前々回では「『腸の中』は『身体の外』や」いう話したし、前回は『回腸』は「『腸内細菌』の社会」で、「リサイクル発酵工場」で、ウンコは「発酵健康補助食品」なんやいう話をした。
今回からはこういう『身体の外』に居るいろんな連中が『身体の内』に入らへんようにしてる『腸の免疫』の話や。
第2部の5で『免疫』の仕組み全体の意味話した。
けど今回からその実行部隊の話になる。
小説でも登場人物のプロフィールは必ずさりげなく語られるもんや。
というわけで、今回は『腸』の話はちょと横置いといて、まずは『免疫』の話するのんにどーしても退けて通られへん登場人物『リンパ腺』の話や。
『リンパ腺』。
言葉はよう聞くけど素人さんはその実体をあんまり識りはらへんらしい。
『リンパ腺』いうのんは簡単に言うたら「血液の下水」や。
血ぃが『心臓』から『動脈』通って『毛細血管』になって、また集まって『静脈』になって『心臓』に戻るいうのんは小学校の理科で習うから、こんなことはあんた等もよう知ってるやろ?
『動脈』と『静脈』いうのんはチャンとしたパイプなんやけど、『毛細血管』いうんはスキマだらけ網パイプやと思てくれたらええ。
一兆個もある大事な細胞さんに酸素と栄養分をお届けするためには、チャンと宅配せんとアカン。
そのために血ぃの水分が酸素と栄養持って血管からしみ出して細胞さん一つひとつのまわりを潤す必要があるわけや。
息とし生きるもの総て、生きてる細胞さんは必ず水の中に住んではるんや。
これが生きもんが海の中で産まれた名残りなんや。
そして人では羊水の中で産まれ育った名残りでもある。
今話してるんは水の中に居った我々の遠い御先祖さんのことや。
さて、こないして細胞さんの周りに滲み出したお水は酸素と栄養あげた代わりに細胞さんのウンコとシッコをもろうて還ってくる。
この還ってきたお水は大部分がまた『毛細血管』に戻るんやけど、全部が全部戻りきられへん。
この余ったかわいそうなお水を独自のルートで集めて『静脈』に戻してあげる仕組みを『リンパ・システム』と言い、そしてその集まったお水が通る管を『リンパ管』と言い、そのお水のことを『リンパ液』と呼んだんや。
そう、元もと『リンパ・システム』ちゅうんはこういう単純なもんやったんや。
けど昔も今も、生きもんいうのんは動き回ったりほかの生きもんに襲われたりして傷が入る。
その傷から違う小さい生きもんが『身体の内』に入ってくることが多かった。
この他所者んがまず入ってくるのんが傷ついた細胞さんの周りのお水の中や。
だいたい他所者んいうのんは細胞さんの十分の一くらいの大きさやさかい大き過ぎて『毛細血管』の網パイプを通過られへん。
そやから『リンパ液』の流れに乗って『リンパ管』を通ってからだの奥へ流れていくことになる。
身体にしてみたらそんなん来てもろたら叶わんので、御先祖さんは一計を案じ『リンパ管』の所々に関所を作った。
これが『リンパ腺』とか『リンパ節』とか呼んでるもんの始まりなんや。
そして身体が大きゅうなって複雑になるほどに『リンパ・システム』のお役目は元もとの下水処理のお役目よりも『免疫』ていう警察のお役目が主になった。
つまり自分の身体にないもんが来たら捕まえて逝てまう(大阪弁で「半殺しにする、もしくは殺す」の意味)のんがお役目なんや。
いっつもは小そうて柔らかいさかいどこにあるか判れへん『リンパ腺』やけど、不法入国者を検挙して逝てまうときは痛うて硬とうて大きゅうなるからあんた等にも触れれるようになる。
『リンパ腺』が腫れるいうことは「『身体の内』にばい菌とかが入った」いうことで、「水際で逮捕でけへんかった」いうことで、「腫れた『リンパ腺』でそれが捕まった」いうことなんや。
このパターンは癌細胞が『転移』するときも同じなんや。
『リンパ腺』が腫れるいうのんはゴッつう大事なことなんや。
あんた等も虫歯で歯ぁが痛い時『顎』の内側にグリグリができるやろ?
これ『リンパ腺』や。
ひどうなったら『のどぼとけ』の外側にグリグリができる、これも『リンパ腺』や。
手ぇにケガして膿んだら腋の下にグリグリができる、これも『リンパ腺』や。
足の爪が膿んだら股の付け根にグリグリができる、これも『リンパ腺』や。
こういう『リンパ腺』はみんなよう知っとるけど、「『扁桃腺』が『リンパ腺』や。」ていうのどんだけのヤツが知っとるんやろ?
「風邪ひいたら鼻がつまったり耳が変になったりするんは、『のどチンコ』とか『のどの奥』とか『鼻の奥』とかの「『リンパ腺』が腫れるからや。」ていうの知っとるヤツどんだけおるんやろ?
こいつらは『粘膜』の『リンパ腺』なんや。
「何で『鼻』とか『のど』の『粘膜』に『リンパ腺』があるんや?」いうたら、空気とか食べもんの入り口やからや。
見知らんもんがいつでもたむろするからなんや。
ちょうど釜ヶ崎とか山谷の所轄警察署には防犯課のポリさんの数が多いんと同じ意味や。
要らんもんが粘膜通って『身体の内』に入ってきたらすぐ逮捕できるようになっとるんや。
と言うわけで今月も字数がつきた。来月もおもろいで。