だし。 とりあえず、3分間待ってくれ。そろそろ処理能力が限界だ。
…いやでもさ。人語を解するし喋れるし、確かにうん。でもポケモンなんだよね。 種族の差とかさ、倫理的問題は大丈夫なのかとかさ。対等に接してるけど立場的にはトレーナーだしね。 ああもう、間違いなくしんりょくは好きだよええ。でもさ…いいのかな、って。
…うん、でも待てよ。姿形なんて関係ないよね。現に対等な関係で接してるつもりだし。 互いに好き合ってるんだったら、それでいいのかな。
そっか…うん。悩んでた自分がアホ臭くなってきた。もう少し自分に素直なくらいでいいよね… 「時間だ、答えを聞こう!」 あれいつものしんりょく… 声が上ずってるけど。というかその茶色いレンズの入った眼鏡どこで手に入れた。 バルs…いやいや。とりあえずさあ…しんりょくが振ってきた話題なんだから今くらいはツッコませないでよ… 「ああ…悪かったわ。いつもの癖ね。で…その…」
うん、俺も間違いなくしんりょくのことが好きだ。一人の女の子として、ね。
「そう、それは…何よりよ。 まあ、あんまりこう、色々はできないけども。」 これからもよろしくね。 …寝てなくて大丈夫? 「うん… もしよかったらだけど、一緒に寝ててくれない?」 しんりょくが求めるならそれは構わんよ。 …ゆっくり休んでね。
-another side-
「にゅっふっふー、二人っきりにすれば絶対何かしら進展があるに違いないわ。」(じゅひょう) 「あーちゃん先輩みたいなその笑いは…いや、突っ込むのは野暮ね」(すずらん) 「冒頭でそれなんて(ry)とかフラグ立てるから… さて、まあ自分らはお邪魔だからその分観光を楽しもうじゃないの。」(あやめ) 「…ってあら?人だかりができてるわね。 ん?アレってデンリュウじゃないの?」(すずらん) 「本当だ。 …なんでこっち来た!?」(あやめ) 「た…助けて…なんかいきなり襲われた…っ!なんかいきなり現金要求された…!」 「「にーちゃんちょっとジャンプしてみろよー」」 「…えーと、ぶどう狩り?」(じゅひょう) 「紅葉狩り?」(あやめ) 「あんたらー、あんましごじゃっぺな事言ってると新スペカの実験台にするわよ?」(すずらん) 「「なんや姉ちゃん、こいつのツレか?折角だからお持ち帰r」」 「…よくもここまで来たものだ。貴様等は彼の全てを奪ってしまった。これは許されざる反逆行為といえよう。 この最終鬼畜兵器をもって貴様等の罪に私自らが処罰を与える。
死 ぬ が よ い 。
『紅色の幻想郷-Ultra-』!」(すずらん) 「「えっピチューン」」 「…すずらんちゃんって怒首領蜂やったことあるんだね」(じゅひょう) 「死ぬがよいを断ったことがあるみたい。自称だけどね。」(あやめ) 「…Ultraってことは裏紅魔郷ネタだね。」(じゅひょう) 「アレも酷いよね。こっちは等速でプレイしてる。」(あやめ) 「はふぅ…皆様、助けていただいてありがとうございます。私はデンリュウのきりゅうと申しまして、電子部品の組立とかをしてます。散歩に来たらいきなりたかられまして…」 「そりゃあ…貧弱そうだし。まあ、お礼はいいけど、そのうちまた目を付けられるわよ。どう、うちに来ない?」(すずらん) 「え…いいんですか?トレーナー付きですよね…。許可とかそういうのは」 「あー、うちの人適当だから大丈夫よ。さ、じゃあ行きましょ。」(すずらん) 「…すずらんちゃんってあんなキャラだったっけ?」(じゅひょう) 「アレじゃないの、庇護欲そそられる感じだし。」(あやめ) 「なら仕方ないわね!じゃあ帰りましょうか。進展してる頃合いでしょうし。」(じゅひょう)
-side join-
「ただいまー、なんか可哀想な子がいたから拾ってきたわよー」(すずらん) 「私は捨て猫ですか…確かにボロボロにされましたけど」(きりゅう) 「…えーと。なんで一緒に寝てるのよ。」(じゅひょう) 「WAWAWA忘れもn…すまん。ごゆっくりぃ!」(あやめ) …ん、皆帰ってきたか。しんりょく、調子は大丈夫? 「ええ、だいぶ良くなったわ。…見慣れない黄色いのがいるわね」 おや本当だ。ふーん、すずらんに拾われたんだ… 「あ、初めまして。道っぱたで狩られてたところを助けて頂きました、きりゅうと申します。」 「…なんかまた襲われそうだから拾ってきたわ。うちに置いといてもいいわよね。」 それは別にいいが。まあよろしく、細かいことはすずらんに聞いてくれ。 「あ、はい。よろしくおねがいします。」
…えーと、色々進展と新キャラ登場があったところで以下中編か後編に。ではまた。
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=第十一話 木造建築と碁盤目と 後編= あけましておめでとうございます、今年も更にまったり更新していきたいと思います。 「夏の後は冬とか、コミケじゃないのよ…」(しんりょく) 「これで春と秋もあれば四大東方祭りね」(じゅひょう) 「ああ、他にもイベントのたびに更新してればいいんだけどね」(あやめ) やめてくださいそんな事されたら作者が死にます。 「いや、普通にやる気が出なかったって素直に言っておきなよ…」(きりゅう) 「まあ、作者もサークル作っちゃって忙しいらしいからね。」(すずらん) そーいう話はいいの。さて本編はいろうか。
・ ・ ・
しんりょくの風邪は意外に早く治った。もう治ったらしい。 「愛の力とは偉大ね」(すずらん) あー、冷やかしはいいからお帰りください。
さって、と。まあ病み上がりだから無理はさせられないが、ジム戦と観光くらいはしたいのも事実である。 それにあんまり長く休むわけにもいかない。エンジュだけで話を引っ張れるほど度胸もないしね。
「はい、到着。」 あやめ… 途中を省くのはやめないか? 「だってさぁ、しんりょくとあおばがイチャイチャしながら歩ってる姿描写しても…ねぇ」 いや、まあ確かに傍から見れば爆破対象かもしれないが、省いていいものかね?
兎にも角にも、エンジュジムである。街の西側で、元は王様の庭園だった場所が、大火で消失した後に修練場として再建したのが由来と言われいている。 ちなみにここから蒸気機関車の保存で有名な国鉄桜大路機関区・桜大路博物館は歩いて10分らしい。あとで行ってみよう。
「おーはよーございまーす!朝から営業してますかー?」 しんりょくがインターホンに向かって話しかけている。鍵がかかってたんで聞いてみようというつもりらしい。 余談だがしんりょくの蔓で手を繋いでいるがこれは内緒だ。いいか見るなよ君は何も見ていない。おk?
「こんのバカップルめ…まあ、あたしらも人のこと言えないか」 後ろを振り返ってみたらじゅひょうがあやめの背中で甘えていた。こいつらもかよ、すずらんときりゅうがくっつくのも時間の問題だな。
「ふぁぁ…ん、挑戦者の方かい? …まだ営業時間には早いけど、まあいい。入ってくれ。」 インターホンの向こうから応答があった。いささか早すぎたようだが、まあ入れてもらえたのでよしとする。 「改めて自己紹介させてもらおう。私はエンジュシティのジムリーダー、マツバ。使うポケモンはゴーストタイプ…まあ表の看板にも書いてあるがね。」 ご丁寧にありがとうございます…私はワカバタウンの谷川青葉と申しまして、連れているのは見ての通りです。 「随分と変わった子達を連れているようだね…まさか伝説のポケモンを連れてジム巡りしてるとは思わなかった。」 まあ、色々ありましてね。では、私からはきりゅうを。 「うぇぇ、ぼ、僕ですか!? …まあ、がんばります…」 弱気だなぁ…なんかすずらんが庇護欲をそそられるのも分かる気がする。 「あんた何馬鹿なこと言ってるのよ、私にショタ趣味はあるけどさぁ、きりゅうもそれっぽいけどさぁ」 あるんかいっ!
「では私は…ゴーストの。さあ出ておいで、ひえい!」 由来は比叡山かな? きりゅう、でんじほう! 「うん、でんじほうだね!」 ぴん、とコインを高く放り投げた。おい、まさか 「これが、私の、全力、だぁぁっ!」 そのままコインを電磁力で打ち出してゴーストに直撃、当然のごとく倒れた。 …おい、そこのビリビリ中学生。 「ビリビリじゃない!私の名前は御坂美こt…何言わせるんですかっ!」 実にうまいノリツッコミじゃないか。まあ倒せたし、言うことは特に無し。 「やはり、変わってるだけじゃなくて面白いね…ふふっ、超電磁砲(レールガン)、か。まさかポケモンでやるとは思ってもみなかったよ。」 駄目だこいつも見てたか…もうやだこの世界。 「さて、じゃあ最後にしておこうか。出ておいで、ゲンガー…えんまち!」 円町駅か…嵯峨野線の新駅だね。そんな講釈はいらないか。こっちも交代しておこう、すずらん!
「ふふ、私の手にかかればチョチョイのちょいよ、さあどこからでもかかってらっしゃい!」 うぎぎ、と悔しそうな表情のゲンガー。マツバさんの指示も聞かずにシャドーボールを見境なく投げつけはじめた。 「まったく…軌道が読めすぎて楽々よ。いいグレイズ稼ぎになるわね」 確かに翼端ギリギリで避けている、良い感じにパチパチとグレイズ音も鳴っているし。 「パワーをメテオに!星符『ドラゴンメテオ』っ!」 違う…何かが根本的に間違っている…が、気にしたら負けだろう。こういう世界なんだ、うん。 「志村ー!上!上!」 マツバさんもなんかボケ始めてるよ。しかし声は届いてない。
「…えっ!?」 ボゴォ!という嫌な音と共にりゅうせいぐん直撃。撃沈。 「いやー、実にいいものを見せてもらった。はい、賞金とジムバッジだ。」 なんだか受け取る賞金がおひねりに思えてきた。俺らは旅芸人じゃないんだがな…
ま、いっか。4つ目のバッジ入手。これでなみのりが使えるようになるね。 資格で言うと小型船舶免許のポケモン限定版みたいなもんだ。
「よっし、そしたら早速アサギシティに向かうわよ!」 よっし、じゃあ向かうか! …あの、しんりょく、手…つないで行こっ 「…うん、いいわよ…っ!」
「まったく、惚気で〆ようとするなんて作者も相当ダメな方向に進んでるわね」(すずらん)
続きますよ、次がいつかはともかくとして。
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第12話 ◯ 白球と牧場と海風と ◯
まだ午前中であるし、今日中にアサギシティに辿りつけるだろうとの判断で早速出発した。 もちろんしんりょくと手をつなぎながら。
「若いっていいわねぇ」 じゅひょうやかましいぞ、あやめの背中でじゃれながら言う言葉かそれ。 「…うーん、ショタっ気…悪く…ないわね」 なんかすずらんがきりゅうの手を引っ張りながらぼそぼそ呟いている。ああ、お前とこの物語の方向性よ何処へ行く。
しばらく林間の道をゆくと、やがてだだっ広い野原とゲートに遭遇した。 「『これより九甲牧場敷地、ミルタンクに注意』ねぇ…牧場なのねここ。」 そのようだね、しかし本当に広い。宅地開発でもしたほうが儲かりそうだななんて思うくらいである。
舗装されて快適な農道をしばらく行った所で管理事務所と、売店と思しき建物が見えてきた。 駐車場はそこそこ空いているが、まあ平日ゆえの事だろう。観光バスは隅っこに一台だけ止まっていた。
売店では牧場自慢の牛乳や諸々の乳製品が販売されていた。こういうところのアイスは高いが結構旨いと相場が決まっている。 …しかし、1個300円か。ちょっと悩むな…
「「「「「おじさん、これ1個ずつー」」」」」 おい貴様ら何勝手に注文してるんだ… 仕方ない、俺も抹茶ミックス1つ。
アイス自体はなかなかに濃厚で美味しかった。そしてやっぱり口の端っこにアイスをくっつけたしんりょくが可愛い。 とか思ってたら気づいたようで拭いてしまった。うむむ、拭く仕草も可愛い。
「あの、分かったからあんまりジロジロ見ないでよ…恥ずかしい」 あ、はい、すんません。
おやつを食べ終えて現在の時刻は13時。中途半端な時間である。まあ、アサギに行けば旨いもんが食えるだろう、それまで我慢だ。 引き続き、緩やかな丘が続く牧場の中をゆく。
大きい丘の頂上に差し掛かった時、死角になっている反対側から歌が聞こえてきた。超低音。夕闇の中とかで聞いたらたぶん恐怖で立ちすくんでいたことだろう。
頂上に到着、向こうも気づいたようで、慌てて歌うのをやめてしまった。知ってる歌だっただけに、ちょっと続きが聞いてみたかったが…まあ仕方あるまい。
その声の主が、乗っていた自転車を下りながら声をかけてきた。 「や、こんにちは。僕の名前は高端 雅志(たかばた まさし)。君の名前は?」 ああ、えっと谷川 青葉と申します。もしかして、やっぱりトレーナーさん? 「せーかい!トレーナー同士出会ったら勝負だね、いざ尋常に…と行きたいところなんだけど。」 ? …うちの面子はいつでも臨戦態勢だけど… 「まあここで会ったのも何かの縁、野球勝負だ!」 よろしいならば野球だ、3球勝負ね。俺が投げるから。 「都合のいいことにピッチャーなんだねぇ…そいじゃ、ちょっと準備するよ。」
がさごそとリュックを漁り始めた。中からノートパソコンやら雑多なものが出てきた。俺だけじゃないんだな、パソコン持って歩ってるのは。 「あったあった、はいキャッチャーミット。ピッチャーグラブはある?」 あ、どうもどうも。グラブとメットは持ってるから大丈夫。それじゃ。
とことこと歩いて大体18メートルのところへ。きりゅうにキャッチャーミットとその他いろいろ着けさせて座らせる。意外と様になっている。 そんなきりゅうをみてなんか頬を赤らめるすずらん。もうお前ら結婚しろよ。
むこうのポケモン…ランターンとトゲキッスもボールから出てきて観戦体制。いいのかこれで。 彼は右打席に入った。まあ打席と言っていいのか分からんが。
外野に飛んだ時のためにあやめにグラブを持たせて守備体制に。一球目から手は抜かない、我がスローカーブを見よ! ワインドアップのモーションからアンダースローへ! 「お、サブマリンか…っとと」 見事に決まって空振り。Lv7は伊達じゃないのだ。 「スピードがないってのも逆に難しいねぇ…いつも130キロ台の球打ってたから…」 そりゃあなぁ、俺なんかストレートでも76キロだし。スローカーブは測った時43キロだったな。 「どうりで。ま、タイミングは掴めたかな、よし来いっ!」
二球目。今度はシンカー。実はこの球もさっきと同様かなり遅い。50キロ台とかザラである。 「んっ、見切った!」 かこーん。
快音で外野へ。これはホームラン級だろう、してやられた。 「昔君と似たようなピッチャーにあったことがあってね、配球もここまで同じだから。」 むむぅ、これで一勝一敗か。三球目、男ならストレート勝負! 「来たね、やっぱり」 かっこーん。やっぱり打たれた。打球はレフト前あたりへ。すっ、とファーストらへんまで走られた。恐ろしく足も速い。
びゅん!
突風が吹いた。球は煽られてファールエリアへ。これは…
「3球勝負で1勝1敗1分け、かな。」 かなー? まあ、これも何かの縁。また会うことがあれば宜しく。 「ああ、次会ったときは負けないよ。さて、と。じゃあ名刺交換。」 うむ、じゃあ。 取り出したのはサークル用の名刺。「紅葉と草原」のものだけど、個人用も兼ねているので気にしない。 「はい、どうぞっと。」 もらったのは鉛筆をデザインしたような、ちょっと変わった名刺だった。 「ああ、昔鉛筆コロコロで猛烈な運を発揮したことがあるから、験担ぎも兼ねて、ね。」 ほー…まあ、この狭いジョウト、また会ったらそんときは。 「ええ、負けませんよ。」
しばらく自転車を押していたが、坂の手前で乗りなおして下っていった。
「あおば、残念だったわね…自慢のシンカーだったんでしょ?」 すこし歩いた所でしんりょくが声をかけてきた。 そうさな、確かに俺の自慢の球種の一つだけど、人間勝ってばかりいることはまず無いんだよ。 この物語でも全勝しちゃったらちょっと面白くないしね。ある種ゲームに忠実だけど。 「…後半良く分からなかったけど。あ、見えてきたわ。」
ゲートの外は急坂になっていて、下るとすぐアサギの街並みのようである。日も傾いてきた、よし。行こうか!
続く …いや本当に続くからね?
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第13話 〜海風と海峡航路 それとポートタワー 〜
「エレブースは衰退しました・ワ・」(しんりょく) 言うな…6位じゃないだけマシだ… ヒトデマンズよりましだ… 「せやな」(じゅひょう)
・ ・ ・
丘を下る道。土の道が砂利に変わり、まもなく舗装があらわれる。
眼下に広がるのは庭付き一戸建てと、その向こうの市街地。 海上には埋立地と大きな塔、それに空港も見える。
「えーっと、なんかアニメみたいな光景ね」(しんりょく) 「TV版だと毎回街につくたびこんな感じだよね。」(あやめ) こらそこ、そんな事言うな。 …とはいえ確かに人口があまり集積していない感じはする。 ラルースシティとかは比較的郊外へも交通がよかったようだが…。
ちなみにこの風景、左を見やれば市街地が海岸にそってコガネ方面へと連なっている。 ジョウト最大の人口集積地でこの風景なら、ヤマブキあたりはもっとすごいのだろうか。
「あ、P737-800だー。」(すずらん) 目がいいなぁ。よく機種の、それもダッシュまで判別したなぁ。 「いや、だって離陸方向がポケマークのハナダ空港に行くルートだもの。」 ああ、そういう…
住宅街に入り、急坂を下り続けると、いきなりリニアの新アサギ駅が見えた。 「あんまり駅が多いのも考えものよねぇ…ルートもそうだし」(しんりょく) 「都営大江戸線みたいな鉄輪式じゃないんだからね…」(じゅひょう) いや、あの、某どまんなかリニア計画みたいなこと言うのはやめましょうよ…。 「ま、各駅停車しか止まらないし…」(きりゅう) だからこそ疑問だろ、と。そんな新白河みたいな駅さあ。 「白河の人に土下座しましょうか、ね?」(しんりょく) はい、ごめんなさい。orz
駅の高架を超えたところからは商店街だった。洒落た雑貨店や洋菓子店が並んでいて、なんかむずむずする。 「女の子の憧れよねぇ…」(しんりょく) はい、あとでジム戦終わったらまた来ましょうねー。
で、その洒落た商店街の中に建つ、レンガ造りの瀟洒な館があった。そうそう、瀟洒って漢字だと難しいよね。 パソコンで制作しててよかった。 「アサギシティジム… やっぱり、街並みに合わせた建物っていいわよね。」(すずらん) 某京都駅と京都タワーとはなんだったのか。
おじゃましまーす。
いない。代わりに、レストランとかに有りそうなメニュー立てに黒板が置かれていた。うむ、おしゃれだ。 「アサギ・ライトハウスにいます。みかん」(じゅひょう) ああ、灯台か。しかしどうして、チョーク書きの字がとても可愛らしい。 「所用で出かけてるのかしらね?」(しんりょく) 気持ちムスッとした表情でしんりょくが蹴っ飛ばしてきた。そうか嫉妬したのか、可愛いやつめー。 「べ、別にそういう訳じゃないんだからね!ただ、ちょっと足が勝手に動いただけなんだから!」 「はいはいテンプレテンプレ。」(じゅひょう) だんだん流し方がひどくなってきたような気がして…俺は…俺は… 「アホな漫才やってないで行くよ?」(きりゅう) せ、せやな…
大きな通りにそって海岸に出れば、灯台はすぐ目の前だった。それにしても海が時化ている。そういえば熱帯低気圧接近中だったな。
早速施設に入ってみる。 …う、入館券300円か。まあいいか…。
一般のお客さんが入れるのは8階、どうやら展望階のようだ。管理室は11階らしく。 「あのー、ミカンさん。この先にいます?ちょっと彼女に用事がありまして。」(しんりょく) 警備員に話しかけていた。仕事早いな…。
すんなり通してもらった。こういう機会で通してくれという人が多いのだろうか? 「あら、お客様ですか?」 ふわりと、そんな効果音が出そうなくらい軽やかに、ワンピースの少女…としか思えない姿形の女性が振り返った。 ああ、いえ。ジムに行ったら書き置きがありまして。
「書き置き? あー、忘れてました…。そう、今アカリちゃんのお世話をしてまして…」 「「「「「アッカリ〜ン」」」」」 「はーい! …けほけほっ」 どうやら風邪らしい…うん?風邪、か…。 ポケセンで安静にしてればいいような性質のものじゃないの? 「いえ…アカリちゃん、慢性的なものでして…。いつもは海路でタンバシティからお薬が届くのですが…。」 ああ、低気圧で欠航、と。 「ならば!」(しんりょく) 「私達が!」(じゅひょう) 「お薬を!」(すずらん) 「持って!」(あやめ) 「来ます!」(きりゅう) お前ら… 俺は行かないからな、時化てるのに海には出たくないからな? 「でも、辛そうな子を放置はちょっと…ねぇ?」(しんりょく) …はい。行きましょう。何らかの方法で。 しかしどうするよ… 空路は無いし、海路には出られない。橋もない。
・ ・ ・
で。今荒れるアサギ海岸に立っているわけですが。 「必殺低空飛行!」(すずらん) もうすぐ雨が降りそうな感じがするんですけどね… 「ぐちぐち言ってないであやめの背中に乗りなさい!」(じゅひょう) えぇぇ… しょうがないなぁ… 「ぐぇ…重い…」 重くない!
「戸締、点。信号170。アサギ海岸、定発!」(しんりょく) 「ふぁそらし♭どれみ♭ふぁそ〜」(あやめ) お前ら…ちょ、加速早い、振り落とされるからっ!
これ、本気で続くの?
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第14話 明○海峡大橋は偉大であった 「信号300!」(しんりょく) うずまき島通過ぁ!14時30分定通! 「ちゃーんちゃんちゃんちゃーん♪ あ、これJR東の4点チャイムね」(すずらん) 「まもなく、終点タンバです。お出口は、右側です。本日も、アサギ海峡線をご利用いただき、ありがとうございました。お忘れ物の無いようお支度ください。」(じゅひょう) 「信号240!」 おい、最高速度一瞬じゃねーか、とかそんなことはどうでもいいのである。なんだこの茶番は。 「信号160!」 …停車場接近、タンバ停車、14時36分。 「信号110!あ、信号70!」 減速間隔短すぎやしないか?ん、ビーチインサイト。 「信号30!」 ATC確認、停目1両。
到着。ひどい茶番だった。 さて、薬屋を探さないとな… 「雑貨商のUBだっけ。何処の国だったかなぁ」(しんりょく) いや、Civ4は関係ない。別に衛生にボーナスかからないから。
海岸通りを歩いていたらすぐ見つかった。 注意して見てなかっただけで、よく考えれば系列店と思しき店を他の街でも見た気がする。 現在時刻は3時34分、まだ急げば夕暮れ前にアサギシティに戻れそうだ。 「なんでや!阪神関係ないやろ!」 声を揃えて言うな。 ファックスで処方は送ってもらってあるので、その旨だけ話して薬を受け取り、さっさと戻る。日をまたぐのは良くない。 海岸に戻り、あやめにまたがる。ブロックアウト、3時51分。 「びふぉあーていくおふちぇっくりすと。」(しんりょく) いや、無いだろそんなもん。大体飛ぶな、せいぜい水面滑走だろうが。 「お望みなら飛ぶよ?」 いや、それはまずかろうて。いやまて、緊急だから仕方ないね、よし飛んで帰ろう。 「それじゃ、みんなよく掴まって。」 海に向かって、旅客機の滑走そのものを始める。傍から見たらひどい絵だが、それを気にしてはいけない。 ふわり、と上昇。角度をつけてぐんぐん上昇していく。なにこれ。落ちたら死ぬだろうなぁ。 「おぉー、夕陽が見えるわよー!」(すずらん) 本当だ。これはまずい。あやめ、3000フィートを維持して120ノットまで加速して。 「コピー。着陸地点は海岸で大丈夫?」 大丈夫だろ。一応サークリングアプローチで。
大海原は一瞬で過ぎ、目の前には山に張り付くようなアサギシティの市街地が見えてきた。あやめ、降下。 「はいよ、それじゃあ。」 一度海岸に沿うように降下。続いて滑走地点に人がいないことを確認し、反対側から進入。 「…わんはんどれっど、ふぃふてぃ。ふぉーてぃ、さーてぃ、とぅえんてぃ、てん」(しんりょく) タッチダウン。ところでしんりょくのその英語の読み方はなんだ、英語できないキャラでも目指してるの? 「わふー!そんなことはないのです!」 いや、そのなんだ、次の話でペットボトルロケットでも飛ばすの?_ 「無駄話はいいから、さっさと届けちゃいましょ?」(すずらん) はい。ごめんなさい。
市街地をマラソン。ポケモンを連れてマラソンをする人は少なくないが、なんだろう、この違和感。 10分ほどで目当てたる灯台に到着。係員には顔パスで通してもらった。ありがたいね。
「あっ、おまちしていましたー。」 遅くなって申し訳ない。こちら、処方の薬になります。 「よかったー、途中で海難にあってたらどうしようかと…」 大丈夫です、そんときはこいつらがなんとかしてくれるでしょうから。 「まぁ、頼もしいのね。えっと、それで当初の目的はなんでしたっけ?」 なんだっけ。人助けだったとは思われないんだけど。 「えっと、そう。ジム戦ですね。でも今日はもう遅いので、明日にしませんか?」 そうだね、それがいい。明日って言うと実世界で半年くらいかかるけどね。 「実世界?何の話でしょうか?」 なんでもないです。それじゃあ、明日の9時頃参りますので。おやすみなさい。 「おやすみなさいですー。」
「…ねぇ、あおば。」 なにしんりょく。またやきもち? 「いや、この回って必要だったの?」 完全に要らない回だよねこれ。せめて水着シーンでもあれば違ったんだろうけど。 「また半年後なの?」 分かんない。というかそういうことは言ってはいけません。 まだやるよ!
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